「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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民法 第5章 第3節代理(99条-118条)を読む。「代理」を整理する。

2012-10-05 17:50:59 | シチズンシップ教育
 民法では、条文を一つずつ丁寧に理解することが大切です。

 代理は、とても重要な制度ですが、やや複雑で、きちんと整理して理解せねばなりません。
 日常生活・企業活動・行政活動の問法律題でも、代理から派生することが多々あります。


 民法第5章第3節代理(99条-118条)

1)代理とは(99条)
代理人が、本人のために、相手方に意思表示をし、又は意思表示を受けることによって、その法律効果が本人に帰属する制度。

2)代理の要件: 
    ①代理権授与
    ②顕名

3)本人のためにすることを示さない場合 
 原則:自己のためにしたものとみなす(100条本文)
 例外(100条但書き):①相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、(悪意)
            ②知ることができたときは(有過失)
   ⇒99条1項 準用 法律効果が本人に帰属


4)代理行為の瑕疵  
   原則:代理人について決する(101条1項)
   例外の要件(101条2項)(①②and)⇒本人について決する
     ①特定の法律行為をすることを受託された場合
     ②本人の指図に従ってその行為をしたとき
                

5)復代理人の専任 
        任意代理人の場合 原則:選任できない
                 例外:①本人の許諾を得たとき
                    ②やむを得ない事由があるとき
        法定代理人の場合 自己の責任で選任することができる。

6)復代理人を選任した代理人の責任 
任意代理人の場合 
 原則:選任及び監督について、本人に対して責任を負う(105条1項)
 例外:本人の指名に従って復代理人を選任したときは、責任を負わない(105条2項本文)
 例外の例外:その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながらその旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、責任を負う(105条2項但書き)

法定代理人の場合 
 原則:自己の責任で選任し、責任を負う(106条前段)
 例外:やむをえない事由があるときは、選任及び監督についてのみ、本人に対して責任を負う(106条後段)



7)表見代理
    ①代理権授与の表示による表見代理 109条
    ②権限外の行為の表見代理 110条
    ③代理権消滅後の表見代理 112条

8)無権代理  
      効果 原則:無効
         例外:本人が追認すると有効(113条1項)

      相手方の保護 催告権:114条
             取消権:115条
             無権代理人の責任 
              原則:相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う(117条1項)
              例外(117条2項) ①②③orで  ⇒117条1項適用しない
                ①代理権を有しないことを相手方が知っていたとき
                ②代理権を有しないことを過失によって知らなかったとき
                ③他人の代理人として契約をしたものが行為能力を有しなかったとき

以上

                 


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地方分権 その先の道州制に関しての私見

2012-10-05 09:31:05 | 国政レベルでなすべきこと
 「地方の疲弊」が言われて久しいです。

 この問題を解決しない限り、日本の発展はありません。


 解決の方法の選択肢のひとつとして、「地方分権」とその先にある「道州制」があるのではないでしょうか。


 ただし、気をつけねばならない点もあり、慎重に制度設計する必要があると思います。
 国民の声をきちんと反映できること、この点においてです。

 今、出されている国のかつての報告書「道州制ビジョン懇談会 平成20年 3月24日 中間報告」http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/doushuu/080324honbun.pdf(以下、「中間報告」という。) を参考にしながら、「道州制」について考えます。


Ⅰ道州制をどのようにイメージするか?


 道州制導入により、どのような地方公共団体と、国の役割分担になるかは、中間報告に書かれており、以下、引用します。

******中間報告*****

(1)基礎自治体の役割
基礎自治体は、地域に密着した対人サービスなどの行政分野を総合的に
担う基本単位である。具体的には、①住民の安全安心、消防、救急、②社
会福祉(児童福祉、高齢者福祉など)、保育所・幼稚園、③生活廃棄物収集・
処理、公害対策、保健所、④小中高等学校、図書館、⑤公園、都市計画、
街路、住宅、下水道、⑥戸籍、住民基本台帳および⑦地域振興にかかわる
産業・文化行政全般を分担する。
こうした行政需要を担うため、基礎自治体の行政能力を強化する仕組み
が必要である。また、対人サービスなど基礎自治体として行うべき仕事が
十分にできない可能性がある小規模基礎自治体への対応を別途検討しなけ
ればならない。政令指定都市や大都市圏域の基礎自治体のあり方について
もあわせて検討する。

(2)道州の役割
道州は、基礎自治体の範囲を越えた広域にわたる行政、道州の事務に関
する規格基準の設定、区域内の基礎自治体の財政格差などの調整を担う。
具体的には、①広域の公共事業(大型河川、広域道路、空港港湾の整備・
維持、通信基盤、生活環境整備など)、②科学技術・学術文化の振興、対外
文化交流、高等教育(大学相当以上)、③経済・産業の振興政策、地域の土
地生産力の拡大(林野・農地の維持)、④能力開発や職業安定・雇用対策
⑤広域の公害対策、環境の維持改善、⑥危機管理、警察治安、災害復旧、
⑦電波管理、情報の受発信機能、⑧市町村間の財政格差の調整、公共施設
規格・教育基準・福祉医療の基準の策定などを分担する。なお、住民の安
全安心については検討し、最終報告書に盛り込むこととする。また、道州
の機構は簡素を旨とし、道州内分権を徹底する。

(3)国の役割
国の役割は、国際社会における国家の存立及び国境管理、国家戦略の策
定、国家的基盤の維持・整備、全国的に統一すべき基準の制定に限定する。
具体的には、①皇室、②外交・国際協調、③国家安全保障、治安、④通貨
の発行管理及び金利、⑤通商政策、⑥資源エネルギー政策、⑦移民政策、
⑧大規模災害対策、⑨最低限の生活保障、⑩国家的プロジェクト、⑪司法、
民法・商法・刑法等の基本法に関すること、⑫市場競争の確保、⑬財産権
の保障、⑭国政選挙、⑮国の財政、⑯国の統計及び記録の16項目を基本
として検討していく。
また、生活保護、年金、医療保険等のナショナルミニマムならびに警察
治安・広域犯罪対策については、十分な議論を行い、基礎自治体と道州が
果たすべき役割と、国が責任をもつべき部分を検討する。
このように、国の役割を国家の存立や国全体にかかわるマクロな政策分
野にかかわるものに限定することによって、国家公務員数は大幅に削減さ
れるとともに、国際リスクの回避や国益の拡大など、国家として対応すべ
き課題への高い問題解決能力をもつ優れた政府を実現することができる。

******以上*******


Ⅱメリット・デメリット

 この道州制によって得られるメリット・デメリットを考えてみます。

<考えられるメリット>

*地域の実情に合った政策の実行、道州地域の発展ができる。

例えば、県道の整備に当たり、県境で急に二車線が、一車線になってしまう。県の財政状況で、幹線道路の整備が一貫してできない。
 国道の整備であれば、時間がかかる。
 道州の整備であれば、道州の合意の元、一貫した幹線整備ができる。


*現在の二重行政の無駄がなくなる。

*国が国の仕事に特化でき、国家戦略が有効に打つ建てることが可能になる。

*副次的な効果として、東京に大震災が起こったときのリスクマネジメントとなる。



<考えらえるデメリット>

*基礎自治体を合併させることは、国民の声を反映させることとは逆行し、反映から遠ざけることになる。

*地域格差ができる。

*人材不足の場合、行政能力に差ができ、住民サービスの質が落ちる地域ができる。




 以下は、中間報告記載のメリット・デメリットです。
 メリットは、一部そうかな?と思うのですが、デメリットはすべて言いえていると思います。

*****中間報告******
道州制導入のメリット

①政治や行政が身近なものになることで受益と負担の関係が明確化し、効率の低い政治行政の要求が抑制される。

②政策の意思決定過程の透明化が進み、住民参加が容易になる、

③東京一極集中が是正され、多様性のある国土と生活が構築される、

④地域の実情や特性を踏まえた迅速で効果的な政策展開が可能となる、

⑤国の縦割り機構による重複行政がなくなり、補助制度による無駄遣いや陳情合戦の非効率が改革される、

⑥十分な規模と権限を持った道州による地域経営がなされることで、広域の経済文化圏が確立される、

⑦国の役割を国家本来の機能に集中させることで、国家戦略や危機管理に強い中央政府が確立される、



道州制導入のデメリット
①国の「上からの調整機能」が失われるために、地域間の格差がかえって拡大する、

②道州に十分な人材や能力が伴わず、国の関与が続く結果となる、

③規模が大きくなることで住民との距離が広がり、住民自治が形骸化してしまう、

④道州間の企業や富裕層誘致の競争が激化し、生活者の目線から遊離してしまう、

⑤都道府県単位で育った業界や文化の団体が困る、

⑥都道府県単位で代表を出している行事等ができなくなる、

*****以上*****



Ⅲデメリットを最小にするための注意点

 デメリットを生むことを最小限抑えねばなりません。

 特に重要なのは、住民サービスの低下の防止、住民自治の形骸化の防止です。

 基礎自治体は、少なくともそのまま残す方向で、合併で規模を大きくすることは、避けるべきと考えます。
 おそらく、平成の大合併がなされた地域の皆さんは、その恩恵をどれだけ感じられているでしょうか。
 住民の声が、届きにくくなったとお感じではないでしょうか。
 主たる業務ができる役所は、遠くの一か所となったことなどにより、行政サービスが受けにくくなったとお感じではないでしょうか。

 よって、注意点として、
①やむに已まれない事情を除いては、これ以上の合併による基礎自治体の大規模化は避けるべき。基本は、基礎自治体はそのまま残す。

②道州の州庁は、道州全体の繁栄を十分に考察したうえで、小規模自治体に置くような配慮をする。(道州制導入で、道州内の一極集中を招いてはならない。)


Ⅳ道州制導入を阻むもの
 なぜ、進まないのか。

①そこには、国の仕事をそのまま一極に集中し、権限を離したくないという力学があるのだと思います。

②また、国の借金、地方の借金がありますが、税源が移動することにより、国の借金の解消方法に不利に働くところがあるのだと思われます。



Ⅴでは、どのように進むか。
①地域側からは、地域の体力をつける。NPO発展施策、住民参加施策を地方がどんどん取り入れ、受け皿整備をしていく。

②国側からは、地方分権を進めていく。そこには、一つの事務を、国がすべきか、地方がすべきか、第三者的に分析し、権限委譲を的確に進むように、代議士・議員がきちんとメスを入れる必要がある。二重行政の無駄は、早急に解消する必要がある。これは、国家予算が厳しくなる中、喫緊の課題である。

③中間報告では、東京大震災など関連して、一極集中に対するリスクマネジメントをすることが述べられているが、これは、道州制があろうがなかろうが、進めていくべきものである。

④行政の透明化が、中間報告で出ているが、これも、当然今でも進めるべきものである。


Ⅵ総括
 日本のこれからの発展を言うならば、

1)国は国の事業だけを残し、他は、地方公共団体へ権限を委譲していく。

2)その受け皿として、県単位のところを道州制へ移行させていく。

3)基礎自治体は、原則そのままとする。

4)当面、地方分権の強力な推進と、二重行政の無駄を省くことを進める。

5)税の分担、借金の分担は、衡平な仕組みを打ち立てる。

6)道州制でも同様の考え方と思われるが、司法権に関しては、道州の施策が、合理的な理由なく国民の権利を侵害するものであれば、それを正すよう国の責務として残す。


以上
 
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