Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ムスタン紀行 16 MDSA訪問

2011-10-15 00:23:45 | チベット文化圏
8月18日

本日の予定は7時20分発の飛行機でジョムソンからポカラ、さらに国内線を乗り継いでカトマンズへ。

 しかしホテルの外を覗いてみるとポカラへの谷筋は腕を伸ばせば届きそうな低さにまで厚い雲で覆われている。

実はここ3日間はこの谷筋に雨雲が滞留し、有視界飛行が絶対条件の飛行機は飛んでいないという。今日もホテルのマネージャーに言わせると「運が良ければ雲が晴れるかもしれないけどねえ、ふふふ」

しかし急に天候が回復することもあるかもしれない、と丘の上の高級ホテルからトラクターで送られて空港の隣にある安ホテルへ。
 トレッキングの初日にも立ち寄ったホテルだが、ここはなんとWIFIがフリーでサクサクつながり、高級ホテルよりずっと便利なのだ。

空模様をにらみながら時間は刻々と過ぎていく。
次第に頭上から北の方の空は晴れてきたが、肝心の南の谷は相変わらず雲に覆われ、飛行機が飛んでくる様子は全くない。
 5分も歩けば終わってしまう町のメインストリートを散歩してみると、同じように飛行機を待つ外国人が大勢、同じように手持無沙汰にしている。

こんな風に欠航が何日も続けば飛行機待ちのツーリストは増える一方。
往路に飛んだ飛行機がピストン輸送していた理由はこれなのだ。
飛べる日にはできる限りのお客を運ばなければならない。

ところで飛行機が飛ばない場合、ジョムソンからポカラへはバスやジープで行くという手段もある。
ところがなんと、この日は何らかの理由によりネパール全土の運転手がゼネストに入っており、車は一切動かないという。

それでは、と我が添乗員が手配したのはカトマンズからのヘリ。
飛行機よりも悪条件でも飛んでこれるというので、
 ホテルの脂ギッシュなトゥクパを食べながらその到着を待つことにする。

ご飯を食べてごろごろして、でもやっぱりヘリはやって来ない。
谷筋の雨雲はヘリでも飛行が無理なほど厚く、午後になれば例の強風が吹くので結局本日のジョムソン脱出はあきらめなければならなくなった。

そうとなればホテルでごろごろしているだけなのももったいないので、添乗員の知り合いがいるという「ネパール・ムスタン地域開発協力会(MDSA)」の農場を見学させていただくことにする。

MDSAは日本人の近藤亨氏が立ち上げた農業指導を中心とする地域開発のための組織。
創設者の近藤氏の他に2人、若い日本人ボランティアがムスタンに常駐して活動をしている。

見せていただいた農場はジョムソンのメインストリートのはずれ、川沿いにある。
 
この宿舎に住むボランティアの一人は奥さんと2歳のお嬢さんを連れて赴任したばかりとか。

その先に広がる農場には
  
リンゴありブドウあり。
 石造りの温室の中では
  
巨大なきゅうりやらトマトやら、様々な野菜が育てられ、この標高3000メートルの土地で収穫を上げる方法が模索されている。

畑の端には牛小屋もあって
  
さすがにここの牛は道端で見かけるやせた牛たちとは体格が違う。

 
さらに川の向こうにも農場があり、そこでは世界最高地でのお米の栽培に成功したという。

農場を見学させていただいた後、夕食はこの組織の創設者、近藤氏が日本食をごちそうしてくださるという。

 ジョムソンのメインストリートに建つこちらのオフィスにお邪魔してお会いした
 これが近藤亨氏、御年90歳!

実はムスタンから帰国してすぐの8月28日にテレビ東京の「世界の何ともヘンピな所でガンバる日本人」という番組が近藤氏とボランティアの有沢氏の活動を紹介していたのであるいはご覧になった方もいるかもしれない。

近藤氏はもともと新潟県で農業技術の研究、教授などをされていたが50歳を過ぎてからJICAの仕事でネパールに渡り、ムスタンのあまりの貧しさに「なんとかせねば」と今の組織を立ち上げたのが20年前、70歳を過ぎてからだとか。
農業指導の他に学校や病院の建設も手がけ、ガミの長いマニ壁の前にあった病院も実はこのMDSAが運営しているもの。
大病も患い、その治療のために2ヶ月ごとに日本とネパールを往復しているそうだが、90歳でもこれだけお元気なのはまだやりたいことがあるからだろう。

真になすべきことを見つけた人は幸せだ。

 いろいろなお話を伺いながらいただいたのはもちろん農場で育てられたものばかり。
鶏の唐揚げ、鯉こく、肉じゃがにきゅうりの酢の物。
ネパール人スタッフの女性が作ったそうだが、とてもいい味付けで肉じゃがなどうちの母親が作るものよりおいしい。

「お米もここでとれたものですか」と聞いたら、我々なぞに食べさせるほどの量は採れないのだそうで、「標高3000メートルでの米作りは挑戦」でさすがに実用ではないらしい。

飛行機が飛ばなかったおかげでまた一つ面白い経験ができた。


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コメント (5)
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