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地方自治法236条2項の規定にもかかわらず,消滅時効の成立を認めない理論的根拠 藤田宙靖氏

2012-10-02 23:00:00 | シチズンシップ教育
 法で定められているにもかかわらず消滅時効を認めさせないことは、できるのか。


 地方自治法236条をみるに、

  第八節 時効

(金銭債権の消滅時効)
第二百三十六条  金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、五年間これを行なわないときは、時効により消滅する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
2  金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
3  金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利について、消滅時効の中断、停止その他の事項(前項に規定する事項を除く。)に関し、適用すべき法律の規定がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定を準用する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
4  法令の規定により普通地方公共団体がする納入の通知及び督促は、民法第百五十三条(前項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。


<在ブラジル被爆者健康管理手当等請求事件>で、藤田裁判官が述べられた、上記法律の解釈。

【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成18年(行ヒ)第136号
【判決日付】 平成19年2月6日

*****

裁判官藤田宙靖の補足意見は,次のとおりである。

 私は,法廷意見に賛成するものであるが,地方自治法236条2項の規定にもかかわらず,本件において消滅時効の成立を認めない理論的根拠について,若干の補足をしておくこととしたい。

 信義誠実の原則は,法の一般原理であって,行政法規の解釈に当たってもその適用が必ずしも排除されるものではないことは,今日広く承認されているところである。地方自治法236条2項の解釈・適用に当たってもこのことは変わらないのであって,住民が権利行使を長期間行わなかったことの主たる原因が,行政主体が権利行使を妨げるような違法な行動を積極的に執っていたことに見出される場合にまで,消滅時効を理由に相手方の請求権を争うことを認めるような結果は,そもそも同条の想定しないところと考えるべきである。その意味において,本件のようなケースにおいては,同条2項ただし書にいう「法律に特別の定めがある場合」に準ずる事情があるものとして,なお時効援用の必要及びその信義則違反の有無につき論じる余地が認められるものというべきである。

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