語呂がいいのでタイトルを「トラウマ・タクシー」にしてしまいましたが、正しくは「タクシーのトラウマ」です。
このお話を「イギリス旅行記」に入れるのは迷う所なのですが、まあ、次の記事の前振りです。
前にも書きましたが、私の海外旅行経験は独身時代社員旅行で行った「香港旅行」だけなんです。かなり前のことですし、今その時の思い出を話そうとすると、どこいどこへ行って素敵だったと言う事は、全て記憶の中に埋もれてしまっていて、変なことばかり思い出すんですよ。変なことって、時間が経っても忘れずに意外といい想い出になるみたいですね。だからイギリスのホテルで起きた様々なアクシデントも、30年経ったら、そんなことしかお覚えていなかったりする、何てこともありえることですね。
香港の変なことって、空港で会社のお仲間が
「拳銃持ってますか?」と人相だけで言われたこととか、トイレのトイレットペーパーオババの事とか、香港の空港は狭いので急上昇で飛行機が上がっていくのですが、だから腕は超一流なんだとガイドさんが自慢していた話とか、何処のビルの屋上にも家が建っていて、土地に無駄がないこと、信号の渡り方が危ないと言う事、ホテルで金縛りにあって、悲鳴を上げたこととか、「千円千円、何でも千円。」と言う土産物屋が五月蝿い事。マックのハンバーガーが中華味だった事。
意外と覚えていますよね。でも、それは今のことではありませんよ。香港の名誉の為に言いますと、香港の空港は今ではとっても綺麗です。もちろん手を洗うと、すばやくトイレットペーパーをちぎって渡しお金を要求する、トイレットペーパーオババなんて者はいません。
だからこれからするお話も、今のことではないと言う事を御理解してくださいね。
海外旅行は、やっぱり油断禁物と言うお話です。
その旅行中、私たちはタクシーで移動することになりました。オプションのマカオ旅行に行かなかったメンバーで自由時間を楽しんでいたのです。私たちの会社のメンバーは足並みを揃えて、共に行動していました。そこにツアーの若い女性が加わりました。全員で9名。
タクシーには三人ずつ乗ったと思います。最初のメンバーが乗り込んで、次のメンバーがというところで、私は乗り込もうとしました。すると、ツアーの女性が大きな声で、
「ワタシ~!」と言って、乗り込んでしまいました。
私は驚くのと同時に不安になってしまいました。なぜ彼女は人を押しのけても前のグループに乗りたかったんだろう。私は残されたメンバーの二人に思わず
「ねえ、あたしたち三人だよ。大丈夫かなぁ」とぼやいてしまいました。
一人の人は見るからに人が良さそうなおじさんという感じの人でした。もう一人は見るからに若造。それで、この私は23歳ぐらいだったのですが、はっきり言って子供にしか見えません。
大丈夫、大丈夫。と男達はいいました。
「お任せしていいのね。」と私は安心してタクシーに乗り込みました。
が、ですよ。
タクシーの運転手は、もの凄く調子のいい男でした。ブロークンの英語で、ブルース・リーの話とかジャッキー・チェンの話なんかをして、男達を笑わせました。だけど、私の顔は凍りついていました。だってですねえ、メーターがもの凄い勢いで上がっていくんですよ。
カシャンカシャンというスピードではないんです。カシャカシャカシャなんですよ。
その頃の私は「アハハ」と言うタイプではなく「ウフフ」と言う、まだ可愛い時代。今なら、「笑っているんじゃないよ~」と蹴りを入れてしまうかもしれませんが、その頃は「ガハハ」と盛り上がっている男達の笑いをとめることもできずに、
「ねえ、ねえ。」と袖を引っ張る程度。それもメーターの見方が違うんじゃないとか言い返されてしまったりして。
でも、目的地にたどり着いて、請求された金額は他のタクシーの二倍でした。その時男達はようやく気がついたのですよ。この運転手は危ないやつだったのだと。それで、男の一人が勇気を出しておかしい、こんな値段払えないというと、ガイド代だみたいなことを言ったような気がスルノです。しかも、声を荒げて恐ろしい形相でした。
そして、その間もドアは開かないでメータも止めないのです。
「じゃあ、警察に行く。」と言ったらどうなんだろうと私はふと思いましたが、かえって危ないと思いました。それに彼らに任せようと思いました。
私たちはそのお金を払っておりました。
私はその日しばらくの間、口をきく元気がありませんでした。
―やっぱり、おじちゃん、若造、子供と言うメンバーがいけなかったんだと思いました。それから、
―お任せしていいのね。
も、いけなかったんだと思いました。
でも、どうすれば良かったと言うのでしょう。
「ワタシ~!」と言ったツアーの彼女を押しのけて前のグループに乗り込めばよかったのかしら。
まあ、いいや、なんでもお勉強、と気持ちが切り替えられたので、降りる時に立て替えてもらったお金を払おうとしたら、君はいいからと言われました。そういう風に男二人で話し合ったと言うのです。払うと言い張っても精算済みだからと言われて、私には何の損害もないことになってしまいました。
そして私は知ったのです。彼らにとって本当に怖いのはギャングのような運転手ではなく、暗い顔で一言も口を利かない私だったのですね。
だけどたとえ損害はなくても、私には外国のタクシーは怖いと言うトラウマは残ってしまったのです。
このお話を「イギリス旅行記」に入れるのは迷う所なのですが、まあ、次の記事の前振りです。
前にも書きましたが、私の海外旅行経験は独身時代社員旅行で行った「香港旅行」だけなんです。かなり前のことですし、今その時の思い出を話そうとすると、どこいどこへ行って素敵だったと言う事は、全て記憶の中に埋もれてしまっていて、変なことばかり思い出すんですよ。変なことって、時間が経っても忘れずに意外といい想い出になるみたいですね。だからイギリスのホテルで起きた様々なアクシデントも、30年経ったら、そんなことしかお覚えていなかったりする、何てこともありえることですね。
香港の変なことって、空港で会社のお仲間が
「拳銃持ってますか?」と人相だけで言われたこととか、トイレのトイレットペーパーオババの事とか、香港の空港は狭いので急上昇で飛行機が上がっていくのですが、だから腕は超一流なんだとガイドさんが自慢していた話とか、何処のビルの屋上にも家が建っていて、土地に無駄がないこと、信号の渡り方が危ないと言う事、ホテルで金縛りにあって、悲鳴を上げたこととか、「千円千円、何でも千円。」と言う土産物屋が五月蝿い事。マックのハンバーガーが中華味だった事。
意外と覚えていますよね。でも、それは今のことではありませんよ。香港の名誉の為に言いますと、香港の空港は今ではとっても綺麗です。もちろん手を洗うと、すばやくトイレットペーパーをちぎって渡しお金を要求する、トイレットペーパーオババなんて者はいません。
だからこれからするお話も、今のことではないと言う事を御理解してくださいね。
海外旅行は、やっぱり油断禁物と言うお話です。
その旅行中、私たちはタクシーで移動することになりました。オプションのマカオ旅行に行かなかったメンバーで自由時間を楽しんでいたのです。私たちの会社のメンバーは足並みを揃えて、共に行動していました。そこにツアーの若い女性が加わりました。全員で9名。
タクシーには三人ずつ乗ったと思います。最初のメンバーが乗り込んで、次のメンバーがというところで、私は乗り込もうとしました。すると、ツアーの女性が大きな声で、
「ワタシ~!」と言って、乗り込んでしまいました。
私は驚くのと同時に不安になってしまいました。なぜ彼女は人を押しのけても前のグループに乗りたかったんだろう。私は残されたメンバーの二人に思わず
「ねえ、あたしたち三人だよ。大丈夫かなぁ」とぼやいてしまいました。
一人の人は見るからに人が良さそうなおじさんという感じの人でした。もう一人は見るからに若造。それで、この私は23歳ぐらいだったのですが、はっきり言って子供にしか見えません。
大丈夫、大丈夫。と男達はいいました。
「お任せしていいのね。」と私は安心してタクシーに乗り込みました。
が、ですよ。
タクシーの運転手は、もの凄く調子のいい男でした。ブロークンの英語で、ブルース・リーの話とかジャッキー・チェンの話なんかをして、男達を笑わせました。だけど、私の顔は凍りついていました。だってですねえ、メーターがもの凄い勢いで上がっていくんですよ。
カシャンカシャンというスピードではないんです。カシャカシャカシャなんですよ。
その頃の私は「アハハ」と言うタイプではなく「ウフフ」と言う、まだ可愛い時代。今なら、「笑っているんじゃないよ~」と蹴りを入れてしまうかもしれませんが、その頃は「ガハハ」と盛り上がっている男達の笑いをとめることもできずに、
「ねえ、ねえ。」と袖を引っ張る程度。それもメーターの見方が違うんじゃないとか言い返されてしまったりして。
でも、目的地にたどり着いて、請求された金額は他のタクシーの二倍でした。その時男達はようやく気がついたのですよ。この運転手は危ないやつだったのだと。それで、男の一人が勇気を出しておかしい、こんな値段払えないというと、ガイド代だみたいなことを言ったような気がスルノです。しかも、声を荒げて恐ろしい形相でした。
そして、その間もドアは開かないでメータも止めないのです。
「じゃあ、警察に行く。」と言ったらどうなんだろうと私はふと思いましたが、かえって危ないと思いました。それに彼らに任せようと思いました。
私たちはそのお金を払っておりました。
私はその日しばらくの間、口をきく元気がありませんでした。
―やっぱり、おじちゃん、若造、子供と言うメンバーがいけなかったんだと思いました。それから、
―お任せしていいのね。
も、いけなかったんだと思いました。
でも、どうすれば良かったと言うのでしょう。
「ワタシ~!」と言ったツアーの彼女を押しのけて前のグループに乗り込めばよかったのかしら。
まあ、いいや、なんでもお勉強、と気持ちが切り替えられたので、降りる時に立て替えてもらったお金を払おうとしたら、君はいいからと言われました。そういう風に男二人で話し合ったと言うのです。払うと言い張っても精算済みだからと言われて、私には何の損害もないことになってしまいました。
そして私は知ったのです。彼らにとって本当に怖いのはギャングのような運転手ではなく、暗い顔で一言も口を利かない私だったのですね。
だけどたとえ損害はなくても、私には外国のタクシーは怖いと言うトラウマは残ってしまったのです。
それも会社の旅行でしたよ。
同じですね
千円攻撃には あいましたね(笑)
トイレにもお金 チップがいるし ホテルの
シーツの上にも チップを置いておくとかしました。
海上レストランでの 海鮮料理も美味しくて
香港・マカオ←行きましたよ。
料理は 最高でした。
香港のお料理は、本当に美味しかったですよね。
トイレのチップはもうなくなったみたいですよ。でも、今も千円札が役に立つ事は変わりがないみたいです。