リスペクトコラムです。
ちょうどコロナ禍の話題の真っ最中のGW頃に、鳥栖さんのネガティブなニュースが流れました。すぐに脳裏に出たのが、前回の経営危機騒動。当ブログがよくJクラブは絶対に100年続くとは限らないと口にしますが、まさに鳥栖さんの事例を思い描いてのコメント。Jクラブも道を間違えたら経営が終わるのです。チームは何かしらの形で地域に残れて、名前もある程度残してもらえても、それ以外は消えていきます。その実例が鳥栖さんの前身の鳥栖フューチャーズ(運営会社:㈱佐賀スポーツクラブ)及び2004年までのクラブ(㈱サガン鳥栖)であります。今回はぜひ踏ん張って欲しいですね。
【20億円赤字の鳥栖は本当に存続できるのか? 問われる竹原社長の攻撃的経営の真価】
「J1・サガン鳥栖は4月26日に定時株主総会を開き、2019年度決算が承認された。前代未聞ともいえる20億円超の赤字を計上。新型コロナウイルスの影響でJリーグ公式戦を開催できないことも相まって、クラブ存続の危機も報じられている。」
〔2018年の営業収益はJ全体で9位。地方クラブとして驚異的な数字を残した〕
「サガンの前身、鳥栖フューチャーズは1997年1月に解散している。実質的な破産であり、存続を求める約5万筆の署名を受けて任意団体のサガン鳥栖FCとして継続したが、2003年と2004年にも財政難から消滅危機に直面した。サガン・ドリームスの社長に竹原氏が就いたのは、サガンがまだJ2を戦っていた2011年5月だった。社長として初めて迎えた決算の数字を見ると、2011年度の総売上となる営業収益は6億8900万円。そのなかでスポンサー収入は2億5300万円だった。
そして、2012シーズンからJ1の舞台で戦い続けてきたなかで、営業規模も急激に拡大してきた。例えば2018年度の決算を見ると、営業収益は約6倍となる42億5700万円へと急増。スポンサー収入は22億9600万円とJ1平均の21億3000万円を超えて、ともにクラブ史上で最高額を更新した。」
思い出しましたが、今の鳥栖さんでも過去に経営危機があったのでした。'03年と'04年か。そして今の竹原社長になったのが'11年。地元岡山がJ2で3年目の時か。覚えていますよ、あの時に鳥栖さんとも対戦しています。気が付いたらJ1に昇格され、そのまま現在まで9年間J1でご活躍でした。鳥栖さんの大躍進は竹原社長という存在が大きかった訳ですね。
〔竹原社長の「お金を集める」嗅覚の鋭さ〕
「サガンは責任企業を持たない。ホームタウンの佐賀県鳥栖市の人口7万3691人(3月末時点)も、J3までを含めた全56クラブのなかで最も少ない。マーケティングなども極めて限られてくるなかで、それでも右肩上がりの数字を描き続けた理由を、竹原社長は『選択と集中』に帰結させたことがある。」
「竹原社長の経営哲学が反映され、結果としてスポンサー収入を大きく押し上げた代表的な例が、急成長していたスマートフォンゲームの大手、株式会社Cygames(サイゲームス)(渡邊社長が佐賀県伊万里市出身)と2015年7月に結んだ年間5億円ともいわれるスポンサー契約となる。」
「兵庫県伊丹市で生まれた竹原社長は現在59歳で、大阪・北陽高サッカー部の一員としてインターハイを制した経験をもつ。ホテル勤務などを経て24歳で佐賀県へ移り、36歳だった1996年に株式会社ナチュラルライフを設立。九州や北陸、関西、そして関東で『らいふ薬局』を展開してきた。」
県庁所在地でもない鳥栖市の人口が7万人ちょっとで、Jクラブの中で最少レベル。すぐ隣には福岡県があり、競争も激しい。よく頑張ってこられたと思います。地元出身のサイゲームス社長を口説いてスポンサーにできたのはすごい営業力だと思います。今やユベントスのユニフォームスポンサーですから。やはり、持って生まれた営業力なのでしょうか。攻めの営業ですか。
〔攻撃的な経営姿勢が、いびつな収支構造を生み出した〕
「『群雄割拠の乱世だからこそ、攻撃的な経営姿勢が奏功する。FIFAワールドカップ・ロシア大会が閉幕した直後の2018年7月に発表され、世界中を驚かせた元スペイン代表のエースストライカー、フェルナンド・トーレスの獲得はその象徴となる。』当時からいま現在に至る軌跡を、竹原社長はこう振り返る。『ビッグスポンサーと出会い、一度優勝してみよう、というフェーズに乗ったなかでチーム人件費をどんどん上げてきました。選手と複数年契約を結んだほか、期限付き移籍ではなく完全移籍で選手を獲得した際に発生した移籍金などの償却に、2018年度と2019年度が費やされました。その間にスポンサーが撤退した状況に対して、チーム人件費が追いつかなかったのがこの2年間でした』」
「次男が社長を務めるバスケットボールBリーグの佐賀バルーナーズと自身をめぐる、ネガティブな報道が相次いだ状況が、トーレス案件のスポンサー3社が撤退した遠因になったと竹原社長は言う。」
「結果としてスポンサー収入は2018年度の22億9600万円から、2019年度は8億1000万円へと激減している。一方で支出の大部分を占めるチーム人件費が、26億7000万円から24億2700万円と微減で推移したことが、いびつな形の収支構造と巨額の単年度赤字を生み出した。」
そして、Fトーレス選手の入団を聞いた時はたまげました。神戸さんだけでなく、そんな資金が鳥栖さんにあるんだと。「一度優勝してみよう」という言葉がネックになっていたのですかね。確か昨季かその前の年の必達ノルマがJ1優勝で、達成できなかったからスポンサーが下りたと聞きました。すごい約束ですね、まさに勝負師。レンタル」よりも完全移籍で選手を獲得し、その移籍金もネックになっていたのか。いびつな形の収支構造と巨額の単年度赤字という事ですが、「山師」という言葉が浮かんできました。とてもJクラブとは思えないすごいお金の動きです。
〔「守りのときには、向いていないのかもしれない」〕
「収支に影響を与えたのは、シーズン途中の昨年8月に引退したトーレスへの報酬だけではない。竹原社長が言及したように、攻撃的な経営方針のもとで主力選手と複数年契約を結んだこと。そして、トーレスとほぼ同時期に鹿島アントラーズから加入した元日本代表FW金崎夢生に代表されるように、新戦力を完全移籍で獲得した際に移籍金が発生したことが、2019年度決算の人件費に反映されている。」
「攻撃的な経営を自負するとともに、竹原社長はこんな言葉も自己評価に付け加えたことがある。『守りのときには、もしかすると向いていないのかもしれませんね』
乱世を勝ち抜こうと前のめりになり過ぎたあまりに、もともと不得手とするリスクマネジメントを余計に徹底できなかった。ピッチ上で重要視される攻守のバランスをクラブ経営のフィールドで実践できなかったなかで、クラブが置かれた状況を冷静な視線で俯瞰できる人材も欠いていたのだろう。」
「ただ、20億円超の巨額な赤字が独り歩きしているが、イコール、借金ではない。2019年度決算で純資産約2151万円を計上し、一発でクラブライセンスが剥奪される債務超過は回避している。増資をしたと説明しながら詳細を明かさない竹原社長が、個人資産で補填した可能性も捨てきれない。」
これを読むと、周りのブレーンの人材不足も見えてきますね。だから身内でB2佐賀がうんぬん」という話になるのか。竹原社長が個人試算で補填した可能性とありますが、それもすごい。そんな事ができるのかと。まだまだ状況が見えてきませんね。今回の全貌が見えたとしたらある程度終わっている時、見えないまま次の歩みを進めている時、どっちがどうとは言えません。とにかく派手な話でした。
〔コロナ禍で厳しい局面に立たされている2020シーズン、真価が問われる〕
「すでに執行されている今年度予算は、人件費を半分以下の11億6900万円へ削減。2008シーズンから胸スポンサーを務めてきたDHCが撤退しながら、それでもスポンサー収入が前年度から約1億4000万円増の9億5500万円を計上するなど、トータルで1200万円の黒字になる形で編成されている。
2018年度に42億5700万円を記録した営業収益は、今年度は26億8900万円で組まれている。拡大路線から身の丈に合った形態へ方針が転換された矢先に、新型コロナウイルス禍の直撃を受けた。3度設定されてきた公式戦の再開目標はすべて流れ、いま現在は白紙状態に戻されている。
今後に再開されたとしても、Jリーグは最後の手段と位置づけていた無観客試合の開催を視野に入れている。つまりは7億9000万円を見込んでいる入場料収入が激減する恐れがあり、新規で内定しているスポンサー数社との正式契約および発表が新型コロナウイルス感染の影響で延期になっている。
未曾有の状況下での経営を表現すれば、守りながら攻める、となるだろうか。竹原社長は一部スポーツ紙で報じられた身売りを含めたクラブの消滅や、ライセンスの剥奪に伴うJ3やJFLへの降格のすべてを否定。」
引用:リアルスポーツ
という事で何とも言えない特異な地方クラブという感じがしました。でもJリーグの仲間ですから応援しなければなりません。他にもいろいろコラム等を読んでみました。長くなるのでコンパクトに要点のみを紹介します。こちらのブログでは、経営危機を否定し、リーグ戦安定開催融資制度も受ける気がないとあります。やはり昔から資金難だったみたいですね。'14年にクラブ経営の拡大路線の限界にぶち当たったようです。もうこれ以上チーム強化にお金を使えないと意思表示したとか。そういえばこの頃、ユン・ジョンファン監督が不満を表明していた覚えがあります。
2015年から大きく成長したように見えますが、結局はサイゲームスありきの経営だったのかもしれないと書かれています。確かにサイゲームスが抜けてから転がり落ちて行った印象があります。
こちらのコラムでは、赤字の原因は、広告費の落ち込みと人件費の高騰だけではなく、経営基礎の不安定さもある。また、この巨額な赤字が生じていたことをJリーグはなぜそのままにしていたのか、クラブだけではなく、Jリーグにも問題あるとしています。 昔ヴェルディさんがJリーグの直轄経営になった時期を覚えていますが、このまま経営状態が改善しなければ、同じ事になるかもしれませんね。
また、竹原社長についてもいろいろ報道が流れていますね。息子さんがオーナーを務めるB2佐賀の練習場建設で、佐賀市の前副市長との癒着があります。この西日本新聞サイトで詳しく解説されています。B2佐賀に資金が流れたのではないかとか囁かれていますが、こちらのコラムではその社長次男の哲平氏の事が詳しく出ています。地域を第一に考える熱い方というのはよくわかりました。純粋な方のようですね。佐賀県を拠点とした総合型スポーツクラブにいう考え方には共感できます。ただひたすら商業主義に走り、総合型のその字も未だに出てこない価値観とは段違いです。
で、これから鳥栖さんはどう動いて行かれるのか。20億の赤字解消は無理っしょという考え方があるかもしれませんが、約7億円の営業収入を42億円に引き上げた営業力があれば無理ではないかもしれないという考え方もあります。ただ、運が悪い事にこのコロナ禍です。これはどうしようもありません。一度経営をスリム化され、経営の見える化を図られてはいかがでしょうか。イメージ的に少し昔の大分さんとダブります。同じ九州のJ1クラブでも大分さんは安定していますね。まぁ片野坂監督の部分も大きいですが。鳥栖さん、リスタートですね。
当ブログもPJMフューチャーズの頃から存在を認識し、過去何度もあった経営危機に遠くから心を痛めていました。ぜひ元気になって欲しいと思います。すいません、すっかり長くなってしまいました。
J1鳥栖関連⑮:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20180127
〃 ⑭:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20171002
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