<藤原帝目当てで見始めたので、視点がずれた感想を書かせていただきます。>
帝がどんどん壊れていきます。
見た目でも目の下の隈が、彼が病んでいる事を物語ってしまうのでした。きっと何日もまともに寝ていないに違いありません。
帝は神経質で穢れを嫌い恐ろしい人です。だけれど宮廷に、彼の本当の味方などいるようには思われず、チャグムの母の二ノ妃すら息子の為には蛇にも魔女にもなりそうな怪しげな雰囲気を醸し出し、彼女が利用している聖導師は、妃の心をくんで皇太子を病に陥れた模様・・・・・・
皇太子の病が手を尽くしたが無理で、医者は一の妃と共に帝にすがるしかないのだと言うのでした。
つまりちょいちょいと治してやってくれと言うのです。なぜなら彼は神と信じられているからです。
でも彼にはそのような力もなく精神的に追い込まれてしまっているのでしょうか。
力なきものが、その力に頼られる苦痛。
本当にそれは物凄いものがあると思います。
でも彼は彼の祖先がそうであったように、気弱でちっぽけなただの人間だったと思います。なぜなら、身近で精霊の卵を宿し、不思議さ全開になった者は我が子なんですよ。それを上手く利用する事も出来たはずです。それなのに、排除すると言う選択を取ってしまい周りの者の忠告にも耳を傾けることは出来ません。
この国の開国の真実はきっと聖導師は知っているのですね。
なんか物凄い癖モノなんじゃないかと疑っています。
かつて遠い昔、聖導師に帝が操られたように、彼もまた何かで操られようとしているんじゃないかなどと思ってしまいます。
チャグムに宿ったものが水の精霊の卵なのでか分かりませんが、水を穢れたモノと忌み嫌い、喉の渇きを癒すために真っ赤な果実を食す帝。
ただ静かに食べているだけなのに、何かの心臓を食べているかのように不気味です。
たっちゃん、良いお仕事をしています^^
自分の力はインチキ。そうは言っても正統な後継者であったならば、いくらでもその伝統的政治を儀式絡みにして守っていくことは出来るはず。
それでも身近に本当の力のようなものを宿った者を、息子でありながら粛清しようとする帝。皇太子が病気になると、息子の心配の本心は後継がいなくなること。彼には息子たちへの愛は微塵もないのです。それは彼が同じように愛されて育ってこなかったゆえに愛を知らないのだと、容易に推理できるような気さえしてしまいます。
三年後には帝もチャグムもハッピーエンドだと良いのになと、ちょっと難しい願望を抱いているのですがどうでしょうか。
それでは視点を戻しまして、普通の感想を少々書いておこうと思います。
さりげなくバルサとジグロの旅の物語は、ジグロの死をもって終わってしまいました。二人の旅の途中でジグロは8人の仲間を殺しました。バルサは彼に
「私は8人を助けるから。」と誓いを立て、彼の贖罪の気持ちを癒そうとします。
ジグロはそんなバルサに
「助ける事は殺すことよりも難しい。」と告げるのです。ジグロにとってバルサとの生活は、とっても張りの有る幸せなものだったのでした。
誰かたった一人でも愛されて守られると言う事は、とっても暖かい素晴らしい事なんですね。
チャグムはバルサとジグロの話を聞いて、まだ自分は何と戦っているのか分からないが、強くなりたいとバルサの指導を求めるのでした。
そして精霊の卵を宿した事をもう恐れないと誓うのです。
なぜならその卵を宿したおかげでバルサとダンダと会えたからです。
いつかチャグムが王宮に帰ったら、城の外で学んだことが多くて良きトップになるのではないかと思いました。
精霊の卵を狙うラルンガの姿が現れました。
精霊の卵に導かれるように青池に向かう一行。
そこでラルンガから逃れたチャグムは、卵に支配されたかのように体が青く光ると、どこかに消えてしまいます。
また来週、とっても楽しみです。
でも一部のラストで、しばらくはオヤスミ。さみし~。
精霊の守り人 (新潮文庫) | |
上橋 菜穂子 | |
新潮社 |
レビューではみんな褒めていますね。凄く気になる一冊になりました。