一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

7月16日のLPSA金曜サロン・鹿野圭生女流初段の心意気と、手合い係

2010-07-18 09:43:42 | LPSA金曜サロン
16日(金)のLPSA金曜サロンは、1部が神田真由美女流二段、2部が鹿野圭生女流初段の担当だった。ここで注目されるのは、マイナビ一斉予選対局を翌日に控えていた、関西在住の鹿野女流初段である。
鹿野女流初段のコンディションを考慮するなら、2部担当は、引退された藤森奈津子女流四段か大庭美夏女流1級という選択肢はあった。しかし鹿野女流初段は、前日に実戦をこなすことで、ウォーミングアップする道を選んだ。これは5月下旬に行われたチャレンジマッチのときと同じ構図である。
しかしその根底には、上京の機会に金曜サロン(やマンデー・レッスン)で会員との交流を図りたい、という鹿野女流初段の意向も含まれていたと思う。
今回の場合、チャレンジマッチのゲンを担ぐ、という意味もあっただろうし、一斉予選対局は午後から、ということもあったろうが、いずれにしても女流棋界最高の公式戦対局前夜に、遅くまで脳ミソをしぼり、会員に指導する姿勢には頭が下がった。
「カノタマ」はLPSA会員の中でもファンが多い。こんなところに彼女の人気の秘密がある。
蛇足ながら昨年の同担当は、1部が大庭美樹女流初段、2部が船戸陽子女流二段であった。おふたりとも現役女流棋士である。さらにその前の年は植山悦行七段のピンチヒッターだったから、実は昨年の人選もスゴかったのだ。
さて、16日当日も午後3時45分ごろに仕事を終わらせてもらい、駒込に赴く。毎度毎度仕事を途中で放りだすのは気がひける。いまにバチが当たるだろう。
インターフォンを押すと、聞きなれない声である。3階に入ると、その声の主は大庭美夏女流1級だった。
6月から登板した、手合い係の櫛田陽一六段はというと、渡部愛ツアー女子プロと実戦の最中だった。
居飛車勉強中の渡部ツアー女子プロに、「世紀末四間飛車」の櫛田六段が稽古をつける。それはほほえましい光景なんだろうけれども、私には櫛田六段の立ち位置がいまひとつ分からない。
もちろん櫛田六段とは何度か話をさせていただいて、見かけによらず気さくな方だとは思った。話もたしかにおもしろい。
しかし「手合い係」としてはどうなのだろう。櫛田六段がいらっしゃるなら、(今回の場合)大庭女流1級が手合い係をしているのは、おかしいのだ。
櫛田六段は「指導棋士」としていらしてくれている、と割り切るならいいが、そもそもLPSAは女流棋士の団体である。金曜サロンは「女流棋士との指導対局」が大前提であって、私などは、女流棋士とお近づきになりたいというスケベ心だけで、毎週訪れているわけだ。
あまり櫛田六段の指導対局が常態化されてくると、前段の大前提があやふやになり、ひいては金曜サロンの存在自体がおかしなものになってくる。
何度も植山悦行七段を引き合いに出すのは心苦しいが、植山七段は、会員がいつも何時に来るか、どこに住んでいるか、棋風はどうか、得意戦法は何か、棋力は向上しているか…などなどを、つねに考えていた。地方から来た人、初顔の人などは、とくに丁重にもてなした。それがリピーターに繋がったのである。
もしLPSAが、植山七段の後釜に、とりあえず同じ男性棋士を入れておけばいい、と考えたのなら、それは甘い。この状態が続けば、やがて金曜サロンを訪れる会員は減っていく。
櫛田六段に不満はない。しかし金曜サロンの存在意義を、LPSAはいま一度考える必要がある。
というわけで、3連休の前日である16日は、翌日のマイナビ女子オープン一斉予選対局を観戦するためか、あまり見かけない方が、3名ほどいらしていた。この方々が、また金曜サロンに訪れてくださることを祈る。
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決戦の朝

2010-07-17 09:07:32 | 女流棋戦
ついにこの日がやってきた。7月17日(土)、第4期マイナビ女子オープン・一斉予選対局の朝である。
(個人的な理由で、思い出すのもかなり不愉快なのだが)「マイナビ女子オープン」を「アメリカ横断ウルトラクイズ」に譬えると、5月のチャレンジカップは後楽園球場での予選、きょう17日の一斉対局は、成田空港でのジャンケンおよび機内でのペーパーテスト、ということになる。そしてアメリカ(東京・将棋会館など)へ上陸できるのは、この中でわずか12名だ。
きょう出場の各選手は、まさに本日デビューした、京成電鉄の新型スカイライナーに乗って、成田空港(東京・竹橋)に移動中、もしくは到着した、というところであろう。
マイナビ女子オープン(予選・本戦)は、敗者復活のない一番勝負の連続である。参加する選手の皆さんは、持てる力をフルに発揮し、どうか悔いのない戦いをしてください。皆さんを、応援しています。
では私もこれから、成田空港へ、いや竹橋に向かうとしよう。
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第4期マイナビ女子オープン・一斉予選対局の見どころ

2010-07-16 01:45:16 | 女流棋戦
「将棋ペン倶楽部」の原稿を書かなければいけないのだが、まあ書く義務はないのだが、どうにも筆が進まない。頭の中には最後の1文字まで完結しているのに、ワープロに起こす気分にならないのだ。
宿題を早く済ませなければならないのに、ついほかのことに時間を費やしてしまう中学生のように、今日も私はブログを書く。バカだ。

さて、あす17日(土)は、第4期マイナビ女子オープンの一斉予選対局が行われる。きょうはその見どころを、思いつくまま書いてみる。

①LPSAは、今期もおそろいのジャケットを着用するのか
LPSAは設立以来、マイナビ予選にはおそろいのジャケットを着用している。第1期は観戦に行かなかったが、恐らくそうだったろう。第2期は妊娠中の中倉彰子女流初段、第3期は島井咲緒里女流初段が私服で対局したが、原則的には、ジャケット着用であった。
私は「私服も戦闘服である」という観点から、この慣習に以前から異を唱え、廃止を訴えてきた。
初めにジャケットありき、という条件からコーディネートする船戸陽子女流二段のような「プロ」もいるが、多くの女流棋士は私服の上にジャケットを羽織っただけで、上下がうまく合っていない。しかも色が紺だから、暗い感じがする。華やかさに欠ける。これでは持てる力も十分に発揮できない。
昨年島井女流初段が、初夏を思わせる装いで予選を通過し、記念写真に収まったときの艶姿をご覧になった読者は多いと思う。もしあの服装がLPSAジャケットだったら、島井女流初段があれだけまばゆいオーラを放ったかどうか。
まあいろいろ書いたが、つまるところ私は、LPSA女流棋士の、気合の入った私服を見たいのである。男性棋士の対局姿がスーツか羽織袴だけなのに比べ、女流棋士にはさまざまなファッションを着こなす楽しみがある。それを行使しない手はない。17日は、ぜひとも、ジャケットを脱ぎ捨ててもらいたい。

②現役女子高生の制服姿
今期の予選に、現役の女子高生は何人参戦するのだろう。これも以前書いたことだが、「女子高生は世界最高のブランド」である。とくに夏用の制服は、「世界最高の制服」といってよい。対局者はたぶん5~6人と思われるが、そんな彼女らの制服姿を見比べるのが、楽しみである。
しかし…と思う。時の移ろいゆえ仕方ないこととはいえ、里見香奈女流名人・倉敷藤花、山口恵梨子女流初段の「高校生引退」は、じつに残念だった。さらに言えば、4月に高校生になった成田弥穂アマのチャレンジカップ不参加も、参加すれば予選通過は固かっただけに、やはり残念だった。
まあよい。先月の1dayトーナメントでは、ちょっとオトナびた服装だった渡部愛アマも、今回はさすがに制服着用であろう。高校生諸君はどうかガンバって、周りのオバサ   …お姉さん棋士を蹴散らしてもらいたい。

③中井広恵女流六段の連勝記録なるか
前日も記したとおり、中井女流六段は現在公式戦15連勝中。もし今回2連勝すれば、予選通過に加えて、「連勝タイ記録」という嬉しいオマケがつく。
同じ枠の選手を見ると、実力は中井女流六段が頭ひとつ抜きん出ている。
しかし将棋に油断は禁物である。同じ枠の中村桃子女流1級は、私が予選トーナメントの色紙を引いた関係から、とくに応援する。もし予選決勝が中井-中村の組み合わせになったら、私は躊躇なく中村女流1級のほうを応援する。これは当然である。
中井女流六段は、どの対局も厳しい戦いなると心得て、フンドシを引き締めなければならない。

④LPSA女流棋士は何名予選を通過できるか
LPSA女流棋士の、マイナビでの成績は悲惨を極め、昨年は2名、一昨年は1名が予選通過という惨状だった。
なかんずく、毎年引退者は出るわ退会者は出るわ、さらに今期はチャレンジカップが新設されて2名の女流棋士が脱落するわで、今期の予選参加選手は、渡部アマを加えても、わずか9名になってしまった。
しかしチャレンジカップを勝ち抜いたLPSA女流棋士が、渡部アマを含めて4名に上ったことは、明るい材料である。今期は期待できそうではないか。最低でも3名は予選を通過してほしい。決して無理な数字ではないと思う。

⑤対局時のマナーはどうか
これも以前書いたことだが、女流棋士の手さばきは、全員がよいというわけではない。相手の駒を取ったとき、その駒を握ったまま自分の駒を進め、そのままチャスクロックのボタンを押す、という女流棋士が何人もいる。これはあまりいい仕種とはいえない。
相手の駒を取ったら、まずはそれを自分の駒台に乗せ、それから自分の駒を着手し、チェスクロックのボタンを押す。これが正しい手順である。秒読みになってあせり、つい動作の省略をしてしまう気持ちは分かるが、そこを落ち着いて指すのが、プロというものである。
そのほかにも、足をぶらぶらさせながら指している人、投了の意思表示をせず、いきなり感想戦に入ってしまう人など、私たちのほうがよっぽど礼儀正しいんじゃないか? と思う女流棋士がいた。
当日は観戦者も多い。そのほとんどはアマチュアである。いい将棋を指すのはもちろんだが、対局姿勢の模範を示すのも、公開対局の重要事項であろう。

⑥懸賞金スポンサーは100口を越えるか?
確かな記憶ではないが、昨年の懸賞金スポンサーは、のべ50本を越えたと思う。今期の一斉対局も話題満載で、観戦者も多くなることは間違いない。懸賞金制度も全国的に浸透したし、観戦者に比例する形で、今期もかなりの懸賞金が集まると予想する。もちろん私も何本か懸けるつもりだが、当日になってバックレるかもしれないし、そこのところは分からない。
まあそれでも、今期は3ケタの大台に乗りそうである。懸賞金はたぶん1口1万円だと思うが、これは庶民にとって大金である。懸賞金の有無はともかく、参戦する選手はそのあたりのことも考えて、全力を出して戦ってもらいたい。

…というようなことを、また長い時間を使って書いてしまった。この時間を「ペン倶楽部」の執筆に充てていれば…。やっぱりバカだ。
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中井広恵女流六段の美しさ

2010-07-15 01:02:27 | 女流棋士
今年の8月8日(日)、沖縄県・石垣島で、「第2回八重山子ども将棋大会」が行われるようである。第1回である昨年は8月9日(日)に行われ、私も(東京のお盆である)8月15日より前がお盆休みとなったため、その会場に訪れることができた。
このときベルサイユ高田尚平六段にたいへんお世話になり、今年も機会があったら…とひそかに考えていたのだが、今年のお盆休みは、14日(土)~18日(水)で、どうしてもお邪魔することができない。残念無念である。
まさか八重山のアマチュア棋客がこのブログを読んでいるとは思えないが、いや内地からの旅行者でもいいが、もし8月8日に時間のある方がいらしたら、ヘルパーとして、八重山のチビッコ諸君やお母様方と、ぜひ将棋を楽しんでいただきたい。

先月のLPSA・1dayトーナメント「NIS×Tefu CUP」のベストドレッサー賞は、島井咲緒里女流初段が受賞した。これは選考対象がトーナメント参加女流棋士だったが、解説役の中井広恵女流六段も、白とオレンジを基調とした、オシャレなコーディネートだった。
トーナメント後の懇親会が終わった後、私を含めたLPSA金曜サロン会員数名は、中井女流六段と帰り道をごいっしょする幸運に恵まれた。一将棋ファンが全国で一、二…三……四を争う有名女流棋士と同じ場所を共有できる。お話ができる。ありがたいことだと思う。
そこでしみじみ感じたのは、中井女流六段が実に美しくなった、ということである。何か憑きものが落ちたような中井女流六段の朗らかな笑顔からは、洗練された美しさ、大人の気品、そして圧倒的なオーラがあふれていた。
いやもともと、中井女流六段は美人だった。しかしLPSAが設立され、代表理事に就任してからの中井女流六段は多忙を極め、いつも疲れた顔をしていた。
LPSAのホームページには、日レスカップやル・パルク天河戦、1dayトーナメントなどの画像が多数掲示されているが、そこで見られる中井女流六段は、一様にくたびれた顔をしている。昔のほうが歳を食っているように見える。
1dayトーナメントの公開対局や、金曜サロンでお見かけしたときも髪はボサボサで、とても手入れをする時間がない、というふうだった。
そんな有様だから将棋の勉強をする時間はなかったはずで、女流名人位戦リーグなどは、A級とB級を行ったり来たりしていた。
そんな中井女流六段に転機が訪れたのは、今年の5月のLPSA棋士総会だったと思う。ここで中井女流六段は代表理事を辞し、推薦も断った。中井女流六段にどんな心境の変化があったのかは分からぬが、その決断により、どうでもいい雑事(もめ事)の山から解放され、精神的なゆとりができた。これが中井女流六段に美を復活させた、最大の要因だと思う。
ここで話を約30年戻すが、中井女流六段の女流棋士デビュー時は、どこか「イモ中学生」の雰囲気があった。それも仕方のないことで、先輩に林葉直子さんという超美少女がいたから、タイミングがわるかった。
その後、中学生の中井女流六段は「将棋マガジン」にエッセイを連載するようになったが、イラストを担当した鈴木康彦氏(鈴木大介八段のご尊父)が、これまた見事に、中井女流六段をイモ中学生風に描いた。
しかしその雰囲気も1、2年後にはなくなり、中井女流六段は、すっかり大人びて、綺麗になった。東公平氏だったか、「もう、あのイラストは代えたほうがいい」と書いていたものである。
それから中井女流六段は20歳という若さで結婚し、齢を重ねるごとに、いいオンナになった。その後林葉さんが日本将棋連盟を退会すると、私にとってのヒロインは、中井女流六段のみになった。
そして話をまた現在に戻すが、帰り道、中井女流六段が言うには、自分もベストドレッサー賞にノミネートされるものと思っていたそうである。
実際中井女流六段がノミネートされていたら、私もうっかり1点くらい入れてしまったかもしれない。そのくらい、この日の中井女流六段は、魅力的であった。
さて、対局一本に絞った中井女流六段は、その後あっちこっちを旅行し、英気を養ったようである。もちろんその間、ご主人の植山悦行七段も大きく羽を伸ばしたに違いなく、お互いリフレッシュできたに違いない。
植山七段のほうはよく知らぬが、中井女流六段は、昨日の女流名人位戦B級リーグに勝って、15連勝中だそうである。ちなみに女流棋士の連勝記録は、清水市代女流王将、山田久美女流三段、林葉さんの17連勝が最高である。つまり17日(土)のマイナビ女子オープン一斉予選対局にはタイ記録達成が懸かっており、観戦者は、歴史的瞬間の目撃者になる可能性がある。
当日はその瞬間を期待しつつ、中井女流六段の美貌を鑑賞したいと思う。
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「上手9割」を覆せ

2010-07-14 00:24:08 | 将棋雑考
LPSA金曜サロンの会員同士の対局は、段級位に基づく手合い割制である。といっても棋力に即して機械的に決まるわけではなく、植山悦行手合い係のときは、植山手合い係と下手(したて)が相談し、手合いを決めていた。このとき、上手(うわて)の意見は一切無視される。当然、上手につらい手合いとなる。
では下手が有利かといえば左にあらず。たいてい、上手が勝った。正確に言うと、下手が勝ち切れなかった。持将棋を別にすれば将棋に引き分けはないから、下手が勝ち切れないということは、負けを意味する。どんなに上手を追いつめても、詰め損ねたり、トン死を食らったりして、最後は下手が負けた。
そんな状況をつぶさに見ていた植山手合い係が、ある日言ったものだ。
「駒落ちの勝率は、上手9割」
この数字はオーバーだが、そう言われてみれば、私は駒落ちの下手が勝った将棋を、ほとんど見たことがない。上手にベテランが多いこともあるが、どう見ても劣勢なのに、手練手管、あらゆる手を使って、下手をごまかしにかかる。そのうち下手は時間もなくなり暴発、上手がうっちゃるのだ。だからたまに下手が勝つと、金星のごとく称賛される。
ちなみに前回の金曜リーグで、私も駒落ちの上手を持って何局か指したが、全勝だった。中には99%負け将棋もあったが、最終的には下手をごまかす形となった。
いちいち調べるのが面倒だから、おぼろげな記憶をもとに書くが、むかしどこかの国の教授が、学生を刑務所の看守役と囚人役にしたて、ある実験をしたらしい。
ところが何日か経つと、看守役の学生はオフの時間になっても態度が大きいまま。囚人役の学生もおろおろと卑屈になってしまったため、実験は中止せざるを得なくなったという。
どうも将棋にも、そうした面があるのではないか。
「では失礼して、角を引かせていただきます」
などと恭しく言い、駒箱に角を入れた時点で、看守と囚人…じゃなかった、教える側と教えられる側の役割が、無意識のうちにできてしまうのだ。
駒を落としたほうは負けてもともとだし、こちらのほうが棋力は上、という優越感があるから、それこそプロ棋士になった気分で指す。一方、駒を落とされる下手は、これだけハンデをもらったんだから勝たねばならぬ、と余計なプレッシャーを自分にかけ、委縮してしまう。これでは下手が勝てる将棋も勝てない。
金曜サロンの連中には内緒だが、完全に手合い違いの将棋をのぞけば、私は駒落ちの上手で負ける気がしない。それは私の棋力がどうこうではなく、上に述べた理由からだ。

で、ここからが本題である。12日(月)に行われた朝日杯将棋オープン戦・野田敬三六段-里見香奈女流名人・倉敷藤花戦は、野田六段の勝ちとなった。
中盤では里見女流二冠のほうに面白い局面もあったようだが、「勝ち切れなかった」。
ここに私は、駒落ちではないが、上手と下手の構図を見る。むろん里見女流二冠も、指す以上は勝つ気で指している。しかし心のどこかに、相手が男性プロ棋士だから実力的に…という気持ちはなかったか。それが少しでもあったとしたら、勝負においてマイナスにしかならない。
以前矢内理絵子女流四段が、男性棋士との公式戦対局を、「ボーナスゲーム」と表現した。意味がよく分からぬが、男性棋士に指していただけるだけでありがたい、対局料をいただけるだけでありがたい、ということだろうか。
一方男性棋士はというと、「どうせ最後は私が勝つ」と思って指している(と想像する)。これでは指す前から、勝敗は決まっているようなものだ。
女流棋士の男性棋士に対する勝率は、王座戦の観戦記で先埼学八段が書いていたが、「約2割」だそうである。この数字、かなり女流棋士が健闘していると思う。私の勝率イメージは、もう少し低かった。
これからも男性棋士と女流棋士との対局は続くが、とにかく女流棋士は、男性棋士にヘンな劣等感を持たないことである。
そして17日(土)。この日はマイナビ女子オープンの一斉予選対局がある。対戦カードの中には、勝敗が見えているものもある。しかし「下手(したて)」と思われている側は、絶対に勝負を投げてはいけない。
相手だって人間だ。悪手を指すときもある。最後は私が勝つ、くらいの図太い神経を持って、対局に臨んでもらいたい。
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