「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

今、まちの小児科医が、考えていることは何か。第22回日本外来小児科学会年次集会秋季カンファより

2012-10-29 10:38:10 | 小児医療
 今、まちの小児科医師が考えていることは、なにか。

 一言でいえば、「子ども達が心も体も健康に育ち、自己実現できる大人になることを支えること。結果として、しっかりと次世代を担う大人になってもらうこと。」
 病気を治すということは、そのための一つの手段であるが、それだけにとどまっていてはならない。
 多くの子ども達に関わるひとと連携協力の下、成し遂げていくときが来ています。

 その思いを共有した会であったと思います。

 以下、10/28 10:00-15:30の日程で、外来小児科医師の学会に参加し、多くの学びをいただきました。

 手弁当で準備企画して行われています。
 携われた先生方、医療関係者の皆様、本当にありがとうございました。

****学会のプログラム******
http://sagpj22.net/site/program-autumn.pdf


第22回日本外来小児科学会年次集会
秋季カンファレンス
第2 9 回東日本外来小児科学研究会共催
 
10:00 開会挨拶

10:05~10:25 予防接種で100人続けて子どもを泣かせない工夫
一般演題1 横井茂夫(医)小川すゞか(看)青山孝子(看)藤田えみ子(看)
細川潤子( 看) 横井こどもクリニック( 東京都世田谷区)
クリニックという処は、子ども達にとって楽しい場所であることは滅多になく「痛い・怖い」の連
続です。治療のためには「痛い・怖い」も必要なことがあるが、出来る限り少なくてすむように外
来小児科の医師、看護師、スタッフは工夫している。特に採血以上に回数の多い予防接種では、子
どもの不安感が最小限になるように工夫し、子どもの頑張る力を引き出して、その子なりに乗り越
えていけるように関わっている。今回当クリニックでは、予防接種で「泣いてしまう前の泣かせな
い工夫」・「泣いてしまったら早く泣き止ませる工夫」・「泣いたが次の接種で泣かせない工夫」を
行い、幼保育園児の年長児、小学1 ・2 ・3 年生( 男・女) を対象に、予防接種で連続1 0 0名以上
続けて泣かせないようにできるか挑戦した。工夫として、本人に注射器( 大・小) を選ばせる、キ
ャラクターの携帯電話( 音を聞かせる)、リキッド商品( 目で見ること)、接種部位を接種前に圧
迫、針なし注射器の持ち帰り( 泣かなかった子ども)、注射器の針を細く、接種部位に貼る絆創膏
にキャラクターのシールを張るなどをした。医師、看護師が予防接種で泣かせないようにする色々
な工夫を、診察・予防接種場面の写真・グラフを使用して解説する。



10:25~10:45 千葉市における「命を守る教育推進プラン」(小・中・高で救命講習授業を)
一般演題2 -千葉市を日本のシアトルに!!-
中村眞人( 医) なかむら医院( 千葉県千葉市)
3 0~ 4 0 %と驚異的に高いアメリカのシアトルの救急救命率を目標に、昨年度より救命講習授業「命
を守る推進授業」を開始しました。もしバイスタンダード( 救急現場に居合わせた人) となったと
きにも躊躇せず救命措置に協力できる能力をつけるには、子どもの頃から繰り返し「救命講習」を
受けることが不可欠と考え、小学校、中学校、高等学校で各1 回ずつ講習を受け高校卒業の時点で
救命講習に習熟することを目指しています。さらに、子供達に命の尊厳について考える機会を与え、
それを家庭に持ち帰り家族に伝えることで「救命の連鎖」を広げる効果や貴重な人的資源喪失の減
少も狙い、最終的には子供達が住む街が安全で暮らしやすい街になり、千葉市が日本一住みたい街
になることを夢に進めています。昨年度は、モデル地区でのパイロットスタディーでしたが、本年
度はそれをさらに拡大する予定です。その為に、教職員プロバイダー・インストラクターの養成。
医師会主催のI C L S ・J P T E C などの開催。9 講座からなる救急医研修会。医師会作成のB L
S 用D V D の作成と配布。市医師会認定救急医制度の設立。救急タマゴッチの配布などを行いまし
た。現在、医師会・消防局と教育委員会が連携するC E M T E C 委員会を医師会内に設け、これら
の事業を推進しております。今後は一地区だけでなく、千葉市全体へ、そして千葉県へ、最終的に
は我が国の救命率アップにつなげるために事業の拡大を目指しています。



1 0 : 4 5 ~ 1 1 : 0 5 2 0 1 1 年夏に流行10:45~11:05 2011した手足口病に伴う爪の変形・剥離について
一般演題3 葉桐美佳(看)佐野正(医)渡邊優香(看)増田智恵子(看)
佐野寿枝( 事) 渡邊佐江子( 事) 飯田純理( 事) 深野歩( 事)
キッズクリニックさの( 静岡県静岡市)
2 0 1 1 年夏に西日本を中心に流行した新型の手足口病は例年の3 倍超に達した。その特徴は、高
熱、上腕・大腿・時に全身に及ぶ強い水疱性発疹で、痂皮を残した。口内炎は少なくヘルパンギー
ナの合併が多い、従来とは著しく異なる症状を呈した。同定されたウイルスは新種のC o x A 6であっ
た。静岡市でも同様の疾患が流行し、その後爪の変形・剥離を来たす患者が多発した。爪の異常は
一過性で、無痛・非炎症性であった。C o x A 6は元来ヘルパンギーナを生じるウイルスであり、爪の
異常を伴う手足口病の流行は我国では経験されていない。昨夏当院にて手足口病と診断された患者
の内、爪異常を来たした頻度と重症度を調査する為にアンケートを実施した。患者は2 3 5名で、2 27
名( 9 6. 6% )から回答が得られ、1 05名( 4 6 . 3% )で爪変形、7 7名( 3 3. 9% )で爪剥離が見られた。
爪異常は乳児~ 成人まで全年齢層で見られたが、乳児では有意に少なく、成人では全例で生じた。
手指は橈骨側にやや多く、足趾は母趾に集中した。発症~ 爪変形までは平均3 0~ 4 0日を要した。高
熱児・重症児に爪異常の比率はやや高かったが、発疹の殆どない例でも爪異常を見た。本疾患は20
08年フィンランドで、2 01 0年台湾で流行したA 6 の臨床象と酷似しており、それ以前のA 6 とは遺
伝子的にも異なると言われている。今後同様の流行に対し、注意と理解を深めるべきであると思わ
れた。



11:10~11:35 小児科外来診療における看護師の価値について
アフタヌーンセミナー報告山本淳(医)川本加奈(看)關本千代子(看)小林晴美(看)
中紙八重子( 看) 中元珠美( 看) 新井千春( 看) 今野恵( 看)
亀井雅恵( 看) 村田絵美子( 看) 梶原真理子( 看) 山崎裕美子( 看)
石井靖子( 看) 星川小児クリニック( 神奈川県横浜市)
年次集会( 8 / 2 5 ) のアフタヌーンセミナーでは、「ママを育むクリニック- 看護師だからでき
ること・看護師とだからできること- 」と題し、当院の川本加奈看護師が、ナースの立場から、当
院における看護師の役割をビデオを中心にして紹介をしたほか、看護師の看護介入が患者に評価さ
れているかの調査も行ったのでその報告もあわせて行いました。
聴講していただいた医師、看護師からは、「うちでもナースを増員しよう」ということになったと
いう話をお聞きしたり、小児科の救急外来でも同様な看護介入ができるのではないかというヒント
を得たという声もありました。秋季カンファレンスでは、看護師の発表をサポートした医師の立場
から、年次集会の発表の準備をしながら看護師から学んだこと、発表後にいただいた反響から考察
したことを中心に小児科外来における看護師の価値についてお話してみたいと思います。
年次集会で使用した当院の診療の様子( 看護師の役割にスポットをあてたもの) を収録したビデオ
も再上映させていただきます。



11:35~12:00 外来小児科における研究とは/質的研究で何が出来るか
セッション報告伊藤純子(医) 虎の門病院(東京都港区)
斉藤匡( 医) 国保多古中央病院小児科( 千葉県香取郡多古町)
前原幸治( 医) まえはら小児科( 東京都多摩市)
外来小児科学会リサーチ委員会は、第一線の臨床現場で「しか取り上げない」「しかやれない」「や
るのが最も適切な」、問題を課題として取り上げ、その研究を支援することを目的としてきました。
リサーチを進めていくときは、A: 臨床の疑問を整理し、B: 信頼できるエビデンスを検索し、エビ
デンスのない時は、C: 自らリサーチを計画するという手順を踏むことになります。リサーチの研
究デザインには様々なものがあり、一般にランダム化比較試験( R C T) がエビデンスレベルが高い
と言われます。しかし外来小児科における問題ではR C Tができないものも多く、疫学的手法できち
んと計画されたケース・コントロールスタディやコホート研究が適していることが多々あります。
従来行われていた「量的研究」においては、客観的に、個々の偏りを排して、普遍的な結論を出す
ことが目的でした。しかし、臨床現場の判断においては、個別の要因を重視した主観的な要素が重
要になります。それを評価する方法が「質的研究」です。本セッション報告では、「質的研究で何
ができるか」をわかりやすく紹介します。



1 2 : 2 0 ~ 1 3 : 1 12:20~13:10 輸入不活化ポリオワクチン接種を体験して
ランチョンセミナー(提供:サノフィパスツール)
司会宮津光伸( 名鉄病院予防接種センター)
演者松山剛( 千葉県立佐原病院小児科)
1 0年以上前から、専門家達により生ポリオワクチン( O P V) 投与に伴うワクチン関連麻痺性ポリオ
( V A PP) の危険性が指摘されていたが、広く認知されるには至らなかった。
医師・保護者達にV A P Pが知られるようになったのは、平成2 2年春頃より、マスコミがV A P P患児を取
材しニュース・記事として取り上げるようになったことと、同年8月日本小児科学会が発表した「経
口ポリオ生ワクチンの接種について」という提言に対し、臨床現場から提出された意見書と署名活
動によると思われる。特に後者は、改めて小児科医にV A PPを認知させる機会となった。
マスコミ報道によりVA P Pを不安視した保護者達は、より安全とされる不活化ポリオワクチン( I P V)
に関心を寄せ、要請に応える形でごく少数の小児科医によりI P Vが海外より輸入・接種されるよう
になった。これによりさらにマスコミでV A P Pの問題が取り上げられる頻度が増加し、それに呼応し
てI P Vの需要は急増した。
平成2 3年初頭よりI P V実施医療機関は急増し、最終的には日本全国で4 公立病院・3 準公立病院・2
大学病院を含む2 5 0を超える医療機関が接種を実施した。さらに平成2 3年1 2月からは、神奈川県が
知事の指示のもと、独自にI PVを輸入し実施した。
こうした動きはI P Vの国内承認・早期導入を求める流れを加速させ、これを受けて臨床試験途中の
本年2月IP Vの承認申請が受理され、4月に承認、9月より定期予防接種として実施されるに至った。
一方、輸入I P Vを接種している医師達は、国内に接種ガイドラインが存在しないため、情報の共有
・交換のためメーリングリストを組織し、米国C D C の勧告などをもとにE B Mに基づいた接種スケ
ジュールの共通化や副反応情報の共有をはかってきた。
今回は、これら臨床現場での経験を中心に、輸入I P Vの総括を報告したい。



13:20~13:40 採血や点滴の際に親に抱っこしてもらう方法の有効性について
一般演題4 ―実際の手技と成功率―
中村朱里( 看) 朝賀智恵子( 看) 櫻井淑子( 看) 新垣純子( 看)
森田多恵子( 看) 道之前直美( 看) 水口智美( 看) 小澤典子( 看)
くまがいこどもクリニック( 兵庫県尼崎市)
【目的】以前は採血や点滴の際、抑えることなく一人でできる子ども以外は、看護師が預かりタオ
ルで体を巻き押さえつけて行っていた。子どもの苦痛を少しでも軽減できるよう、また親と一緒に
行えば子どもも親も安心してできるであろうと考え、親に抱っこしてもらい処置を行う方法を取り
入れた。そこで、処置の際に親が抱っこすることは、付き添いや介助より子どもの頑張る力を引き
出せるか? 親子とも安心して処置を受けることができるか? 医療者側のメリット、デメリット
は何か? を目的とし検討した。
【対象・方法】2 0 1 1年9月から2 0 1 2年7月末までに、採血や点滴などの処置をした6 5 1例に対し、抱
っこによる処置、親へのアンケート、看護師による観察などについて検討した。
【結果】対象期間中の採血、点滴は6 5 1件、抱っこ処置は2 6 4件で全体の4 1% 。抱っこ処置を行った
年齢は1歳2 7件、2歳6 4件、3歳6 2件、4歳5 5件、5歳3 0件、6歳1 8件、7歳以上8件であり、2歳以上の
子どもは9 0% 以上が可能であった。また、1歳でも2 0% あまりが可能であった。抱っこ処置の際、
約7 0% の子どもはあまり動かずにでき、処置の際に子どもと一緒にいたいと希望した親は約60% で
あった。親に対するアンケートでは、一緒にできてよかった、安心してできた、今後も一緒がいい、
との回答がほとんどであった。
【考察】抱っこでの処置は利点が多く、有用性が高いと考えられる。しかし途中で中止となった例
もあるため、子どもの反応や親の協力性などを見極め、その子に応じた処置を選択していくことが
大切だと思う。また、親の協力が必要であるため、今後は処置前の親への説明をさらに配慮し、よ
り良いポジショニングができるよう工夫していきたい。今後も積極的に抱っこ処置を取り入れてい
きたい。



13:40~14:00 「鼻汁吸引器の無料貸し出し」の効果と患者満足度
一般演題5 ~「昨夜は咳鼻でまったく眠れなかった」というとき、どうしていますか?~
飯泉哲哉( 医) いいずみファミリークリニック( 静岡県富士市)
【目的】鼻をかめない乳幼児にとって、鼻汁による鼻閉や咳は睡眠を妨げる要因になる。一方で、
有効が証明される感冒薬は少ない。鼻汁吸引器を、在宅処置用としてレンタルすれば、夜間症状を
緩和させ、母子共々、楽になるのではと考えた。
【方法】レンタルの対象は診察時に必要と判断した患者。期間は2 0 1 1年1 0月~ 2 0 1 2年7月。返却時
にアンケート回収した。
【結果】9 6人にレンタルをして8 7人からアンケート集計できた。レンタルした季節は1 1月~ 12月の
冬のR Sウイルス流行シーズンに多かった。0歳~ 1歳の乳幼児への貸し出しが9 0% を占めた。92% の
保護者が症状が楽になったと回答した。
【考察】
1 . 乳幼児で、夜間の睡眠が妨げられている親子に対して、夜間鼻汁吸引してあげることは症状緩
和につながった。
2 . 外来小児診療のなかで、内服薬を処方するという医療に加え、適切な在宅医療処置を施すこと
ができる環境を提供することも重要であると思われた。



1 4 : 0 0 ~ 1 4 : 2 0 子育て支援を14:00~14:20 目的に小児科クリニックで実施した取り組み
一般演題6 中野希巳江(看)仁科美由紀(保)逢坂紀子(栄)高橋実和子(事)
広田晶子( 他) 高田慶応( 医)
たかだこどもクリニック( 奈良県生駒市)
【目的】当クリニックは病気を治す場だけでなく、スタッフ全員で子どもとその家族が成長し、安
心できる地域でのもうひとつの家となる場所となることを目指している。その一環として、クリニ
ックを活用した育児支援の催しを実施してきたので報告する。
【対象】主に子育て中の保護者および子ども( クリニックの患者以外でも参加可)
【方法】クリニックのフリースペースを利用し、スタッフや外部講師により、子育て支援を目的と
した種々の催しを無料で実施する。
【結果】『ベビーマッサージ』生後7 ヶ月までの児と保護者を対象に、タッチケアの指導を月1~ 2
回実施した。『きれいになる会』母親のリフレッシュを目的として、エステティシャンによる自宅
でできる簡単なお手入れの方法の講習会を月1~ 2回実施した。その他、予防接種や食事、ホームケ
ア、絵本に関する勉強会、親子で楽しめる行事などを実施した。
【考察】診療以外に保護者と接することで、より身近な存在となり、疑問や悩みを相談しやすい環
境をつくることができた。また、クリニックからの一方的な発信にとどまらず、保護者同士の交流
や意見交換の場にもなっていると思われた。【今後の展望】現在は母親対象の内容が多いが、父親
や祖父母あるいはそれ以外に対象者の幅を広げた内容も検討し「育児は母親のみならず地域全体で
行うもの」といった認識を広げるための一端を担いたい。



14:25~14:55 小児医療現場での子どもの貧困
セッション報告武内一(医) 耳原総合病院(大阪府堺市)・佛教大学福祉学部
和田浩( 医) 健和会病院
セッションでは、①「入門レクチュア・子どもの貧困の基礎知識」を行い、②自己負担発生で急性期の受診
率が減る、短期保険証の場合、任意予防接種の接種率が極端に減るといったデータと海外での貧困と子ども
の健康の関係に関する文献が紹介された。③産科のある医療機関から、児の医療保険が生活保護・母子世帯
の場合、母親の低年齢出産、喫煙、母乳栄養未確立が目立つことが示された。④電気・水道が止められてろ
うそく1本で生活していたなど、家庭訪問してはじめて見える現実、大阪府では妊婦を支える妊娠SOSを始め、
相談できない妊婦に対して「相談していいよ。誰もあなたを責めないよ」と伝えていることが紹介され、⑤
病院ERから、せっぱつまった子に出会いやすい中、外見やにおい、親の受診についてきた子どもの様子など
から気づける点はあることが、事例を通じて紹介された。⑥地方で経験した厳しい貧困事例が示され、それ
は行政・保育教育機関・児相など多機関で連携しチームで対応すれば、都市部でも見えてくると強調された。
⑦最後に、貧困の気づきとして、子どもの様子、親子関係、受診状況、問診票への記載具合、モンスターペ
アレント、ドクターショッピングなどが糸口になると紹介された。
この企画を通じて、実は子どもの貧困は見えていて、それを小児科チーム内や地域連携で相互に共
有することで、はっきり見えると確信がもてた。



14:55~15:25 子ども社会への入り口としての児童館
セッション報告栗山智之(医) 中標津こどもクリニック(北海道中標津町)
私たち小児医療従事者の責務は、もはや診察室にやってくる子どもの病気を治すことだけでなく、
彼らの心身の成長を見守る伴走者としての役割を付託されています。言い方を変えれば、社会全体
での次世代の育成に他職種とともに積極的に関わってゆくことで、その最終的な目的は自分らしく
伸びやかに次の社会を支えてゆく大人になってもらうことです。
しかし、昨今の子ども達を取り巻く環境は貧困と言わざるを得ず、とりわけ彼らが仲間と群れて成
長を遂げる場である「子ども社会」は失われています。今からそんな居場所を新たに築いて行く事
が困難である以上は、そんな子ども社会が何とか残っている既存の施設に地域の力を結集すべきで
あり、私達小児医が期待され役立つことができる場所が「児童館」です。
私たちはクリニックを出て地域社会に飛び込み、子どもの育ちに関わる他の職種の人達と連携し、
良い部分を持ち合って地域社会全体での子育てに参加する必要があります。私たちは「医療関係者
の中の、子どもを扱う真部分集合」ではなく、今や「子どもの育ちに関わる全ての職種の中の、健
康や発達を専門とする真部分集合」となるべきです。
そんな地域の一員として子ども社会に関わってゆく入り口としての児童館の意義や可能性について
知っていただければ幸いです。



15:25 東日本外来小児科学研究会世話人会報告
次回担当世話人挨拶( 東日本外来小児科学研究会)
閉会挨拶


以上
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