Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

四万温泉 積善館

2011-12-13 17:57:15 | 国内旅行
寒くなってきたもので島根以来、温泉熱に火が付いた。

ここのところ仕事も暇なので、前から行きたいと思っていた四万温泉へ軽く一泊。

四万温泉へは東京駅から直通の高速バスが出ている。
 東京駅八重洲口を朝の10時半に出発、途中のSAで30分休憩して四万温泉には14時前に到着。
鉄道で行こうとすると面倒な四万温泉にこれなら簡単に行けるし、往復5000円も鉄道より安い。

とは言え3時間以上の旅なので、東京駅で得意の駅弁調達。
 880円のお弁当は思っていたよりいくらが乗っていたが、おこわが固くてちょっともたれる。
駅弁はやっぱり列車の中で食べた方がおいしい、と思うのはこちらの勝手な思い込みだけど。

バスの終点は四万グランドホテルの玄関先。
そこから歩いて1分、目立つ赤い橋を渡ったところに今夜の宿 「積善館」 がある。
  
ここは1691年(元禄4年)創業と言う歴史あるお宿。
玄関のある建物が元禄時代からのもので、その両脇に明治、大正、昭和と増築を重ね、さらに奥の山の斜面沿いにより新しい宿泊棟が建つという何とも入り組んだ造り。

  
橋のこちら側にも、いかにも昔の温泉湯治宿らしい建物があって本館と渡り廊下でつながれているが、ここは現在は宿泊には使われていない。

今回一人泊で用意されたお部屋は壱番館と言う建物の一階。
 職員宿舎の1階を一人客用に提供しているようで
  
部屋は殺風景なほどシンプルな6畳間。しかしテレビも冷蔵庫もあるし、暖房は効きすぎるほど効いている。
廊下のお向かいにはウォシュレット付き男女別のトイレもあるし、お風呂にも近い。

本当は本館の部屋に泊まりたいと思っていたのだが、結果的にはこちらが正解だったよう。
なにしろ本館、と言っても最古の建物の隣に明治・大正期に増築された部屋。
 こんな感じで趣はないし、トイレは遠くて男女共用だ。

部屋をチェックしたところで早速この宿の名物風呂へ。
 昭和5年に作られた「元禄の湯」

扉の前で履き物を脱ぎ、のれんをくぐってドアを引くと
 目の前にいきなり浴槽が並んでいる。
 こちらは浴槽側から入り口を見たところ。
脱衣所とお風呂場がつながっているのは台湾の温泉でおなじみだが、なるほどこれが原型なのね、と納得する。

浴槽は一番手前がやや大きく、後の4つは2、3人でいっぱいの大きさ。
  
蛇口には緑青が吹いているが、お湯は浴槽の底の穴から湧き続け、縁からあふれる源泉かけ流し。
どの浴槽も温度は変わらず、加水していないそうだが見事に42,3度の適温に調整されている。

ここのお湯は古い分類でいう石膏泉だそうで、入り口の飲泉所で飲んでみると薄い塩味がする。
無色の透明なお湯にほんのわずか茶色い湯の花が混じり、匂いはほとんどしないと思ったが何度もお風呂に入っていたら浴衣から独特の香りがしてきたので体に染みついたのだろう。

壁には小さな扉が二つ並んでいて、これは蒸し風呂の入り口。
  
体を二つに折って中に入るとタイル張りの寝椅子があるのだが、張り紙にある通り、なぜか現在はこの部屋の温度が上がらないらしく、部屋の中はかび臭くて清潔感が感じられないのも残念なところ。

というわけで5つの浴槽の中から自分の縄張りを決め、半円形の窓を見上げながらぼーっと新鮮なお湯を楽しむのがこのお風呂での正しい過ごし方。本当に昭和の初めに戻ったようで、実に気持ちいい。

1回目のお風呂をゆっくり楽しんだところで、4時から館主による館内ツアーがあるというので参加してみる。
まずは本館の3階に集合。
  
ここでプロジェクターを使って古い写真など見せながら四万温泉の歴史から説明。
  
さらに1階の歴史資料室で積善館の歴史を説明。
  
この天井の太い梁は元禄時代からの物、内階段を作るためにそれを切った、なんて話が面白く、さらに四万はその昔、三国街道とは別の関東から越後に抜ける街道沿いの宿場町だったなんて話も、ここのところ司馬遼太郎の「街道を行く」にかぶれている身としては興味深い。

ここの館主は19代目だそうだが、宿のPRなど企業努力に熱心な様子。
それでもこの古い建物を維持、活用するのはさぞ大変なことだろう。

館内ツアーで体が冷えたので、2度目のお風呂は一番新しい「杜の湯」へ。
 新館へはこんなトンネルを通り、エレベーターを2回も乗り継いでいかなければならない。

 
そしてたどり着いたお風呂は広々とした現代的な浴場、露天風呂もついているのだが、源泉かけ流しの表示にもかかわらずお湯はなんだか塩素のにおいがする。「元禄の湯」と同じ源泉のはずなのに肌触りも違うのは鮮度の差だろうか。いままでお湯の鮮度なんて気にかけたことはなかったのだが、比べるとこんなに違うのかとびっくり。

お湯から上がって、18時からは大広間で夕食。
  
今回はこの宿で一番お安い湯治プランなので、テーブルの上にはお弁当箱が一つ、ご飯とみそ汁、お茶だけ暖かいものをもらってくる。
 なんだか社員食堂のようだが、こんにゃくと野菜の煮物類だけの夕食、こういう食事をしていれば温泉に行っても太らないで済むんだよな。物足りないかと思ったが意外にお腹がいっぱいになったし。

食後は自分で布団を敷いてテレビを見ながらごろごろ。
そして寝る前にもう一風呂、今度は大広間のそばにある岩風呂へ。
 
脱衣所は男女別になっているこのお風呂、中は一つになっていて、20時から23時までは女性専用、それ以外の時間は混浴となっている。
こういう岩風呂は昭和3、40年代のはやりだったのだろうか。お風呂は大きいし、お湯の鮮度も「元禄の湯」と変わらず問題ないが、混浴をしてまで入る必要はない。
やっぱりこの宿のお風呂は「元禄の湯」に限る。

ということでゆっくり休ませていただいた翌朝はまた「元禄の湯」を楽しませてもらって、また大広間で朝ごはん。
 これはちと寂しい。

が往復のバス代も含めて1泊12500円。
普段使いには悪くない。


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3 コメント

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はじめまして ()
2014-12-27 17:25:10
バス付きのプランで税込このお値段でしたか?
それともバスは別でしたか?
数年前の値段が知りたくて…
返信する
Unknown ()
2014-12-28 07:09:24
すみません!
勘違いしてました、別々でしたね。
バス付き料金が知りたかったので、
お手数ですが両方削除お願いします。
返信する
雪様、 (Lunta)
2014-12-28 10:56:03
はじめまして。
お尋ねの料金の件、私が利用したのはバス代込みのプランでした。
食事は質素でしたが、お風呂はすべて利用できましたし、なによりバスで直行は便利でなかなかよかったですよ。
今もあるならおすすめです。
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