金曜サロン・石橋幸緒女流四段⑤

２月５日のLPSA金曜サロン、昼は中倉彰子女流初段、夜は石橋幸緒女流四段の担当だった。
この日は時間の関係で、中倉女流初段との指導対局は見送り。石橋女流四段との指導対局の模様を書く。
☗７六歩☖３四歩☗２六歩。ここで石橋女流四段が
「なにかお望みの戦型はありますか」
と言う。何でも指せる石橋女流四段ならではの言葉だ。以前も訊かれたことがあるが、将棋は自分の好きな手を指せるゲームである。私が相手の作戦を指定することはできない。
「先生のお好きな手で」
私が前回と同じくそう言うと、石橋女流四段は☖３二金と上がった。私はこの金上がりが早いと見て、☗６六歩と角道を止める。それから四間飛車に振った。石橋女流四段は居玉のまま、☖５四銀～☖４四角～☖３三桂と大上段に構える。本当になんでも指しこなすものだと感心する。
本譜は☗５六歩☖同歩☗同銀☖５五歩に☗４五歩と突き、角銀交換の駒得になっては、悪いはずがないと思った。しかし石橋陣の中央の厚みも大きく、容易に突破できない。角を切ってと金を作り、金桂交換を果たして依然駒得は持続しているのだが、飛車角を封じ込まれ苦しい。上手は自然に指して、いつの間にか良くなっている。これがプロとアマの違いだと思った。
それから数手後の局面が以下である。

☗２四歩の突き出しに☖２一飛と回った局面。ここで私は☗６四歩と打ち、以下☖４七桂成☗同飛☖２四飛☗６三歩成☖５五桂…と進んだが、☖４七桂成では、☖６四同銀と取られるのがイヤだった。☗７四と☖５三銀☗６四歩となるのだろうが、☖６二歩とがっちり受けられ、それはこちらの指し切り模様だと思う。石橋女流四段は、５五に先着されるのがイヤだったという。
本譜はのちに☖６七銀が質駒になり、急転直下の終局となった（下手勝ち）。しかしこの将棋をご覧いただいてもお分かりのように、石橋女流四段の指導対局には、上手の余裕というか、風格が感じられる。最後はアタシが勝ちますけど、その前に咎められたら仕方ないですワ、というものである。やはりほかの女流棋士とは、格が違う。
石橋女流四段に指導対局を受けられることを、幸せに思う。石橋先生、またよろしくお願いします。