というわけで、さらに進めて
読み終わりました
塩野七生三部作の中堅「ロードス島攻防記」
前作を受ける形でもないですが
キリスト教国とイスラム教国
西欧諸国とトルコ帝国の対決というわけで
前作よりも、さらに小説味が増した
やはり篭城をテーマ(?)とした戦争の前後と
その最中の史実をもとにしたものであります
相変わらず息づく登場人物の仕草ひとつひとつが
丁寧にというか、生々しく描かれ
刻一刻と戦争へと近づく様と
最中の慌てぶり、今回は前作と異なり
より主人公である、アントニオとオルシーニの
二人にスポットが当たる
スルタン・スレイマンについては、どんな人かの描写が
先代のスルタン・ムハマドの時と比べて
ほとんどないので、キリスト教側
狂信者とも呼べる騎士達の行き様の濃度が高くて
キリスト教徒でもないのに、大興奮であります
特に地雷と戦うところと
圧倒的物量と対峙する場面
また、コンスタンティノープル戦と同じく
初戦は防御側が勝つという展開
史実とはいえ、物語として面白すぎる
また、小説中にも語られるが、中世と次の世代との戦いという
避けられない、また、勝敗がすでに決しているような戦い
そこへと挑む若者というだけで、本当
すげぇ絵になる
読んでつくづく思ったのだが
やはりこういう戦争とか、教義とかで戦うのは
いつだって若者なんだなぁと、20歳前後の
若い騎士が強く、そして誇りを持って戦う様
それに感動するのであります
ただ、塩野先生のすばらしいところは
それを押し付けすぎず、また、狂信というほどのことは
どこにも見出さず、ただ、人間臭い
そこに居るために居るといった人々を
淡々と冷静に書いているのがこれまた切ない
宗教戦争であれば、もっと凄惨で
おぞましい光景が出ることもあるだろうし
ロードス島だけでなく、コス島とかそのあたりから
古い騎士を回収しなかったヨハネ騎士団側の失態についても
それがさしたる失態であるようには描かない
ここが、私の知るほかの作家と違うところであります
悪いとかいいとかでなく、そういうスタイルなんですな
そのため、トルコ側のおびただしい犠牲について
それがどれほどだったのか、また、そこに対する
罪悪というのはこれっぽっちもさしはさまれない
ただ、それだけの犠牲を払いながらも
引くことが無かったスルタンの偉大さと
その偉大さが、騎士達の降伏を促したとする場面がまた
秀逸、勝者と敗者を最高にかっこいい形で描いております
実際はどうだったのか、それはわかりませんが
スゴイ
負けた後は、政治的にも苦しくなって
流浪を続ける騎士団、ここで、キリスト最後の蛇とか
かっこいいこと言われる、ヴァレッテの戦い
スルタン70歳にしてヴァレッテ69歳だったかしら
40年以上の時を経て、再びマルタで対決のあたりは
鼻血が出るかと思うほどかっこよかった
思わず引き込まれる世界観と
戦争描写、その内側での泥臭い戦争の日常が
やはり面白い作品であります
しかし、武器と城塞についての詳細な描写が
これまたすごく面白いと思うんだが
説明的すぎる(わざとだろうけど)台詞の多用
でも、読むときに重たくない
このさじかげんが絶妙でありました
まぁ、途中で感動を催すためでもないんだろうが
オルシーニとアントニオができちゃったというところの
美しい描写と
オルシーニの仇を取るため散った女の様と
場面の挿入もステキでありました
オスマントルコも気になるんだが
ヴェネツィアの生き方も気になるなぁと
商業国家、貿易によって居きるというあたりに
どうも教訓を見出したくなるものであります
秀逸、そして、いよいよ、レパントの海戦を読みます
しかし、ロードス島と聞くだけで
最初は、あれかと思ったりするほど
なんというか、私もヲタっぷりが大変ですが
水野良があっちのロードスの巻末で
ヨーロッパにロードス島というのがあると聞いて
驚いた等と書いていたと思うのですが
おまえ、さすがに勉強不足すぎだろうと
今回これを読んで思ったとか思わなかったとか
身につまされたとか、どうでもよいけどもね、なかなか
読み終わりました
塩野七生三部作の中堅「ロードス島攻防記」
前作を受ける形でもないですが
キリスト教国とイスラム教国
西欧諸国とトルコ帝国の対決というわけで
前作よりも、さらに小説味が増した
やはり篭城をテーマ(?)とした戦争の前後と
その最中の史実をもとにしたものであります
相変わらず息づく登場人物の仕草ひとつひとつが
丁寧にというか、生々しく描かれ
刻一刻と戦争へと近づく様と
最中の慌てぶり、今回は前作と異なり
より主人公である、アントニオとオルシーニの
二人にスポットが当たる
スルタン・スレイマンについては、どんな人かの描写が
先代のスルタン・ムハマドの時と比べて
ほとんどないので、キリスト教側
狂信者とも呼べる騎士達の行き様の濃度が高くて
キリスト教徒でもないのに、大興奮であります
特に地雷と戦うところと
圧倒的物量と対峙する場面
また、コンスタンティノープル戦と同じく
初戦は防御側が勝つという展開
史実とはいえ、物語として面白すぎる
また、小説中にも語られるが、中世と次の世代との戦いという
避けられない、また、勝敗がすでに決しているような戦い
そこへと挑む若者というだけで、本当
すげぇ絵になる
読んでつくづく思ったのだが
やはりこういう戦争とか、教義とかで戦うのは
いつだって若者なんだなぁと、20歳前後の
若い騎士が強く、そして誇りを持って戦う様
それに感動するのであります
ただ、塩野先生のすばらしいところは
それを押し付けすぎず、また、狂信というほどのことは
どこにも見出さず、ただ、人間臭い
そこに居るために居るといった人々を
淡々と冷静に書いているのがこれまた切ない
宗教戦争であれば、もっと凄惨で
おぞましい光景が出ることもあるだろうし
ロードス島だけでなく、コス島とかそのあたりから
古い騎士を回収しなかったヨハネ騎士団側の失態についても
それがさしたる失態であるようには描かない
ここが、私の知るほかの作家と違うところであります
悪いとかいいとかでなく、そういうスタイルなんですな
そのため、トルコ側のおびただしい犠牲について
それがどれほどだったのか、また、そこに対する
罪悪というのはこれっぽっちもさしはさまれない
ただ、それだけの犠牲を払いながらも
引くことが無かったスルタンの偉大さと
その偉大さが、騎士達の降伏を促したとする場面がまた
秀逸、勝者と敗者を最高にかっこいい形で描いております
実際はどうだったのか、それはわかりませんが
スゴイ
負けた後は、政治的にも苦しくなって
流浪を続ける騎士団、ここで、キリスト最後の蛇とか
かっこいいこと言われる、ヴァレッテの戦い
スルタン70歳にしてヴァレッテ69歳だったかしら
40年以上の時を経て、再びマルタで対決のあたりは
鼻血が出るかと思うほどかっこよかった
思わず引き込まれる世界観と
戦争描写、その内側での泥臭い戦争の日常が
やはり面白い作品であります
しかし、武器と城塞についての詳細な描写が
これまたすごく面白いと思うんだが
説明的すぎる(わざとだろうけど)台詞の多用
でも、読むときに重たくない
このさじかげんが絶妙でありました
まぁ、途中で感動を催すためでもないんだろうが
オルシーニとアントニオができちゃったというところの
美しい描写と
オルシーニの仇を取るため散った女の様と
場面の挿入もステキでありました
オスマントルコも気になるんだが
ヴェネツィアの生き方も気になるなぁと
商業国家、貿易によって居きるというあたりに
どうも教訓を見出したくなるものであります
秀逸、そして、いよいよ、レパントの海戦を読みます
しかし、ロードス島と聞くだけで
最初は、あれかと思ったりするほど
なんというか、私もヲタっぷりが大変ですが
水野良があっちのロードスの巻末で
ヨーロッパにロードス島というのがあると聞いて
驚いた等と書いていたと思うのですが
おまえ、さすがに勉強不足すぎだろうと
今回これを読んで思ったとか思わなかったとか
身につまされたとか、どうでもよいけどもね、なかなか