Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

アルジェリア縦断 11 ムザブの人々

2008-01-25 01:44:34 | 中近東/北アフリカ
ムザブの谷は昔ながらの町並みが世界遺産に登録されているが、建物自体は地味で、例えばイエメンの装飾的な建築などに比べると面白みがない。

この町で面白いのは実はおおっぴらに写真が撮れない人々の服装なのだ。

最も特徴的なのはムザビ・パンツと呼ばれる男性のズボン。
 
工事現場の人がはいているニッカボッカーに似ているが、股下がずっとゆったりしていて、しかもきれいなプリーツになっている。動きやすく、男性の健康に大変いいのだそうだ。

 
ベニ・イスゲンの町に大勢いたのはこの白い袖なしローブの人々。子供だけではなく大人も着ていたので、別に学校の制服と言うわけではないようだ。これに白い縁なし帽をかぶった姿はなんとなく学者のように見える。

そして女性はと言うと 
  
白い服の上に頭から白い布をすっぽりかぶり、片目だけ出して歩いている。しかも布は片手でおさえているのでずいぶん不便だろうと思う。これに比べたらアフガニスタンのブルカの方がずっと楽そうだ。
 後姿はまるで西洋のおばけ。

ただしムザブの女性が全員このようなかっこうをしているわけではなく、このような姿はたぶん保守的な少数派。
よく見かけたのはこんなマスクの女性達。
 
 張りのあるレースでできていて、横から見るとくちばしのように見える。
一番ひらけたガルダイアの町ではスカーフだけの人も多く、これはアルジェリアの他の町でも一緒。スカーフもしていない女性はアルジェ以外では見かけなかった。

ところで上の片目だけ出した女性達、当然のことながら隠れて望遠で撮った。
いやがるものをなぜ無理してでも撮りたがるのだろう、と自分でも不思議に思っていたが、先日NHK-BSの「奇跡の映像 よみがえる100年前の世界」と言う番組で100年前のカラー写真を見ていて、ああ、そうか、と思った。つまり、やがて消えてしまうに違いない風俗だから記録に残したいのだと。

上の番組、アルべール・カーンというフランスの富豪が世界各地に写真家を派遣して動画とカラー写真の記録を残した、そのコレクションの紹介だったのだが、白黒の動画よりもスチルのカラー写真の方がリアリティがあるので驚いた。
白黒の映像だとたとえ動いていてもいかにも昔の記録、と言う感じがするのだが、それに色が付くだけでまるで今もいる人々のように感じてしまうのだ。
そしてわずか100年前、ヨーロッパも含めて世界はいかにそれぞれの民族のアイデンティティを保持していたことか。
グローバル化と称される最近の文化の均一化はひどく安っぽい。

たとえ素人の個人写真でも消え行くユニークさを残したい、だから撮りたいのだ、とはやっぱり隠し撮りの言い訳か。


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コメント (6)
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