一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「第1回・将棋ランド最強戦」に参加する(前編)・長い序奏

2010-04-19 00:32:48 | 将棋イベント
18日は東京都文京区で行われる、将棋ランド主催「第1回最強戦」に参加した。これは読者の予想どおりであろう。
当日は午前9時30分受付開始、10時15分対局開始である。朝は8時40分ごろに起きたが、家を出るのをグズグズしてしまい、会場に着いたのは10時5分ごろだった。
会場の文京区民センターは古色蒼然とした趣のある建物で、社団戦を思い出した。
クラスは一般A級~C級、女性A級~C級、小・中学生に分かれていて、一般A級(フリークラス)の優勝賞金は現金10万円。これはアマチュアの大会としては破格であろう。都内近郊から強豪が集まるに違いない。ちなみに「B級は初段~三段程度」とあるから、私はこちらにエントリするべきところである。
しかしLPSA金曜サロンのサイトに私の段位が「四段」と掲げられており、あからさまな詐称をするわけにはいかぬ。私は泣く泣くA級にエントリしたのだった。
LPSAの公開対局などに行くと、だいたい常連の顔が見えるが、今回はさすがに知り合いが少ない。LPSAスタッフ氏がひとり参加している。クラスを聞くと、B級だという。それはヘンだろう。おかしいだろう。段位詐称だろう。そう言うと、
「イエイエ、日本将棋連盟の認定ですから」
と妙な理屈をこねる。それは四段以上の申請をしていないからであろう。ちなみにB級の優勝賞金は1万円。確実な収入を狙いにきたか。
LPSA金曜サロン一の強豪、O氏もこちらへやってくる。
「一公さんが大きいからすぐ分かった」
それにしても全国的な強豪が集まっている。ほうぼうを見渡すと、元奨励会員や元アマタイトルホルダーなど、私でも知っている強豪がゴロゴロいる。やはり現ナマ10万円は大きい。
「こりゃあわれわれと違うクラス、S級を設けてもらわないとねえ」
とO氏が笑いながら言う。それは大いに同意だが、O氏もどちらかといえば、S級クラスであろう。
将棋ペンクラブ幹事のM氏も見える。M氏はB級で参加。これは分かる。M氏は朴訥としているが話が面白く、いつか心行くまで話を聞いてみたいと思っている。
トーナメント戦の抽選はトランプのカードを引いて決める。O氏はダイヤのA。私はダイヤの10だった。11時近くになり、ようやく組み合わせが発表される。
いきなりO氏の名前が呼ばれたので、私は10番目に呼ばれると思われた。
9番目くらいに、A山T郎さん、とアナウンスがあった。まずい…あのA山さんかよ…と顔をしかめていたら、私の名前が呼ばれない。なぜだ。
A級は60人近くいたが、トーナメント戦理想の数字「64」まではいかず、1回戦シードが何人か出て、私は好運?にもそこに入ったのだ。
11時すぎ、各クラスの1回戦がおのおの開始となった。シード組の中には将棋の本を読んでいる人、空いている椅子に座って瞑想している人など、いろいろいる。私は邪魔にならないよう、人の将棋を見て回る。と、対局中の参加者に鋭い視線を飛ばされる。私はきょう、スーツを着用している。誰かプロ棋士に間違えられたのかもしれない。
ところで今回はプロ棋士の指導対局があり、広瀬章人五段、永瀬拓矢四段、それに山口恵梨子女流初段がお越しになる。このブログの読者には言うまでもないが、今回の参加の主目的は、女流棋士ファンランキング3位の山口女流初段に、指導対局を受けることにある。
いままで一度も話をしたことはないが、「棋は対話」という。将棋を介して対話ができれば、私はそれでよい。しかしその前に、山口女流初段に指導を受けられるかが問題だ。
おととし天童人間将棋に訪れたとき、指導対局では船戸陽子女流二段か島井咲緒里女流初段に手あわせ願いたかったのに、片上大輔六段に当たってしまったことがある。まあそれでも有難かったが、やっぱり指導対局は女流に限る。
永瀬四段の姿が見える。ただの私服で、パッと見はふつうの若者にしか見えない。しかしこの若者が、大山康晴十五世名人を彷彿とさせる振り飛車の使い手というのだから、棋士は外見で判断できないとあらためて思う。
広瀬五段はまあいいとして、山口女流初段の姿が見えない。この前日には「女流棋士の親睦会2010」があった。女流棋士の大半は参加したようだから、彼女もファンとの交流を深めたのだろう。
1回戦が徐々に進行している。注目のO氏はまさかの敗戦。これがA級の恐ろしさだ。中盤まで良かったのだが、より良くしようとして、悪くしたらしい。そういえば先日の竜王ランキング戦で敗れた植山悦行七段も、そんなことを言っていた。
「一公さん、最初の対局に勝てば、A山さんに当たるみたいよ」
と言う。超アマ強豪に当たるとは、有難いような有難くないような…。いやそれより、緒戦をモノにしないことには、話にならない。マッカラン獲得も1勝の積み重ねだ。
湯川博士、恵子夫妻が見える。エッ!? あのおふたりが!? 夫妻と顔が合ったので、挨拶する。博士先生が、
「いつも(将棋ペン倶楽部への)原稿ありがとう。今日は(将棋を)指しに来たの?」
と妙な質問をする。当たり前ではないか。
「まだ駒込に行ってんの?」
とも言う。これも当たり前である。博士先生はパソコンをまったく見ないので、私のブログもご存じない。だからこういう会話になるのだ。もっともそれだからこそ、私は安心して「湯川先生は鬼瓦みたいな顔だ」と書けるのである。
11時50分ごろ、広瀬五段が見える。この広瀬五段がまた、ふつうの青年そのものだ。しかし盤を挟めば、鋭いオーラを発散させるのであろう。
それにしても、山口女流初段はまだか。M氏の将棋(もう2局目だ)を遠くから窺っていると、また湯川夫妻がいらっしゃる。恵子さんに最近のブログを褒められる。ちょっと照れくさいが、やはり嬉しい。
博士先生にも話を聞く。最近、将棋ペンクラブにも手練の書き手が増えてきて嬉しい、という話になる。博士先生がこのブログを見たら何と言うだろうか。月見栞って誰だ? とか言いそうである。
将棋ペン倶楽部次号の原稿締め切りは、5月10日である。通信号(最大32頁)なので、長い文章は載せられない。私もネタはないこともないが、あまり面白くない。別に投稿の義務はないし、今回はパスの方向である。
酒が入ってなくても博士先生の話は面白い。エンジンがかかってきたところで、手合い係からのアナウンスがあり、私の名前が呼ばれてしまった。
私は手を挙げ、受付に駆け寄った。
(つづく)
コメント (5)
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