この作品は、松山ケンイチと芦田愛菜との出演で映画化されていた事は知っていましたが、未見です。
祖父の葬式で隠し子であるりんの存在を知り、その子の扱いに困っている親戚たちの会話から、勢いで引き取る事になってしまった大吉の子育て奮戦記かと思って読み始めました。
確かに最初は子育て奮戦記。
けっこう仕事も出来る大吉なのに、りんを育てるために部署を変えてもらったり、職場の人たちに体験談を聞きまくって、新しい人間関係を築いたりでなかなか面白かったです。
やんちゃマックスのコウキとその美しいシングルマザーの母と知りあったり、りんが小学校に上がるとパパ友が出来たりと楽しいです。
またりんの母親が、ぶっ飛びの設定で興味深いのですね。
そのりんの母親、正子との歩み寄りや、コウキの母とのラブストーリーも絡めて、物語が進んでいくのかと思ったら、5巻でいきなり、りんは高校生になっていました。
りんとコウキの青春物語が中心に・・・・・。
なんかあまり面白く無くなって来たなと思いつつ、読み進めていくと、話はそう単純ではなくて、安易に上手くいかない所がなど、ちょっとやきもきさせて引っ張られました。
しかしふと、30歳の独身男だった大吉が、40になっている姿を見て、メチャクチャ可哀想に感じてしまったのです。だから私が、ちょっとつまらなくなったと感じた5巻からも読み進めたのは、彼になんか良い事が起きないかなと思っていたからだと思います。例えばコウキの母と上手くいくとか・・・・。
これ、ハッピーエンド。
だけどこの終わり方に、なんか気持ち悪いんじゃないと思う方もいると思うのですよ。
愛がすべての少女漫画には、昔からこの手のお話には、もっとどぎついものもたくさんあって、読み慣れているので、私は許容範囲です。
だけど、
☆ ☆ ☆ 以下ネタバレしています。
私もその本を閉じて、ふとリアルにそのようなカップルがいたら、自分の妻を育てた「源氏物語」のようなものだなと思いつつ、ちょっとだけ道徳心がうずきます。
実は私、日本が誇る大ベストセラー作品である「源氏物語」の紫の上のお話にも、ちょっと嫌悪感を感じるのです。あれは本当に酷い話だと思いますよ。可愛いからって誘拐してきて、自分の理想の妻を育てるのですものね。
ところが古から、それが「素敵~!!」っていう認識になっているのでしょう。作者が女性って言う事を考えると、女性の心理の中に、そう言う潜在的願望があるのだろうかと首を傾げたくなるのです。あっ、これって「源氏物語」の話ですよ。
そんな事を考えていると、エディプスコンプレックスの何チャラかんチャラとか考えだしてしまうので、これは漫画だと言う結論で終わりにしたいと思います。
何が言いたいのかと言うと、大吉に良い事はありました。りんを妻に向かえ、二人はずっと幸せに生きていくと思います。
10巻は本編には描ききれなかったエピソードが収められています。
コウキのその後なども。また正子さんの新しいパートナーとのエピソードは凄く良かったし、大吉とりんのその後も、良かったです。
うちのラッタさん、本編の最終回以降の10巻まで買ってあったのは、やはり最後が気になったし、ちゃんといろいろと見届けたいような気持ちになったからなのかと思いました。
今度会った時に聞いてみよう。
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