飛行機に乗ったら映画を見る、しかも今回は大きくてきれいなモニターにノイズキャンセリング機能付きイヤホンと環境は整っていたのだが、その割に見たいと思うものが見つからなくていささか不調。
と言うのもカタール航空の映画のセレクション、エミレーツほどは充実しておらず、特にアジア系は少なく、各作品の解説もほとんどないので知っているもの以外は選びにくいのだ。
そんな中からまず一本目、ちょっと気になっていたこちらを選択。
「Women Talking ウーマン・トーキング 私たちの選択」
舞台はとある宗教コミュニティー、文明の利器を否定し、清貧と労働こそ天国への道と信じて閉ざされた社会を作るところ、「刑事ジョン・ブック」で描かれたアーミッシュによく似ている。
この小さなコミュニティー内で女性たちが家にいながら次々にレイプされる事件が起き、犯人たちは街へ護送されるが、男たちが彼らを取り戻しに行く。その留守の2,3日の間に教育を否定され、文字も読めない女性たちが今後の身の振り方を相談するために集まって議論を戦わせる、というお話。
こういう内容だからとにかく理屈っぽい。薄暗い納屋の中でひたすら議論なので、主張したいことはわからないでもないし、女優さんたちも熱演だが、舞台ならぬ映画としてこの作りはいかがなものか。
議論のテーマは「犯人たちに許しを与え、今までの生活を維持すべきか」「拒否してコミュニティーを出て行くか」なのだが、なにしろガチガチの宗教コミュニティーなのでこれまでの教えを否定したら天国に行けない、地獄に落ちるという考えに縛られる。
多くの宗教、特に新興宗教に共通するだろうこの脅しはやっかいだ。
それにしてもこの事件、映画の中では露骨に描かれないが、ボリビアで実際に何年も続いていた実話を元にしているというから驚く。しかも犯人たちは逮捕されながら「村では昔からみんなやっていたこと」となぜ自分たちだけが、と不満そうなのが恐ろしい。
映画の中の女性たちは最終的にある決断をするのだが、この結末はいかにも現実実がなく違和感がある。
興味深いテーマではあるが頭でっかちで心に響かない映画。
2本目は韓国映画。
「ベイビー・ブローカー」
韓国が舞台で俳優たちもすべて韓国人だが監督は日本の是枝裕和。
そのためか、捨て子や違法養子縁組を取り扱いながら、ちょっと甘目の味付けのような気がする。
小悪党であるはずの主人公がお人よしと言う設定はソン・ガンホの得意とする役柄だろう。子供の世話をする所などあまりに自然で感心してしまった。
それにしても韓国のドラマを見ていていつも思うが、孤児院出身は言うに及ばず、親が既に他界していることがそんなに肩身の狭いことなのだろうか。年齢の順に亡くなるのは自然なことなのに、といつも不条理に感じてしまう。
往路の映画は上の2本、復路は1本だけ見た。
「Downton Abbey: A New Era ダウントン・アビー 新たなる時代へ」
TVでおなじみのシリーズ、シーズン1からすべて見ているので知り合いに再会したような気分。
しかし最初の放送から既に12年、役者さんたちも皆さん相応に年を取っているのを確認するのがうれしいような寂しいような。
今回の舞台は1930年。ダウントンで行われる映画撮影の裏話と、いきなりバイオレットおばあさまに遺贈された南仏の別荘に伯爵夫妻が出かける話が交互に進行する。
そのためいささかとっちらかっている印象があり、お話も全体に軽い。
が、クライマックスは予想された展開ながらさすがの役者さんたちのうまさ、家族のようになじみになったキャラクターたちなので思わず泣かされてしまった。
次はいよいよ不穏な時代に突入するのだろうか。
このシリーズ、やっぱりずっと続けてほしい。
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ジョージアレポート楽しみにしています。
コーカサスも、死ぬまでに一度は行ってみたい場所です。
カタール航空のビジネス、凄いですね。
進行方向と逆向きって、、、離着陸時とかどうなんでしょうか? 前から結構興味ありました。
映画、ウーマントーキング、私もあんましピンときませんでした。
ダウントンアビーはまだ見れていないので、早く見たいです! 始まってもう12年も経つんですね、、、早いなぁ。
いずれにしろ現実の事件の方が衝撃的で、宗教に洗脳されるのは怖い、と改めて思いました。
コーカサスは素朴でご飯もおいしくていいですよ。
いらっしゃる時はぜひカタール経由で。