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『予防接種制度の見直しについて(第二次提言)』H24.5.23厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会

2012-10-23 23:00:00 | 小児医療

 予防接種のあり方は、子ども達の健康を守るうえで最も重要な政策のひとつです。

 国の検討の進み具合をみるため、『予防接種制度の見直しについて(第二次提言)』平成24年5月23日を読みます。

 提言の概要図は、以下。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002b6r0-att/2r9852000002b6sh.pdf



****厚労省ホームページより*****
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002b6r0-att/2r9852000002b6wl.pdf



予防接種制度の見直しについて(第二次提言)

平成24年5月23日
厚生科学審議会
感染症分科会
予防接種部会


はじめに
○ 平成22年2月19日の「予防接種制度の見直しについて(第一次提言)」以降、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で実施してきた議論、23年7月25日の「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について」、同年9月29日に厚生労働省から示された「予防接種制度の見直しの方向性について」等を踏まえ、予防接種制度の見直しに向けた第二次提言を以下の通り取りまとめた。
○ 今後、新たなワクチンを予防接種法の対象とし、定期接種として実施するために必要な財源の確保や、接種費用の負担のあり方等に関して、市町村等関係者と十分に調整しつつ検討を進め、予防接種法の改正法案を早期に国会に提出することを期待する。


1.予防接種制度の見直しの目的
○ 予防接種は、感染症対策として最も基本的かつ効果的な対策の一つであり、国民の生命と健康を守る重要な手段である。
特に、子どもの予防接種については、次代を担う子どもたちを感染症から守り、健やかな育ちを支える役割を果たすものである。
○ 我が国では、副反応の問題などを背景に予防接種行政に対して
慎重な対応が求められてきた経緯から、世界保健機関が勧告しているワクチンが予防接種法の対象となっておらず、先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの種類が少ない、いわゆるワクチン・ギャップの状態が生じている。
これに対応するため、ワクチンの安全性・有効性や費用対効果なども考慮しつつ、必要なワクチンについては定期接種として位置づける。
○ 予防接種施策の専門性や一貫性・継続性が確保されにくいという課題に対応するため、平成21年12月に設置した厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の取組を発展的に引き継ぎ、予防接種施策を中長期的な観点から総合的かつ恒常的に評価・検討する仕組みの導入が必要である。
また、予防接種は、国民全般を対象に一定の公的関与により実施する一方、避けることのできない一定の副反応のリスクを伴うことを踏まえ、幅広い国民の理解を得ながら透明性・客観性のある制度とするとともに、その適正な実施を確保することが重要である。

2.予防接種の総合的な推進を図るための計画(仮称)
○ 予防接種施策の推進に当たって、その一貫性や継続性が確保されるためには、国民、国、地方自治体、医療機関、ワクチンの研究機関・製造販売業者・卸売販売業者などの関係者が、予防接種施策全般についての中長期的なビジョンを共有し、各々の役割を認識しつつ、連携・協力していくことが必要である。
○ そのため、予防接種に関する評価・検討組織における国民的な議論を経た上で、予防接種の総合的な推進を図るための計画(仮称)を策定することが適当である。
また、予防接種を取り巻く状況の変化や施策の効果に関する評価などを踏まえ、5年に1度を目途に計画の見直しを行うものとする。
○ その内容については、
・ 予防接種施策の基本的な方向
・ 関係者の役割分担
・ 予防接種施策の推進に係る目標
・ 予防接種の適正な実施のための方策
・ 予防接種の有効性及び安全性の向上
などが考えられる。


3.予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの追加
○ 平成23年3月11日のワクチン評価に関する小委員会報告書の通り、医学的・科学的観点からは、7ワクチン(子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、おたふくかぜ、成人用肺炎球菌、B型肝炎)について、広く接種を促進していくことが望ましい。
○ ただし、新たなワクチンを予防接種法の対象とし、定期接種として実施するためには、その前提として、関係者の連携と協力によるワクチン接種の円滑な導入と安全かつ安定的なワクチン供給・実施体制の確保や、継続的な接種に要する財源の確保が必要である。
○ 7ワクチンのうち、子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチンについては、平成22年10月6日の予防接種部会意見書を受けて、当面の対応として子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金事業を全ての市町村で実施しており、23年度4次補正予算に基づき24年度末まで事業を継続できるようになっているが、25年度以降も円滑な接種を行えるようにする必要がある。
○ ロタウイルスワクチンについては、平成23年7月1日及び24年1月18日に2種類のワクチンが薬事法の製造販売承認を受けたことを踏まえ、24年内を目途に、専門家による医学的・科学的観点からの評価を行っているところである。
○ この他の疾病・ワクチンについても、当該疾病の流行やワクチンの開発・生産の状況などを踏まえ、今後、評価・検討組織で評価を行う。



4.予防接種法上の疾病区分
○ 疾病やワクチン効果の特性に応じて、集団予防に重点を置く1類疾病と個人予防に重点を置く2類疾病に分類し、接種を受ける努力義務や接種勧奨という公的関与に差を設け、健康被害救済等に関しきめ細かく対応することには一定の合理性があり、また、平成13年の予防接種法改正時に高齢者を対象とするインフルエンザワクチンを定期接種に位置づける際に2類疾病を導入した経緯などを踏まえ、疾病区分に係る2類型を維持することが適当である。
ただし、疾病区分の考え方は国民には分かりにくいという課題もあるため、国民への分かりやすい情報提供に努めることが必要である。
○ 疾病区分の要件及び7疾病を予防接種法の対象に位置づけることとした場合の分類案は、以下の通りとする。
・ 1類疾病
要件①:集団予防を図る目的で予防接種を行う疾病【Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、おたふくかぜ】
要件②:致命率が高いこと、又は感染し長期間経過後に重篤 になる可能性が高い疾病になることによる、重大な社会的損失の防止を図る目的で予防接種を行う疾病【ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎】
・ 2類疾病:個人予防目的に比重を置いて、個人の発病・重症化防止及びその積み重ねとしての集団予防を図る目的で予防接種を行う疾病【成人の肺炎球菌感染症】
○ 新たな感染症の発生、新たなワクチンの開発、予防接種の安全性や有効性に関する知見の集積、予防接種を実施する体制の整備など、予防接種を取り巻く環境の変化に応じ、今後は評価・検討組織による総合的・恒常的な評価・検討に基づき、機動的に対象疾病を見直すため、2類疾病についても1類疾病と同様に、政令で対象疾病を追加できるようにすることが適当である。
○ 「1類・2類疾病」という疾病区分の名称について、感染症法の「1~5類感染症」と混同しやすいとの医療現場等からの指摘を踏まえ、実用性や法令上の用例を勘案し、例えば、「A類・B類疾病」と変更することを検討する。


5.接種費用の負担のあり方
○ 予防接種法の定期接種は市町村の支弁により実施されている自治事務であり、地域住民の健康対策の一環として長年にわたる市町村の尽力で安定的に運営されている。
また、経済的理由により接種費用を負担することができない場合を除き、接種時に実費を徴収できるとされているが、その一方でほとんどの市町村においては、実費の徴収を行わず、公費で負担している。
○ 一方、定期接種化を検討している3ワクチン(子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌)については、平成22年度から公費負担対象者が9割相当となるよう必要な経費を公費負担する仕組みを国として導入することにより、接種の促進を図っている。
○ 接種費用の負担のあり方については、以上のような事情にも留意し、市町村等関係者と十分に調整しつつ検討するべきである。
○ 予防接種に公的保険を適用することについては、医療保険制度の目的に関わる重要な変更となるだけでなく、がん検診や乳幼児健診など他の地域保健の事業との関係の整理や、医療保険財政が極めて厳しい状況にあるなどの課題があり、国民的な議論が必要である。
○ 国は、予防接種の意義と効果について、医療経済的な分析を含め国民に分かりやすく周知し、費用負担への理解の促進に努める。


6.ワクチン価格等の接種費用
○ 我が国の現下の厳しい財政状況を踏まえ、今後新たなワクチンを予防接種法の対象とし、定期接種として実施するに当たっては、適正な実施の確保を前提に、より一層効率性の観点が重要となる。
○ 新たなワクチンの追加に向けた評価を行う際には、評価・検討組織は、医療経済の観点からの費用対効果分析を行う。
○ 予防接種施策の実施に当たっては、国は、ワクチン価格等の実態や、他の先進諸国において公的に接種されるワクチンとの接種費用の差などを勘案しつつ、予防接種施策の効率的な実施のために必要な措置を講ずる。
地方自治体は、委託契約価格の地域差などを勘案しつつ、市町村によるワクチンの入札・一括購入方式等の先進的な事例も参考に、予防接種事業の効率的な実施に努める。
○ なお、現状では、卸売販売業者から医療機関への実販売価格や市町村と医療機関との委託契約価格などの実態を十分に把握できていないため、地方自治体、医療機関、卸売販売業者等の関係者の協力を得て、ワクチン価格等の接種費用の実態調査を行う必要がある。
その際、薬価基準改正の基礎資料を得ることを目的とした医薬品価格調査と併せて実施するなど、調査対象者の負担軽減に留意する。
○ 接種費用のうち問診料等については、診療報酬点数を参考にしていることが多い。今後、委託契約価格の実態について地方自治体への調査を実施するなど、適切な問診料等の水準のあり方について検討する。


7.予防接種に関する評価・検討組織
○ 予防接種施策全般について、中長期的な課題設定の下、科学的な知見に基づき、総合的・恒常的に評価・検討を行い、厚生労働大臣に提言する機能を有する評価・検討組織を設置する。
○ 評価・検討組織の構成については、小児科医、感染症専門家、疫学専門家等の医療関係の専門家、地方自治体、経済学者、法律家、メディアなどを委員とし、発言及び提案はできるが議決には加われない参考人として、政府関係機関代表、学会、ワクチンの製造販売業者や卸売販売業者、被接種者の立場を代表する方などが常時参加し、国民的な議論を行う場とする。さらに、委員・参考人以外から発言を求めることについても、適切な方法を検討する。
○ 評価・検討組織の運営については、定期性・継続性を確保する観点から、委員の任期に関して中長期的な継続性を担保するとともに、年2~4回程度の開催を前提に、計画的な議題・日程設定を行う。また、委員の選任に係る公募枠の導入など、公開性・透明性を一層高めるための方策を検討する。
評価・検討組織の運営方法等の詳細については、評価・検討組織で審議し決定する。
○ 評価・検討組織は、予防接種行政のうち予防接種事業、研究開発振興、生産・流通の分野を担当する。他方、ワクチンの治験・承認審査及び市販後の安全対策・監視指導は薬事・食品衛生審議会が、予防接種による健康被害救済に係る認定は疾病・障害認定審査会が、それぞれこれまで通り担当する。
○ 評価・検討組織の具体的な審議事項としては、
・ 予防接種の総合的な推進を図るための計画(仮称)
・ 予防接種法の対象疾病・ワクチン、接種対象者、接種スケジュール、接種の実施方法
・ 副反応報告等に基づく有効性・安全性の再評価
・ 予防接種の意義やリスク等について、国民、報道機関、医療関係の専門家等に対する一元的な情報提供
・ 予防接種の実施状況や健康被害救済制度のあり方の評価を含む、予防接種の適正な実施の確保
などが考えられる。なお、新たな疾病・ワクチンのみならず、既に予防接種法の対象となっている疾病・ワクチンについても、当該疾病の流行状況などを踏まえ、定期接種として実施する必要性について恒常的に検証を行う必要がある。
○ 評価・検討組織の位置づけについては、現在の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会を発展的に充実させるとともに、予防接種部会の下に設置されているワクチン評価に関する小委員会等、予防接種部会とは独立して設置されているワクチン産業ビジョン推進委員会、予防接種後副反応報告・健康状況調査検討会等を統合する。
また、評価・検討組織での科学的な知見に基づく審議を支えるため、厚生労働省健康局が医薬食品局及び国立感染症研究所の協力・連携の下、評価・検討組織の事務局を務めるとともに、当該事務局体制の充実・強化を図る。評価・検討組織は、関係行政機関に必要な情報の提供を求めることができることとする。
○ 評価・検討組織に常設又は臨時の専門委員会を設置する。専門委員会は、重要な議案について専門的見地から評価・検討組織における決議案をとりまとめるが、専門委員会が検討を行い厚生労働大臣に提言することも可能とする。専門委員会の委員の任期に関しても中長期的な継続性を担保する。
専門委員会の具体的な検討事項、委員構成、運営方法等の詳細については、今後検討する。


8.関係者の役割分担
○ 予防接種施策の適正な実施のための関係者の役割分担については、以下のようなものが考えられるが、今後、評価・検討組織における議論を経た上で、予防接種の総合的な推進を図るための計画(仮称)で定める。
○ 国は、ワクチンの安全性・有効性・費用対効果等を踏まえた予防接種の対象疾病及び対象者の決定、ワクチンの承認審査、ワクチンの研究開発の促進と安定供給の確保、副反応報告の収集・評価、健康被害の救済、感染症サーベイランス、迅速な情報収集と分かりやすい情報提供、接種率の向上に向けた取組、その他予防接種制度の適正な運営の確保等を担う。
○ 都道府県は、予防接種に関わる医療関係者等の研修、緊急時におけるワクチンの円滑な供給の確保や連絡調整、健康被害の救済、予防接種の安全性・有効性の向上を図るための調査への協力等を担う。
○ 市町村は、接種の実施主体として、適正かつ効率的な予防接種の実施の確保、健康被害の救済、予防接種の安全性・有効性の向上を図るための調査への協力、住民への情報提供等を担う。
○ 医療関係者は、ワクチンの適正な接種、ワクチンの安全性・有効性等に関する被接種者への情報提供、入念な予診、迅速な副反応報告等の予防接種の安全性・有効性の向上を図るための調査への協力など、適切な予防接種の実施を担う。
○ ワクチンの製造販売・卸売販売業者は、安全かつ有効なワクチンの研究開発及び安定的な供給、副反応情報の収集・報告等を担う。


9.副反応報告制度、健康被害救済制度
○ 予防接種施策の適正な推進を図るためには、副反応報告を幅広く求め、専門家による調査・評価を行った上で、必要に応じて迅速かつ適切な措置を講じることや、国民や報道機関への積極的な情報提供が重要である。
○ このため、予防接種法の対象となる予防接種に係る副反応報告を医療機関に義務づけるとともに、現在の子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金事業等での対応を踏まえ、予防接種法上の副反応報告と薬事法上の副作用等報告の報告ルートを厚生労働省宛てに一元化し、医療機関の報告事務を簡素化することが適当である。
また、厚生労働省は副反応報告に係る情報を速やかに当該予防接種の実施主体である地方自治体に対して提供する。
○ 副反応報告の個別事例について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の業務目的や人員体制等を踏まえた上で、PMDAが情報整理・調査を行う。その際、国立感染症研究所は必要に応じて協力・連携する。
また、医療機関や被接種者及びその保護者等の関係者は、当該調査に協力するよう努めるものとする。
○ PMDAによる情報整理・調査に基づき、評価・検討組織が薬事・食品衛生審議会と連携して、副反応報告に係る評価を行った上で、国が必要に応じて接種の一時見合わせ等の措置を講ずる。
また、評価結果の集計・公表については、年3回程度とするなど、発信の強化を図る。
○ 予防接種による副反応を正しく評価するためには、医療機関による報告とともに、一般から寄せられる副反応に係る情報も重要であり、さらに予防接種法の対象外のワクチンによる副反応に係る情報を含め、できるだけ幅広く情報収集に努める。
また、副反応が出なかった場合も含む抽出調査である予防接種後健康状況調査については、引き続き実施する。
○ 健康被害救済制度については、健康被害救済に係る審査を迅速に行い、必要な救済給付を円滑に実施することが重要であり、引き続き疾病・障害認定審査会において、評価・検討組織とは独立して客観的・中立的な立場から審査を実施するなど、現行通り実施する。


10.接種方法、接種記録、情報提供
○ 接種の際、医師が接種後の副反応等について適切に説明するとともに、入念な予診が確実に実施されるよう、予防接種の接種方法は個別接種を基本とする。
一方、緊急時の臨時接種のあり方については、集団接種の方法やワクチンの供給のあり方も含め、引き続き新型インフルエンザ対策ガイドライン等の見直しと併せて検討を進める。
○ 接種記録については、未接種者の把握による接種勧奨を通じた接種率の向上等を図るため、予防接種台帳のデータ管理の普及や活用のあり方について、個人情報保護の観点や社会保障・税番号制度の導入に向けた状況も考慮しつつ、さらに検討する。
○ 被接種者の接種を促すためには、国民が自らの健康確保に努めることを端緒に、母子健康手帳への記載の励行、乳幼児健診や就学時健診における確認や勧奨の徹底などを図る。
母子健康手帳については、予防接種関連の記載項目を整理・充実して、保護者及び被接種者が予防接種に関する情報を一元的かつ長期的に管理できるようにする。
また、教育行政との連携については、接種対象年齢に応じて、学校現場等での接種対象者本人への普及啓発が重要である。特に子宮頸がん予防ワクチンは、がん教育と一体的な情報提供について、現在の麻しん対策に加えて文部科学省との一層の連携を図る。
○ 国民一人ひとりが予防接種についての正しい知識を持ち、その理解の上で接種の判断を自ら行う必要があり、予防接種法の対象外のワクチンも含めた推奨接種スケジュールのほか、予防接種の意義やリスクに関する分かりやすい情報提供が重要である。
評価・検討組織の意見を反映させた形で情報発信を行い、国民、報道機関、医療関係の専門家等がそれぞれ必要とする情報に容易にアクセスできるよう、ホームページの内容の充実や利便性の向上を図る。
○ 予防接種は、その効果の反面、不可避的に何らかの副反応が生じる可能性があることから、接種を行う医師が特に基礎疾患を有する者などへの慎重な予診を行うとともに、被接種者やその保護者に対し予防接種の効果や副反応について丁寧に説明することが重要である。そのため、接種を行う医師等の医療関係者に対する教育や研修を適切に実施する。
また、健康状態や体質から特に注意を要する者の適正な接種の機会を確保するため、都道府県に設置されている予防接種センター機能を有する医療機関の拡充を図る。


11.感染症サーベイランス
○ 予防接種施策の適正な推進を図るためには、評価・検討組織において、予防接種が有効であったか、新たに導入すべきワクチンはあるか等を随時評価することが重要であり、国立感染症研究所の機能強化を図るとともに、感染症サーベイランスを通して感染症に係る患者、病原体、免疫獲得状況等の情報を一定の方法で継続して収集・解析することが必要である。
○ 感染症サーベイランスのうち感染症法に基づく患者発生サーベイランスについては、今後、新たなワクチンの導入等に応じて、サーベイランスに係る疾病や指定届出医療機関(定点)の設定を見直す。
○ 感染症サーベイランスのうち免疫獲得状況等を把握する感染症流行予測調査については、新たなワクチンの導入等に応じて見直し、その適正な実施に不可欠な地方自治体、医療機関等の協力を一層得るとともに、実際に検査・分析を担当する地方衛生研究所の機能強化について、さらに検討する。
○ 予防接種台帳のデータ管理の普及や活用のあり方についての検討と併せて、予防接種の接種者数及び接種率を必要に応じて迅速に把握する仕組みの構築を推進する。


12.ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保
○ ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保については、ワクチン産業ビジョン推進委員会で検討が行われてきたが、今後は、評価・検討組織の審議事項の一つとして位置づけ、予防接種施策に関する総合的視点からの検討を行う。
必要とされるワクチンの追加・見直しに関して、国として研究開発に係る優先順位や方向性等を提言することにより、研究者やワクチン製造販売業者による研究開発等の推進につなげる。
○ ワクチン製造販売業者等の研究開発力の強化を図り、国際競争力のあるワクチン生産基盤を確保する必要がある。
新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業等を推進し、より安全かつ有効で効率的なワクチンの開発を進め、国産ワクチンの供給力の強化を図るとともに、海外への事業展開や他のワクチンの製造など、開発・生産体制の強化につなげる。
○ 今後、公的な接種を行うワクチンの種類の増加が見込まれる中で、被接種者の負担軽減、接種率の向上、接種費用の軽減等を図ることが重要であり、例えば、安全性に十分配慮しつつ、社会のニーズに合わせた混合ワクチンや経鼻ワクチンなど利便性の高いワクチンの研究開発を進める。

以上

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