CLASS3103 三十三組

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【読書】語学の天才まで1億光年

2023-01-21 21:10:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
語学の天才まで1億光年  著:高野秀行

著者の集大成的な本といっても過言ではない
冒険と言語について、面白すぎる冒険譚から語られる内容で
非常に面白い一冊だった

半生記にも似た感じではあるのだが、
学生時代から冒険に憧れ、そのために言語と触れてきた
その歴史をなぞりながら、どうやって言語を習得、あるいは、使役してきたかと
そんな話を読ませる文章で、ぐいぐい書いているのがよかった
なんか、言語を学びたくなるというか、冒険と呼ばれるそれに
身を投じたくなる感じで、すごく素敵

根っこのところに冒険、探検というものがあって、
幻の生物を探すとか、未開の地にいってみるとか、
なんせそういう目的があるから、言語という道具をどうしたって使わなくてはならないと、
四苦八苦しながら、様々なマイナー言語からメジャー言語を撫でていく
そして、ものすごい勢いで忘れていくということの繰り返しが語られていて
そんなもんだよなと、妙な納得を得たりしてしまうのであった
実際は、こんな行動力ないから、まったく未知のことなんだが
なんとなく、わかるという感じになってしまうのが凄い

しかし、言語というものについての独特の理解が面白くて、
おおよそ、言語にも枠組みというか、系統のようなものがあって、
何々系だからこうなのかしらという当て推量をしながら、
着々と現地で会話をする分には問題ないそれを得ていくというのは
凄いスキルだよなと、素直に感嘆してしまうんだが、
多分これは、言語学的な語り方しかしてないだけで、
実際のところは、本人の気質というか、人となりによるところが大きい、
ようは、人間力の問題でもあるよなと
結局言葉とは、そういうものだと再認識させられる内容でありました
実際、著者としても、最近は翻訳が凄い楽だから、
こんな苦労して言葉を覚える必要があるのかという疑問を覚えつつも、
自分が使ってきた言語は、言語でありながら、その目的な現地の人とコミュニケートをする
信頼や関係を構築する道具であるというところにあればこそ、
人間力というものに直結する何かでなかろうかなと考えるのでありました

中国語の危険な師匠の話とか、
アヘンを作りにいってた話とか、冒険としてもたまらなく面白そうなそれこればかりで、
著者の他の本をぜひとも読みたくなるような内容でもあったわけだが、
そういう意味でも、集大成的というべきか、
なんとも楽しい、そして冒険の面白さを伝えてくれる
とてもよい本だったと思うのでありました

言語はやっぱり、現地の人とあれこれ苦労しながら会話をするという
その動作というか、シチュエーションを楽しむための道具なんだなというのに
すごく共感するのであった