リスペクト(事例紹介)コラムです。
前々回の「新・情報7daysニュースキャスター」で、ちょっと目を引く内容がありました。プロ野球日ハムの2軍の本拠地で、イベント力の高さを示すもので、思わず感心しました。中には「さすがプロ野球だな」と思わせるものも。まずは、「ニュースキャスター」の内容の抜粋から。
・今、なぜか2軍の球場が人気。一般的に2軍の試合は観客は20~30人が当たり前だが、鎌ヶ谷は大行列。その顔ぶれは若い女性、お年寄りや小さい子ども達など。
・内野席にプールを設置し、そのすぐ横で試合開催。子どもは試合そっちのけでプールで遊ぶ。
・外野席には茶摘み体験ができる茶畑を設営。他にもトマト畑や田植え体験ができる水田まで設営。収穫した農作物は観客に先着でプレゼント。
・高齢者には「シルバーパスポート」を用意。1か月1,000円で入り放題(12,000円の年間パス)を設定。
・鎌ヶ谷スタジアムは10年前から観客動員を増やすために、野球とは関係ない様々なイベントを実施。「今野球の試合をやっているかどうかもわからなくてもOK。いい思い出になってくれればいい」と球団首都圏事業部のコメント。
・過去には、牛を連れてきた「乳搾り体験」、蛇と触れ合うイベント、UFOを呼ぼうという謎のイベントまで実施。
・観客数は倍増。「ここに来ると楽しいぞと来るお子さん達がいい笑顔していると思う」と球団首都圏事業部のコメント。
・鎌ヶ谷スタジアムは夢が詰まったテーマパークだった。
という内容でした。いやはやすごいイベント力ですね。実は当ブログもプロ野球について、ホームタウン力は楽天、ファン力は千葉ロッテ、そして、イベント力は日ハムと思っていました。後で紹介しますが、実は1つ紹介事例をキープしていました。パリーグはこうして、徐々に人気を獲得していったと聞いていますが、日ハムはまさに先駆者でしょう。日ハムの今回の記事がすごいのが、札幌ドームではなく、2軍の本拠地という点。Jリーグでは全く考えられない点。上の驚きイベントを順番に紹介していきましょう。
【プール:シロクマくんウォーターパーク】
巨大プール及びウォータースライダーが登場していますが、それ以外にすごいのものが登場。入場料とは別に、税込500円で1日遊び放題だそうです。
「【北極海再現極寒プール】手をつけるだけで悲鳴が上がる、極寒の海を体験できる氷だらけのプール」
引用:北海道日本ハムファイターズ公式サイト
【鎌スタ☆茶畑(ファールゾーン):茶摘み体験】
「2014年4月に鎌ケ谷スタジアムのファールゾーンエリアの一角に誕生した『鎌スタ☆茶畑』では、現在、やぶきた茶350本が元気に育っています。春の「一番茶」から秋の「秋冬番茶」まで、季節によって様々な茶葉を収穫できる鎌スタ☆茶畑に、待ちに待った茶摘みの季節がやってきました!この度、5月の「一番茶」と7月の「二番茶」の2回の茶摘み体験イベントを開催いたします。滅多に出来ない茶摘み体験を、鎌スタ☆茶畑の記念すべき「一番茶」で!」
引用:北海道日本ハムファイターズ公式サイト
【鎌ス田んぼ(ファールゾーン):田植え体験】
子どもの鑑賞用に家庭栽培もできる苗もプレゼントされるようです。定員100名で参加無料。
「ゴールデンウィークでは皆さんと泥んこ遊びを実施して土の準備も完了。先月種まきをした苗も15センチほどに伸びてきました。皆さんも一緒に田植えを体験してみませんか?初心者も大歓迎です」
引用:子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」
【UFO観測会】
特に花火大会などイベントの日は確率は高いとの事。果たして鎌スタ上空にUFOは現れるのか?
「UFO特番などでお馴染みのUFOコンタクティ・武良信行さんを特別ゲストとしてお招きし、スタンドの皆さんと一緒にUFO観測会を実施します。召喚率はなんと90%なのだとか!」
引用:北海道日本ハムファイターズ公式サイト
他にもスタグルもすごかったです。駅弁&グルメフェアというもので、日本全国の駅弁やご当地グルメが大集合。地元の業者が相手チームにちなんでご当地のように作るメニューとは全然違い、すべて本物です。食べなくても美味しいのはすぐにわかります。やはり、本物の味にかなうものはなく、また地元のご当地グルメに勝るものもありません。本物や地元を余り取り入れていないスタグルについては、当ブログとしては余り口にしたくないかな。
【日本ハム、ウインタースポーツへ“奨楽金”】
球団では道内でのウィンタースポーツに対して、奨学金(助成金)を出すそうです。これは素晴らしい。18歳以下を対象にしているので、明日の五輪選手発掘を目指す取り組みなのかな。以下、日刊スポーツの記事です。
「北海道でウインタースポーツを楽しむ子どもたちが増え、北海道の活性化に貢献することが目的。北海道に拠点を置くウインタースポーツの競技・活動団体の18歳以下を対象に、1団体上限30万円(総額200万円以内)に“奨楽金”をファイターズ基金から助成する。札幌ドームで行われた記者会見に出席した稲葉篤紀スポーツ・コミュニティ・オフィサー(44)は「子どもたちがウインタースポーツに取り組む機会、裾野を広げていくことが大切。札幌は冬季五輪の招致を目指している。オリンピアンが生まれてくれれば」と話した。」
引用:日刊スポーツ
全く素晴らしい。サッカークラブではせいぜい自分チームを所有するまでで、日ハムのように取り組むところに助成するまではいかないでしょう。そういう意味ではプロ野球のパワーを感じます。少し前までは、プロ野球球団はこういう地域貢献活動はやっていなかったですが、パリーグの新興チームほど熱心になりましたね。今回の助成金は「ファイターズ基金」という自前の基金を活用しています。以下がその内容です。
【ファイターズ基金】
「プロ野球球団の与えられた役割はチームの勝敗や個人成績など数字を超越し、地域に暮らす人々の心が豊かになるための行動を起こすことだと考えます。北海道の未来を支える青少年やそのご家族が、より健康的な日々を送るためのサポートをさせていただくことを設立の目的といたします。北海道日本ハムファイターズが販売するチケット、グッズなどの売上の一部や、チャリティーオークションの収益を基金として積み立て、年に数回、球団と選手会が話し合いの上、「スポーツ」「自然」「生活」分野への支援先および支援方法を決定いたします。 ※支援は原則、北海道に関係する事柄に限ります。」引用:北海道日本ハムファイターズ公式サイト
「球団の与えられた役割はチームの勝敗や個人成績など数字を超越し、地域に暮らす人々の心が豊かになるための行動を起こすこと」。耳の穴をかっぽじいて聞いて欲しい顔が浮かびました。本来ならばJクラブが口にせねばならない言葉を、プロ野球団が口にしている事に驚きました。まさに100年続くクラブです。日ハムさん侮れません。Jクラブも余裕があるところは基金を作られてはどうでしょうか。もっとも基金ではなくても、国際貢献活動に協力しているクラブもありますね。読者の皆さんの地元クラブで、超越できずに数字ばかり追っているところはありませんか?
あと、公式HPを観ていたら、「ランフェスタ」というイベントを発見しました。主催は球団ですが、共催は鎌ケ谷市と鎌ケ谷市教育委員会となっています。いわゆるマラソンイベントですが、「チャレンジ10km」「ファンラン3km(一般の部、小・中学生の部、ファミリーの部)」「ポールウォーキング」とあります。他に子供から大人まで楽しめる運動会イベントとして、「ファイターズトレーナーによる地獄のトレーニング」「障害物競争」、チーム対抗の「大玉ころがし」、「リアル鬼ごっこ」など、選手と一緒に楽しめるイベントの様子。
イベント応援ランナーにも大勢のゲストが一緒に走るようですが、その中に知った顔発見。西谷綾子さんは、実は「あや吉」というニックネームで、J1柏応援番組のMCをされています。そういえば、ランナーでしたね。以下が公式HPの内容。詳しくは去年の「鎌ヶ谷ランフェスタ2016」をご覧下さい。
「市民参加型ランニング大会〈北海道日本ハムファイターズ presents 鎌ケ谷ランフェスタ2016〉の開催が決定いたしましたのでお知らせいたします。
ファイターズ鎌ケ谷スタジアムを発着点に、鎌ケ谷市内10kmや球場周辺3kmを走ります。ランニングの他、どなたでもご参加いただける運動会形式のコンテンツも盛りだくさんで・・・」
引用:北海道日本ハムファイターズ公式サイト
という感じでプロ野球団のパワーに圧倒されました。いくらJクラブが地域密着と言っても、まだまだ手が届いていない部分も多いと思いました。まだまだ紹介できていない事例があると思います。プロ野球団が本格的に地域貢献に目を向け、例えばBリーグと手を組めば、逆にJリーグにとって脅威になるかもしれません。札幌さんの交流事業くらいで、Jクラブで本格的にプロ野球団と連携しているところはまだ無いと思います。こういうところとタッグを組むのも面白いかもしれませんね。よく調べたら鎌ヶ谷市は某黄色いチームのホームタウンエリアの一つでした。うーむ、面白いなぁ。