京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 ゾンビは派遣社員

2010年11月01日 | 映画・観劇
何を着たらいいのか、秋物では肌寒く、かといって冬物ではあまりにもっさりとする。暖かくして出たい。中に薄手を1枚余分に重ねることで、いくつになっても見た目重視の見栄を張ろうとする、ああ~、ほんにつらい女心よ!?

           
             

昨年12月の歌舞伎座さよなら公演『大江戸リビングデッド』を、シネマで観た。
クサヤ汁を浴びた死者がゾンビとして生き返り、人に噛み付きながら増え続けて行く。
「生きる屍」。死んでいる以外は大体人間と同じなのだそうだ。
魂がなくなると人間ではないのか? 生きるってどういうこと? 問いかける台詞も混じる、クドカンこと宮藤官九郎作、演出の新作歌舞伎だった。

幕が上がるや、そこに市川染五郎が魚の腹開き状態の被り物で立っていたのには驚かされた。
ゾンビ・江戸時代に派遣社員・現代の社会問題にも言及等々、話題性は耳にした。人間が嫌がる仕事をゾンビに代行させる派遣会社を設立、繁盛する。派遣社員として働きに出るゾンビ、仕事のない者は呂律の回らないゾンビのしゃべり方を直そうとベンキョーをする。
やがて仕事を奪われ失業する人間達との争いに発展…。

  
ホロリとさせられる見せ場もなく、中村扇雀、坂東三津五郎、中村七之助に貫太郎、中村勘三郎、獅堂も…役者さん揃いで、演技を楽しんで娯楽性だけで観てしまった。
現代社会の反映をそこに見ていくには、テーマがなんやら薄っぺら?とエラソに思っている。派遣社員の設定がどうだと言うのか、主張は弱いよなあ…。
ようわからんけれど、あまり面白うなかった。スッキリしない。

毎月一日は映画料金のサービスデー。にもかかわらず、シネマ歌舞伎は一律の二千円だ。高いなあと言いたくなる一作だった、かな。

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6 コメント

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お目が高い・・・ (yattaro-)
2010-11-02 08:21:28
早速目新しい歌舞伎の世界を覗かれて。
さすがにお目が高い? keiさんらしい鋭い感覚ですね(笑)
クドカンさん、今話題の人。つい先日テレビでじっくり拝見した方でした。
歌舞伎座今年最後の公演演目に、江戸時代のゾンビ・派遣社員という現代風刺の組み合わせ。
内容的には少し食い足りない部分がおありのようですね。
一度見てみたいです。
さすが新しものがりや屋さんの面目躍如?? 
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好みの次元で、yattaro-さん (kei)
2010-11-02 16:46:43
それなりに面白いのです。
染五郎さんのファンですしね。
ゾンビの設定もダンスも楽しんだのですが、
なにかはっきり心に残る思いがありませんでした。
これも歌舞伎の世界かという斬新なものは感じました。

天下のクドカンさんにケチをつけるようで恐れ多いこと、
まっ、私の鑑賞力が不足でしょう。

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シネマ歌舞伎? (Rei)
2010-11-02 21:03:26
私にはよくわかりませんが、出演者はそうそうたる顔ぶれですね。
楽しめるエンターテインメントでよろしいのでしょうか?
私は知らない世界のようです。
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本来は舞台なのです、Reiさん (kei)
2010-11-02 21:48:12
昨年12月の、歌舞伎座のさよなら講演の舞台を映画で観るというものです。

歌舞伎だけでなく、ミュージカル、劇団新幹線など各種舞台が録画されて、
昨今はシネマで公開されています。
遠方まで観に行くこともできませんし、こうした機会を捉えて映画館に足を運んでいます。
ナマが一番とも思いますが、映画ですと、激しい息遣いももろに伝わりますし、
滴る汗、細かな表情までがはっきりと見て取れます。

このシネマを公開する劇場、映画館が少ないのですよね。
ですから私でも大阪まで出かけて観ることもあります。

この作品で、従来のイメージとは異なる「歌舞伎」の一面を見せてもらいました。
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りびんぐでっど? (matsu)
2010-11-03 22:16:33
錚々たる役者さんを見るだけで羨ましいですよ。
ところで、「りびんぐでっど」とは直訳すれば「生死」。ここではつまり「ゾンビ」の意味でしょうか。などとくだらないことを考える自分も何だか気味悪いです。
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living dead、matsuさん (kei)
2010-11-03 22:49:45
気持ち悪いですね。
現在分詞で、生きている、と考えてしまいました。
屍が「生きている」っておかしな話ですね。
生き返った「ような」、甦ったでしょうか、「生ける〇」とすべきでしょうか。

やはり気持ちの悪い想像ですが、舞台では浪人侍の三津五郎さんが切っても切っても生き返るゾンビ、なのでした。
この「生き返る」もおかしいですね。
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