この漫画の感想を書くのに、ふと自分が18歳だったら良かったのにな、いや、18でなくてもに28歳ぐらいだったら良かったのになと思いました。
しかし現実は、私はもうー。
今時の絵柄であり、若い人たちを中心に絶大なる支持を受けているこの作品の感想をまじめに書くのは、ちょっと気恥しいような気もするからです。
だけどいつも言ってることですが、実は人間の中身は歳を重ねたとしても若い時とそうそう大差ないのだと私は思っているのです。それを実感させるもの、またはあぶりだすものが、この作品にはあったように思いました。
ただ歳を重ねていく事で感性が失われて行くということは確かにあると思います。反面、それによって培われる経験値もあるわけで、また違った視点を得る事が出来ると言う事も確かな事だと思うのです。
18歳の私だったら、この物語を今のように感じる事が出来ただろうか、28歳の私に同じように感じる事が出来たのか、むしろ疑問に感じるのでした。
この物語には、大人はほとんど出てきません。自分の私生活をさりげなく晒してしまう子供じみた担任の先生とか、ヒロインの若い母親ぐらいで、後はせいぜい魔女に影響を受けた通りすがり程度。
少女たちの宇宙。それがこの作品の世界なのだと思います。
だから自分がその世界に引きづり込まれ、かつて自分の中にいた冒険少女が目覚めてしまうのか。それとも突き放した大人の目で、そのヒロインたちを見守ってしまうのか、それさえもよく分からないのですが、ひたすら涙が出るのでした。
中学二年生、たった14歳かそこらの少女。
「魔法少女」と言う言葉に、そのコスプレのスケッチなどして世界を救うヒロインの可愛らしい夢を見る。同じ秘密を知る友と笑い合いながら。
この子たちは本当に可愛い !!!
「僕と契約して魔法少女になって。」と言うキュウベイも、とっても可愛らしいキャラ。だけどそれはありがちな、どんな時にもヒロインと一緒に居て、困った時には手を貸し決して裏切らないとっても大事な友達、と言うようなキャラではなかったのでした。
次々と暴かれて行く残酷な真実に少女たちは、如何に立ち向かっていったのかー。
物語的に凄い発想で今までにない斬新さを感じました。
しかもこの絵柄で・・・・・。
この絵の感覚って、本当に「今」と言う感じがするのです。そしてもしかしたら、この絵から感じるのは、この作品を愛する多数の人は男性なのかしら。
そうだとしたら、何で私はあんなに泣いたかなぁ。
少女たちの持つ一瞬の煌めきが、宝石の中に閉じ込められたような、そんな光りを放っているからでしょうか。かつての自分の過去を懐かしむように。
いいえ、それは違います。
私には、あんなに可愛らしく笑ったり友情のためだけに生きたり、美しさだけで成り立っているような少女時代などなく、別の物語の住人だったと思います。
もしかしたらそれ故だったのかも。
リアル世界にはないような理想の少女たちの世界だったから。
まがまがしい世界観と、綺麗で純粋な心の少女たち。確かに嫉妬や羨望、臆病になってひるむなどあったかもしれませんが、いつも最後は他者の幸せを願っている少女たち。見事に作り込まれた物語に多くの人が感心し支持したのではないかと思いました。
今のところ、ラッタさんの本箱の漫画を何作品か読んでいて、この作品が一番心が動いたのですが、だからと言ってバトルシーンが多数なので、このブログの読者様(たぶんワタクシと同年代の方が多いのではないかと。)には「イチオシ」と言う言葉は使いづらいです。(^_^;)
ただ「知っている」「興味がある」と言う事が、それだけで歳を重ねる事で知らず知らずに実行されている自身の中の放出を、多少なりとも食い止めるばんそうこうのような力を発揮する場合もあると思います。
また私の場合は、お仕事の場所でいつと言う約束など無いことですが、意外とね、役に立つことも多いのですよ^^
もちろんそんな計算もなく、ただ面白そうだから読んだにすぎない事なのですが、読んで良かったです。
↑ これはちょっと別物かな。「まどか」も「おりこ」もかなり重いので、この軽さには救われるかも。
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