CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】なんで死体がスタジオに!?

2024-10-09 21:05:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
なんで死体がスタジオに!?   作:森 バジル

テレビ放送を扱ったミステリ小説
テレビで人狼ゲームの生放送を放映するのだが、
その裏で、殺人事件が起きていて…といった感じで、
生放送に無理やりのっけて、かつ、人狼ゲームと殺人犯人あてゲームとかが
いくつか絡み合って進んでいくので、
あれやこれやと考えるとなかなか楽しいトリックを味わえたのでありました
ミステリとして謎解きが、
人狼ゲームのそれとリンクしているのも楽しいわけだが、
それはそれとして、生放送ならではの、各出演者の読みあいや、リアクションも楽しく
本当にこんな放送あったら、面白そうだなと思いながら見たのである
割と犯人はわかりやすい感じだったけど、
それはそれとして、この番組どうなるんだという興味に
ぐいぐい引っ張られた感じだった

テレビがオワコン化してきている昨今だが、
そこに何か可能性がないかを書いた本とも読めなくもないが、
実際はこんなにうまくいかないだろうし、
みんなが見てて、わくわくするというそれが、
今は起こし得ないものになってんだなという寂しさもありつつ、
テレビで育った世代としては、大変面白く読めた物語だった

事件の真相自体はさほどの話しでもなかったのだが、
最終的にそれでいいの?という終わり方だと読んでしまったんだが
まぁ、色々達成したし、それでいいのかと妙な納得をして
あまり深く考えず、プロデューサーとしてこの放送を成立させる知恵と
実際に行われるゲームの人狼探しと、本当に起きてしまった殺人犯探しが
なんだかんだ忙しく絡み合って
読んでいて楽しい小説だったとメモっておくのでありました

実際に放送するには、人狼というゲーム自体がニッチすぎて
ゴールデンにはやれないだろうなと夢もなにもないことを思ってしまったんだが
それぞれの思惑がぶつかりあうテレビという現場が
なかなか楽しく描かれていてとてもよかったと思うのである

【ドラマ】家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

2024-10-08 21:05:54 | ドラマ映画テレビ感想
もともとBSでやってたやつの地上波放送を見たのでした
表題作のエッセーは読んでいたので、なんとなし面白そうな
前向きになる痛快コメディとか期待したんだが
まぁ、確かにそういう雰囲気もありつつも
結構重めに人間ドラマをしていて、不思議要素もありつつ
面白いドラマになっていました
ドラマ内で小説を書けと言われていたそれが、ひょっとすると本作にあたるのか?
そういう入れ子構造はわからんけども、
役者の演技もよく、演出も妙な感じがマッチしてて
滑ってる感じじゃなかったのがとてもよかった
夢シーンとか、ひたすら、にゃーとか、割と雑なファンシーさを混ぜてくるとか、
お母さんが奇跡を起こしたように見せかけて特になんでもない時に、
物凄くわざとらしくスポット当てるとか
ああいうの好き…

と、まぁ、そういう小ネタみたいな笑いを強引に挟んでくるところが
凄い原作っぽさというか、あの文章のテンションとテンポを
映像化という方法に落とし込んでいたんじゃないかと
かっこいい感想を書いてしまうわけだけども、重めのテーマを
割とあっさりと描いていて、凄くよかったと思うばかり
劇中でインタビュー受けて、インタビュアーの方が泣いてるシーンがあったけど
実際、言葉だけ並べるとかなり壮絶な人生よなと思うのである
それを面白い感じの文章にしてしまえた、才能というか悲劇というか喜劇というか
凄いなと思うばかりであった

個人的に、ドラマオリジナル要素だったと思われる
マルチなる友人のキャラクタと、その関わり合いが凄いよくて
諸々の諸事情に加えて、マルチ商法の家庭に育ってしまった友人とか
ハードパンチすぎやしないかと思っていたけど
あの役者さんのこれまた軽妙な演技が、
まぁ二人ともすごく軽妙でありながら真面目で、おかしいのが滑ってないという
稀有な感じになってたところが凄いと感心したわけだが
ともかくよかった、言葉遣いとセリフ回し、唐突に英語とポルスキを喋るとか
素っ頓狂な設定も含めて、全部いい、すごく素敵、大好きと思えたキャラクタだった

あの見せかけかもしれない友情という、
話しとして案外重そうで、そうでもない、なんともいえない
雑に扱ってそうで、とても大切なという
滅茶苦茶な感じが、このドラマというか、主人公の人生そのものを顕してるみたいで
凄くいいなぁと、あのくだり全部好きだわと思ってみていたのである
ドラマとしては、彼女が退場でもないが、割と色々整理してしまった前後で
認知症のおばあちゃんの部分が重すぎて、
あまりにも認知症演技が上手すぎると衝撃を受けて、かつ、
同時期くらいに朝ドラの方でも、認知症の余さんの演技にあてられていて
身近に二人も違うパターンの認知症患者がおると錯覚するほどになって
ダメージを受けてしまうほどだったんだが
その重さを抜けて、お父さんへの気持ちとかが描かれて
お母さんの想いとか、あれこれ、決して弟が主人公にはならない位置だけど
いないといけない、そういう家族だという愛が描かれていたようで
大変よかったと思うのでありました

ドラマ見て、はじめて、この著者の人が割とアレな感じというか
天才的になんでもできるんじゃなく、割と滅茶苦茶でノリと勢いと元気で
なんとかしてた人なんだなと知れたようでもあり
文章だけでは伝わらない人間ドラマを見た気がしますと
書いておくのである

まぁこれもまた、ドラマを通しているので本人とは異なるものなんだろうが
構成する一部であろうと思っておくのであった
ともあれ、楽しかった

ああ、あと、林遣都が相変わらずぶっ飛ばしてる感じで最高によかった
本当好きな役者だわ、真面目に面白い感じが出るというのが凄すぎる
滲み出るいいひとっぽさとか、わかってなさみたいなのとかの
雰囲気作りが天才すぎると思うのである、もっと見たい役者だ

【読書】黄昏のために

2024-10-07 21:05:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
黄昏のために  作:北方謙三

久しぶりの北方御大の小説であります
短編集?短編連作?わからないまま読んだのだが
ある画家の話しで、その画家が描こうとしているもの、
その抽象を文章で表現しているといっていいのか、
もっと単純に、ただかっこいい、やっぱりハードボイルドなそれだったということか
自分ではよくわからないままに、でも、かっこいい雰囲気に酔いながら読んだのでありました
酒と女が出てきて、それをどうするか、
そこに男の選択が、言い訳のような言いざまとともに描かれる
やっぱりこれが、ハードボイルドというやつなんだろう

命のないものを描くことで、逆に命を描くことになるのでは
そんな、ありそうな題材で絵を描いているという描写で、
ある時は無生物を描き、ある時は動物の骨を描きとしつつ
何をもって生きたものを描いているといえるかと
そんな哲学めいたことも考えつつ
それと同時に、そういうものを商売として金にかえようというブローカーがいて、
でも、それを求めてもいるし、嫌ってもいるという状態にたゆたい
行きずりの女と関係をもったり、持たなかったりして
ただ漫然と生きて、時折絵を描いている、そういう情景が続く

結局、それも途中でしかないというのか、
そのあと、唐突に何かに出会ったようにして描くというシーンが二度ほどあって、
狂気とも異なる、集中、想起、没頭といったものがあって、
とてもよい絵が生まれたと、その描写だけで満足できそうな楽しさというのか、
読んでいて、満たされるといった感情を抱けるものだった

結局、何を書いていて、何が書かれていたか
そのあたりはさっぱり理解できなかったけど、
いい雰囲気をずっと読んでいる間感じられる、浸ることができる
そういう小説だと思った
多分、読み手の俺がハードボイルドをちゃんと読んでないから
入口が見当たらないという感想なのかもしれない

光る君へ  まぶしき闇

2024-10-06 20:47:24 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
前触れもなく道長が、父親そっくりになってきたのが
衝撃的というか、本当、ああいう感じまで含めてそっくりだな
大政治家といっていいのだろう、藤原道長が見られそうで
大変楽しみである

さて、伊周がどうなるかと思ったら、あんな感じかと
こっちもまた唐突に呪詛返しが決まった感じになってしまっていて
精神になにかをきたしたというやつだったんだろうなと
現代にも割とありそうなそれだと、また、呪いの正体がわかったというか見えたような
そんな気分である、呪詛というのは結局メンタル攻撃による
精神疾患のあれこれなわけだなと腑に落ちてしまうんだが
いやいや、本当にそうなのかとも思ったりなんだったりである

のっけは、清少納言とバトル開始かと思いきや
案外いい感じからの、やっぱり敵情視察みたいな感じで
気が抜けないのは確かというか、しっかり爪痕を残していった感じだが
あの後、伊周と会って、こりゃあかんという感じになって
さらに、東宮問題でどうなってしまうか
こちらも目が離せないと思うばかりである
別に、東宮なれなくても殺されたりしないと思うんだが
それでは納得しないというか、いや、坊主にさせられたら死んだも同じだから
やっぱり悲しみ、そして、まひろを恨むんだろうか
毒舌化したまひろを見たかった気がするけど、本作ではそうならなそうで
ちょっと残念ではある、まぁ、そもそも清少納言側から紫式部をどうしたとは
出てない気がするから、これでいいのか

和泉式部もさらっと参戦してきて、
しかも、いきなり魅惑魔法でもかけたみたいになってるのが
天才的すぎるだろうと衝撃的だったんだが、
いわゆる高級サロンというやつは、あんな感じなのかしらと
ぼけらったと観ながら、すげーなーと素人感嘆を見舞うばかりでありました
そして、道長の妾も本妻も、それぞれが躍動するかのように蠢いていて
なんというか、いかにも平安時代という感じが
大変楽しいと思ったのでありました
次回もまた楽しみだが、どこに向かっていくんだろう、この物語わ

終幕後の紀行の方で、呪詛の証拠が披露されてたけど
さらっと、平安時代のああいうものがでてくるというあたり
京都という土地のすごみというか、何か本当すげぇなと
感心させられたのでありました、呪詛も考古学の前にはただの展示物というのが
グロテスクというでもないが、凄いことだな

【読書】国道沿いで、だいじょうぶ100回

2024-10-05 20:55:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
国道沿いで、だいじょうぶ100回  著:岸田奈美

相変わらずの楽しいコラム集であった
先日NHKのドラマも見たので懐かしくなっていたところ
新刊が出るというので早速読んだわけだが
他愛なく面白おかしく、日々のことを楽しく書いていて
いいなと思って読んだのであった

ドラマのエピソードとリンクしているような部分もあったりして、
実話をもとにしたドラマだから当たり前だけど、
なんとなしタイムリーに読めたという感じもあって楽しく、
弟さんがグループホームで暮らすようになった変化だとか、
お母さんが入院していたところの描写とか、
リアルの方の大変さと、それでも面白く楽しくの精神が生きた文章がよくて
なるほどなぁ、大変やなーと思いつつ読めるのである

電撃的な面白おかしいことは少なくなっているのかと思いきや、
同じような間違いとかを犯していることも相当あるようで、
前回読んだとき、このお姉ちゃんはちゃんとした人なのかと思ってしまっていたけど、
ドラマで見た通り、結構危ういというか、なかなかの困った人物であるなと
そういう感じのエピソードが多くて、より理解が進んだというか
そんなもん進める必要ないんだけど、わかったような気分になってしまうのであった
色々抜けてるところが多い様子だわ
本で読む分には楽しいし、実際すごく楽しそうな生き方でもあるが、
近くにいると、なんかイライラしてしまいそうだと思うのである

とりあえずなんも考えず、なんかできそうだというところには
すぐに賭けるというか、投資とも違う、お金と労力を惜しまないという
曲がらないスタンスが見事で、それによって、
様々な問題というか、混乱を巻き起こしているので
まま楽しそうに見えるけど、相当大変だよなと
素人で、苦労とばかりが集まる免許や資格の試験をほいほい受けに行く
フットワークの軽さは、尊敬と恐怖が入り混じるばかりである
そういうものを畏敬と呼ぶようだが、なんか違うな

とはいえ、当然のように難儀も多いようで
「だいじょうぶ」100回は自分へのエールでもあるようだし、
なんも大丈夫ではないけど、がんばりや、という気持ちを奮い立たせるというか
無理やりそう思い込むための呪文のようでもあり
強さなのかなと思ったりして、笑いながらも考えさせられるのであった

ともかくパワフルに生きていただきたいと思っていたら
ドラマのおかげなのかしらんが、
出てきた赤い車に乗ってるとのことで、
あんな旧式のVOLVO大丈夫かと不安で仕方ないのだが
まぁ、楽しそうだしいいかと思うのであった、すでにボコボコになってそうだな

【ドラマ】星新一の不思議な不思議な短編ドラマ2024夏

2024-10-03 21:05:52 | ドラマ映画テレビ感想
3週にわたって再放送だと思ってのんびり、夜ドラを見ていたら、
最終週は見たことない気がすると釘付けになってしまったので
とりあえずメモっておこうと書くのである

とりあえず再放送については、前回見た中でも一等好きだった見失った表情があったので
それだけでも満足と思いつつ、そうか、この女優さん代理母の役の人だったかと
今更気づいて衝撃を受けたのである
この女優さんの演技好きなんだな俺、気づかされてしまったと思うばかり

さておき、地上波初めてだったんじゃないかと思うのだが
新作3編、鍵、買収に応じます、処刑と、硬軟多彩な感じで大変よかった
相変わらず俳優が豪華だなというのもあったけど
それぞれが短編で大変面白かった
本シリーズはちょっと映像に力を入れすぎてて、前衛作品みたいな感じがして
あんまりなーとか思ってしまっていたんだが、
それが「処刑」で見事に昇華されていて、作品の雰囲気がどうあれ
そういう物語だったなと説得されるみたいな、映像暴力を浴びた感じで
大変よかったと思ったのでありました
狂気と、割とわかりやすい寓話とでもいうような、水を飲むという行為に短絡化された人生という
こういうわかりやすいのがいいなと思いつつも、そのわかりやすさの破壊力をあげる
退廃がすぎる映像と、ここで窪塚もってくるんだというキャストの良さもあいまって
実に素晴らしかったと感動したのでありました
直線的で、深く考えすぎない、その鋭さが星新一だよなと、勝手なことを相変わらず思ってしまうが
とてもよかったなと思うのである

鍵の方もしんみりした話しだけど、これもまたよくできていて
いかにも童話のようなショートショートだなと思えて満足だったし
買収に応じますについては、LIFE味が強すぎるとか思ってみてたけど
滑稽劇として完成度が高すぎるので、これも正解だなと
役者がボケそうでボケているようで、ぼけていないけど
話しが笑わせるという、何重になってる何かもわからん感じが好きだった

と、三編の新作というか、初めて見たやつにいたく感激して
見てよかったなと満足したとメモっておくのでありました

【読書】利休の茶杓

2024-10-02 21:05:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
利休の茶杓  作:山本兼一

幕末頃の古道具屋さんを舞台にした人情話し
落語の演目にでもありそうなやりとりと筋なんだけども、
様々な骨董や道具が出てきて面白かった

ただの骨董話しなら、それだけで済むのだけど
剣呑な時代の京都を舞台にしているので、お客で新選組が出てきたり
勤皇浪士がでてきたりとあやしからんところもあるんだが
政治向きの話しはまるでなく、さりとて、京都の市中では
実際こんな感じで、普通の人が志士とすれ違ってたのかしらんと
思ったりもしながら読めるのでありました

鉄細工やら、茶碗やらもでてくるのだが、
楽家代々の茶碗を展示していたら、どんどんと筋のよい客が寄ってくるようになったと
まぁ、当たり前といえばそうなんだが、道具が人を呼ぶという話しそのものが
丁寧に書かれていて、なんとなし、そういう世界が見えるようでよかった
実際よいものがあると見に行きたくなるし、それで商売の幅がでてくるというのは
骨董ではポピュラーな手法なんだろうが、その茶碗の豪華さというか、
物としての強さというのが軸に語られているので
古道具好きとしてはよい小説だなとにやにやしながら読むのであった

表題作が〆の一本になっていて、
道具箪笥の中に大量の茶杓が入っていて、
そのうちの一本だけが利休のそれなんだが、その行方を追いかけると
そんなお話で、芹沢鴨が出てきたり、なんだかんだと
ばたばたしながら面白く物語が進んで、
なるほどというオチがまた、とても座りがよくて楽しかったのでありました
結局、気に入らないと物を壊すということをする人がいて
そういう人が本当の物をわかるものかというでもないのだが、
その順位への反感と打算というものが、
人によって、物への価値、品というものに転嫁、算段されるものだなと
改めて思うのである

随分高価なという話しもあるが、
結局それを買いたいという人がいてこその相場だし、
その値段には意味がないともいえるなと、不思議な業界だよなと思いつつ
まぁ、そんなことはさておいて、よいものを愛でるということが
気持ちよいという感覚だけ教えてくれるような、やさしい物語にほっとしたのである

【映画】侍タイムスリッパー

2024-10-01 21:00:32 | ドラマ映画テレビ感想
話題作とは、言い過ぎかもしれないが
なんかやたら評判よいとのことで、近所の封切二日目に見てきたのである
いやー面白かった、久しぶりに時代劇っぽいもんを見た

時代劇を扱っているというだけで、
実際は時代劇ではないし、ある種の楽屋落ち話しのようでもあるなと思ったけど
変にあれこれと考えさせられるようなこともなく、
幕末の侍がタイムスリップしてきて、現代で時代劇の切られ役をやってて、
なんとか生きていくという姿を見た
と、まぁそんな感じで、斜陽である時代劇への悲しみもあるんだが
それがメインというわけでもなく、ほどほどのコメディといったらいいか、
往年の邦画によくある笑いのシーンというのがいくつもあって、
ほのぼのとみられる大変良い映画でありました
なによりも、主役というか、主題が殺陣なのがとてもよかった

見ている層もかなり年齢高めだったからか、
館内で笑いが割と起きるというのも、視聴環境としてよかった気がする

主演の山口馬木也さんは、個人的にはとても好きな俳優さんで、
かつては、剣客商売で大治郎やってただけあって、殺陣はお手の物と
わくわくしながら見ていたわけだけども、流石にあれから年齢を重ねているからか
佇まいが素晴らしいと思うものの、やや迫力にかけるなとか思ったのであったが後述、
渋みのあるいい殺陣だし、殺陣を学ぶシーンによって、殺陣と剣術の違いがわかりやすい
八相に構えてからの上段が振りかぶりではなく、天を突くようにするという
後ろの役者さんに配慮するそれであるとか、素人にも優しい解説が
これまた物語としてもキーというか、ある種の象徴になってて大変よかった
ネタバレというほどでもないと信じるが、後半、その殺陣ではない上段を振るシーンがあって
この対比が見事だなと感激したのである
あとは、細かな部分でも、刀の重さが伝わる演技というか動作だとか、
切っ先の振れをいかになくして、竹光を本物のように見せるかというあたりが
凄くよいなと感激したのである、このあたりも昔は当たり前だったんだろうけど
今となっては、ロストした技術なのかもしれんな

笑いのシーンにも、殺陣をやたら使っていてというか、
わかりやすいギャグが用意されていて、
切られ役のオーディションというか、試験なのに気づくと切ってしまっているみたいな
天丼が相当数のパターンで披露されるのが、テンポいいギャグでもあるし、
あんだけのバリエーションの殺陣も大変だなとも思うしと
かなり面白く笑わせてもらったのであった、秀逸だったわ

最終的にその殺陣をめぐって、大型映画の最終シーンに秘策というか、
ある提案がなされて、そこからの緊張感と、入れ子式になった
殺陣を見ているのに、殺陣とは思えないようなシーンを映画として見るという
不思議なそれがすごくよかった
このあたり、撮り方というか、手法としてベタだなと思うんだが、
それこそが演出と殺陣というものだよなと思い知らされるようで
実に面白くて楽しかったのである
クライマックスも見事だったが、そのあとのオチに向かうシーンも
小気味のよい笑いで〆てる感じがとても健やかで、いい映画、物語を見たなと
なんかとても感激して見終えたのでありました
なによりも、このラストのために、序盤の殺陣シーンの迫力を抑えていたんだなと
そう結論づけたのである、山口さんの殺陣、すごみがあってやっぱり好きだわ

なにせ楽しかった、時代劇いいなーと思う一作であったわ
まぁ、時代劇じゃないんだけども