ねえねえ、あの時さ、
「私たち、ここで降りるんじゃない?」って言ったのは、たしかあなたよね。
私たち、結構似た者同士よね。
落ち着いているように見えるけれど、
しっかりしているように見えるけれど、みんな私の仲間。
はっきり言って、そそかっしいのよね。
私たち、良いトリオだったと思わない?
だから笑いもいっぱいで、三人で沢山歩いたよね。
そうそう、だからあの時も、私たちは急いで飛び降りちゃったけれど、それは勘違いで、なんだかふぅふぅと遠回りしてたどり着いたんだよね。
「私たち、ここで降りるんじゃない ?」
「えっ !?」と言って、飛び降りちゃったけれど、そこは「佐野市駅」で、私たちは次の「佐野」で降りる事になっていたのよね。
扉が閉まって、電車が行っちゃって、そして見つけた駅のホームにあったデカデカと大きな看板。
「両毛線乗り換えは、佐野市駅ではありません。」みたいな?
次の電車は延々と来ないし。
三人でボーゼンとしたよね。
漫画、もしくはまるでコメディよね。
だけどちょっと映画のエピソードみたいじゃない ?
しかもあの時ね、だからその町で綺麗な牡丹の花を見つけたじゃない。
駅では、同じようなことしちゃってオロオロと迷っている外国の人を助けることができたじゃない。
さすが、私たちよね。
きっと、「ねばならない過ち」だったのよ。
そしてそれからあの時もとか、またあれもとか、面白い事ばかり思いだしてしまう私。
「私たち三人B型だから似た者同士で、だからうまい具合に支え合っていたのよね。」って、星子さんは言ってたね。
じゃあ、あなたが居なくなって、どうするのよ。
トライアングルの支え合いが出来なくなっちゃったじゃないの。
ううん。
だけど私たち、あなたの事を忘れないから。
ずっと覚えているから、だから今までと同じだね。
愛子さんが10月2日に突然亡くなった。
本当は、いつかはそんな日が来ると心のどこかでは私は思っていたと思う。だけど信じたくはなかったのだ。
いつもの私なら、しっかり受け止め悔いの残らないようにしようと思ったと思う。いや、本当はそう思わなかった自分をほんのちょっぴり悔いている。
だけど大人しくてなんだかのんびりしているような愛子さんには、違ったテンポが存在していた。
もしかしたら私が知っている知識はすべて意味のない事で、新たな奇跡が起きるのではないかと、私はそれを信じていたように思うのだ。
だからその連絡のメールが来た時には、「突然」のような気がしてならなかったのだった。
2017年の私のブログ記事は、お出掛け日記で一杯。そしてそこに登場していた愛子さんと星子さん。
名前こそはジャカスカとは登場はしていなかったけれど、半分以上のお出掛けはこのトリオで出かけたのだった。
私たち三人の2017年は輝いていたと思う。
私も星子さんも、そして愛子さんの一年も。
楽しい時間を、ありがとう。
10月3日。
マンションの園芸サークルの活動日。
サクサク進んで、さて今何時かなとスマホを取り出したら入っていた
「愛子さんが亡くなった。」と言う文字。
言葉を失いつつも、それでも私は微笑んで、
「じゃあ、皆さーん、終わりにしましょう~ !!」と言う私。
昼間は美容院に行き、カットとマニュキュア。待っている間にずっと愛子さんの事を考えていて、時々涙ぐむ。だけど思いだしていたのは、
「もう、まったく、笑っちゃうわ~。」ってなことばかり。
夕方から中学生の中間テストのためのお手伝い。
3時間以上の英語のお手伝いで、私の方が拷問よ~。
ゼィゼィ・・・・・・。
はぁ~。
タメイキ・・・・・・
イヤイヤ、これは疲れたから。
また、はぁ~。
いやいや、これは違うタメイキ。
もう朝からどれだけため息をついたことかしら。
「no longer は『これ以上~ない』『もはや~ない』。なかなか使えそうな言葉よね。
You are no longer a child.
I’m no longer young. とかね。」
「ええと、次・・・・rest in peace…これの意味は。」
「安からにお眠りください、ですよね。」と少年。
「うん、そう。」
そして私は、またため息をついた。
少年はちょっと不思議そうな顔をして私を見た。
私はちょっと頷いて、もう一度復唱したのだった。
rest in peace って。