CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】掃除屋 プロレス始末伝

2022-06-06 21:10:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
掃除屋 プロレス始末伝  作:黒木あるじ

タイトルからして、実録系かと思ったらフィクションでした
「フリーランスのロートルレスラーには、
試合の中で事故に見せかけて相手を葬る掃除屋という裏の顔があった」的な、お話なのでありまして
プロレスというものについて、どう考えているかで
楽しみ方が変わるものだなと思わされたのでありました
個人的に、プロレスというもの自体が大がかりなフィクションだと思っているから、
それを題材にしたこういう物語というのは、
入れ子構造みたいな感じもして、もうひとつのめりこめなかったんだけど
あんまりあれこれ考えず、ただ、そういうものだと割り切って読むと
コミカルなキャラクタと、始末屋稼業の難しさが面白くて、
するする読まされる小説でありました
へたにプロレスだと思って読んでしまうのがいけない
そういうギミックだけど、仕掛け人みたいなもんだと思ったら
かなり楽しいと思えたのでありました

レスラーというか、プロレス業界の悲喜こもごもも見せつつ、
レスラーとしての生き方、プロレスの在り方、
その矜持が見えるというのがかっこいいところで、
相手の攻撃を受けるというそれから発生する
プロレスという真剣勝負の良さというのをこれでもかと書き連ねているのがよかった

始末する相手も、色々な思惑があったりして、
ものすごい悪党だからどうしたとか、そういう話でもなく
レスラーとして、たまたまそういうこともあったのかという人もいれば、
恨み晴らしますのような感じでもあったり、
銭金に踊った挙句であったりとか、
このあたり、下世話な方がいかにもプロレス界隈っぽいなと読んでいて感じたわけだけども、
業界は本当に大変なんだろうなと、いらん心配をしてしまうリアルさがよかった

凄惨な事件や、悲惨きわまる残酷ショー的なものもないので、
割と安心して読めるし、
それでいて、謎解きのような要素もあって飽きのない
よい物語を楽しめたと、あっという間に読み終えたのでありました