三部作読み終わりました
中世ヨーロッパ
特にトルコ帝国と西欧諸国との戦いについて
様々におってきて、いよいよ、この
地中海最大の海戦によって、静かに幕ひいていく
そういう嘘というか、狙ったかのような
ドラマチックな展開が史実であったことが証明されております
三部作で、だんだんと戦争日記のような調子が
小説の形になってきていて、レパントの海戦においては
すっかり戦争小説、主人公のバルバリーゴの行き様を
追っているようで、戦争大局を見ながらの
解説書のような臭いも残しつつ、人間臭さがステキ
傭兵ドーリアが出てきたあたりは、ひょっとかして
前作ロードスの騎士アントニオの母親でも出てくるのかと
期待してしまいましたが、そうでもなく
スペインとフランスとヴェネツィアと法王庁
これらの政治的思惑がどろどろ描かれていて
すかっとした戦争小説にはなってないところが秀逸であります
十字軍という名前が形骸化しているさなか
最強の異教徒トルコ帝国ことイスラムの脅威と
外交のカードと戦争のカードで立ち向かったヴェネツィア
コンスタンティノープルの大使バルバロの活躍など
見所満載なんですが
満載すぎて、誰のどこを見ていけばいいのか
いや、それはわかりやすい
違う、わかりにくいというか、もうひとつわかりたかったのは
ヴェネツィアの意思決定機関の会議風景はどうだったんだろうか
これは、ひょっとすると議事録みたいなのが
あんまり残ってなかったのか、
塩野先生の文献を調べ尽くすスタイルを考えると
そう考えてしまうんですが
意思決定機関で、具体的にどんな会話というか会議で
そう流れていったかについては、ほとんど触れられていなかったので
その、海戦に入る前の政治的戦略についてと
海戦後のバルバロにこきおろされた
史上最も恥じるべき外交のところがわからなかったのが
残念ではあります
わかりやすく、バカなことを言っているという風景描写が
無かったのでなんですが、いやはや
しかし、熱い男の行き様は
あれこれと面白く
ミスター砦の話もかくや、ドーリアの戦いも秀逸
血を浴びなかったというそれだけども、その高度(だったと思われる)
海戦の様が面白かったのであります
独立して動く素人を連れているのと
言うことを聞く素人を連れているのと
その対比は面白かった、ただ、それによる優劣が
あまり描写されなかったのは残念でありますが、それでもなかなか
作戦遂行は、やっぱり最終的に人間がやるんだから
感情に走りがちなものだよなぁとしみじみです
今回もやっぱりトルコの陣営については
あんまりわかんなかったのでなんとも言えませんが
ただ、トルコの蛮行に十字軍の意思が一致した瞬間
そこを描いていた数行は、スゴイパワーであります
読んでいるほうまで、熱くたぎるものを覚える
そんなステキ具合でありました
海戦自体は始まって
3つの戦場を追いかけるんだが
わずか5時間だったかの戦闘
これまでの2巻と違って、篭城するわけでもなく
本当に戦闘するところのみが凝縮されていて
ミスター砦の行き様の良さと
騎士の強さ、最新兵器の攻撃力と運用
なによりも今までにない、軍隊行動の描写(海戦)
ダイナミックで戦争の瞬間について
もっともすごく書かれていたように思います
なんだ、さっきと俺、言ってることが違う気がする
けどいいんだ、ともかく面白かった!
という具合で海戦が終わるんですが
実は、今までの2作と違って、終わった後の話が
結構長くて、それはそれでステキな余韻を楽しませてくれる
小説部分がじっくり読めます
英雄達の後日談みたいなのも面白いのですが
不安というか、結局三国志みたく
三人の誰も勝つことなく、なんだか遠くにいっちまったなぁと
そんな気持ちにさせてくれます
いや、これは史実だから仕方ないんだけどもさ
一番ステキだと思ったのは
バルバリーゴが久しぶりに手紙を送ろうと書いてみたら
ちっとも進まない上に、三回も「身体に気をつけて」みたいな
文句が出てきたという話
切ない、切なすぎる、そしてよくわかる
こんな気の利いた小話が、すごくステキと思われます
中世の、それも近代へと移ろうその瞬間を読むには
多分うってつけだろうと
この商業国家の行き様に、キリスト教の意地
そしてトルコの脅威が凝縮された
塩野七生三部作
快作であります
中世ヨーロッパ
特にトルコ帝国と西欧諸国との戦いについて
様々におってきて、いよいよ、この
地中海最大の海戦によって、静かに幕ひいていく
そういう嘘というか、狙ったかのような
ドラマチックな展開が史実であったことが証明されております
三部作で、だんだんと戦争日記のような調子が
小説の形になってきていて、レパントの海戦においては
すっかり戦争小説、主人公のバルバリーゴの行き様を
追っているようで、戦争大局を見ながらの
解説書のような臭いも残しつつ、人間臭さがステキ
傭兵ドーリアが出てきたあたりは、ひょっとかして
前作ロードスの騎士アントニオの母親でも出てくるのかと
期待してしまいましたが、そうでもなく
スペインとフランスとヴェネツィアと法王庁
これらの政治的思惑がどろどろ描かれていて
すかっとした戦争小説にはなってないところが秀逸であります
十字軍という名前が形骸化しているさなか
最強の異教徒トルコ帝国ことイスラムの脅威と
外交のカードと戦争のカードで立ち向かったヴェネツィア
コンスタンティノープルの大使バルバロの活躍など
見所満載なんですが
満載すぎて、誰のどこを見ていけばいいのか
いや、それはわかりやすい
違う、わかりにくいというか、もうひとつわかりたかったのは
ヴェネツィアの意思決定機関の会議風景はどうだったんだろうか
これは、ひょっとすると議事録みたいなのが
あんまり残ってなかったのか、
塩野先生の文献を調べ尽くすスタイルを考えると
そう考えてしまうんですが
意思決定機関で、具体的にどんな会話というか会議で
そう流れていったかについては、ほとんど触れられていなかったので
その、海戦に入る前の政治的戦略についてと
海戦後のバルバロにこきおろされた
史上最も恥じるべき外交のところがわからなかったのが
残念ではあります
わかりやすく、バカなことを言っているという風景描写が
無かったのでなんですが、いやはや
しかし、熱い男の行き様は
あれこれと面白く
ミスター砦の話もかくや、ドーリアの戦いも秀逸
血を浴びなかったというそれだけども、その高度(だったと思われる)
海戦の様が面白かったのであります
独立して動く素人を連れているのと
言うことを聞く素人を連れているのと
その対比は面白かった、ただ、それによる優劣が
あまり描写されなかったのは残念でありますが、それでもなかなか
作戦遂行は、やっぱり最終的に人間がやるんだから
感情に走りがちなものだよなぁとしみじみです
今回もやっぱりトルコの陣営については
あんまりわかんなかったのでなんとも言えませんが
ただ、トルコの蛮行に十字軍の意思が一致した瞬間
そこを描いていた数行は、スゴイパワーであります
読んでいるほうまで、熱くたぎるものを覚える
そんなステキ具合でありました
海戦自体は始まって
3つの戦場を追いかけるんだが
わずか5時間だったかの戦闘
これまでの2巻と違って、篭城するわけでもなく
本当に戦闘するところのみが凝縮されていて
ミスター砦の行き様の良さと
騎士の強さ、最新兵器の攻撃力と運用
なによりも今までにない、軍隊行動の描写(海戦)
ダイナミックで戦争の瞬間について
もっともすごく書かれていたように思います
なんだ、さっきと俺、言ってることが違う気がする
けどいいんだ、ともかく面白かった!
という具合で海戦が終わるんですが
実は、今までの2作と違って、終わった後の話が
結構長くて、それはそれでステキな余韻を楽しませてくれる
小説部分がじっくり読めます
英雄達の後日談みたいなのも面白いのですが
不安というか、結局三国志みたく
三人の誰も勝つことなく、なんだか遠くにいっちまったなぁと
そんな気持ちにさせてくれます
いや、これは史実だから仕方ないんだけどもさ
一番ステキだと思ったのは
バルバリーゴが久しぶりに手紙を送ろうと書いてみたら
ちっとも進まない上に、三回も「身体に気をつけて」みたいな
文句が出てきたという話
切ない、切なすぎる、そしてよくわかる
こんな気の利いた小話が、すごくステキと思われます
中世の、それも近代へと移ろうその瞬間を読むには
多分うってつけだろうと
この商業国家の行き様に、キリスト教の意地
そしてトルコの脅威が凝縮された
塩野七生三部作
快作であります