森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

また来てね。

2024-02-05 16:38:38 | 梢は歌う(日記)

ある時、こんなところにゴミが落ちてると拾って捨てようとすると、

「ダメだよ。それはクウちゃんのお気に入りのおもちゃなんだ。」と夫殿が言いました。

スーパーにエコバッグを持っていくようになって、あの大きさのビニール袋がスーパーからタダでは貰えなくなっても、実は時々あの大きさの袋が必要な時ってあるんです。

その袋をまとめて買って、ちぎった後に残っているその袋の束ねていたところの残骸、それがクウちゃんのお気に入り。

それを投げてやると、飛んで行って咥えて投げた人の所に持ってくるのです。

 

「えー!? 猫もそれをやるんだ !」と私は驚き、思っていた以上に猫って頭が良いんだなと、私は思うようになりました。

クウちゃんはそれでパパさんにもルート君にも遊んでもらうのが大好きなんです。

(私はあまりやりません。かなりしつこいので面倒じゃないですか。猫さんからの信頼度は他の家族よりは低いかも(笑))

 

ある時、私がキッチンに立っていると、いつものようにパパさんがリビングの椅子に座ってそのおもちゃを投げて遊んでいました。

でもそれを取りに行って戻ってきたのはクウちゃんではなくて、ワンコのココちゃん。

行って戻ってはハシャイでパパさんに甘えています。ココちゃんもパパさんも幸せそう。

「ふふっ。クウちゃんが楽しそうに遊んでいるから、やってみたくなったのね。なんだかとっても楽しそうね。」と、私は言いました。

ココちゃんは公園に連れて行って何かを投げても、ぼんやりそれを不思議そうに見つめるだけで、投げた人がそれを取りに行かなくてはならないようなワンコでした。

「ココちゃん、楽しい ?」と私は聞きました。でもその名前を言った途端・・・・私はあることを思い出したのです。

《ココちゃんが家にやってきたときに『15年は生きてね。』と私は言いました。でも15年は生きられませんでした。それでも13年一緒にいてくれました。》という、どこかに書いたような文章が頭に浮かんできたのです。

「でもパパ・・・・、その犬・・・・・もう10年以上前に死んでいるよね。」と呟くように私は言いました。

「ああ、そうなの ?」とパパさんは驚く風でもなく言いました。

ココちゃんは、戸惑ったような顔をして私の方を見ました。

「えっ、良いんだよ。そのままで遊んでいて良いんだよ。気がついちゃってごめんね。大丈夫だから。何にも心配いらないから。怖くないから。」と私は言いました。

 

ココちゃんもパパさんも、もう遊びはしませんでした。

だけどココちゃんは機嫌のいい顔をして、嬉しそうにしっぽを振っていました。

 

もちろんこれは、1月のある朝見た夢の話です。

皮膚病にかかって、最後の時ボロボロだったココちゃん。だけど夢の中のココは、とってもふっくらとしていて綺麗で可愛らしい柴犬でした。

「ココちゃん、好きな時に来て良いんだよ。また来てね。きっと来てね。」

目がぱちりと覚めて、そう私は言い、ほんのちょっとだけ切ない気持ちになりましたが、幸せそうだったココちゃんの顔を思い出し、なんだか幸せな気持ちになったのでした。

 

 


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