Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

イランの旅 26 イラン料理教室

2014-08-07 18:37:06 | 中近東/北アフリカ
5月5日 続き

さて、イラン滞在の最後に向かったのはこれまで10日間、我々を案内してくれていたガイドさんの家。
出発前からどこかでイラン料理を教わりたいとリクエストをしていたのだが、結局ガイドさんが料理するところを見せてご馳走してくれることになったのだ。

  
ガイドさんのお住まいはテヘラン北西部、まだ新しいアパートの立ち並ぶ閑静な住宅地。
 2階にあるお部屋の玄関を開けるとすぐに10畳ほどの居間。
  
その先、ベランダに面した方が部屋の幅いっぱい台所になっている。本来は調理台のある方だけが台所だったものを改装したそうで、日本では見ない間取りだがとても使いやすそう。
他に寝室が一つとバス、トイレ。
  
ベランダからはミラード・タワーも見えて、とても快適そう。

ずっと我々と一緒だったので昨晩しか準備する時間がなかったと言いつつ、下準備したチキンとナスをオーブンに入れてちょっと一休み。
 サモワールで紅茶を入れて、PCに入った家族の写真など見せてくれる。

なんでも彼女の家族は1ヶ月に一度はお母さんの家に集まるそうで、叔父さんやら叔母さんやらいとこやら、ざっと2,30人はいる。その食事を女性たちで準備して、食べる時は同じ部屋でも男女に分かれて摂るそうだが、きっちりヒジャブ姿のおばさま方から何もかぶらないいとこまで、なるほどこれが現在のイランか、と面白い。

きっちりイスラム風の結納式の写真も見せてくれたけど、派手だったらしい結婚式の写真を見せてくれなかったのは恥ずかしかったのかな。ウェディングドレス姿はこの時ばかりは男性にもお披露目するらしいが、髪は隠すのかと聞いたら、「そんなことしませんよ、セットするのにすごくお金かけるんですから」って面白すぎる。

そうこうしているうちに旦那様が帰宅。
なんでも我々のために早退してくれたそうで恐縮するが、すぐに料理に取り掛かる。
 
その手つきや手際の良さを見れば普段から料理をしていることがわかる。
運転手氏も「僕は料理うまいよ」と言っていたし(ガイドさんは「食いしん坊だからよ」なんて言っていたけど)、イラン人男性は料理なんてしないと思っていたのでちょっとうれしい驚き。

やがて次々に完成するお料理。
 まずは焼きナスをカシュク・ソースという濃厚で酸味のあるヨーグルトで煮込んだもの。乾燥ミントとサフラン水もちょっと入れ、さらに油で炒めた乾燥ミントをのせると香りがよく立つ。
 チキンはスパイスの使い方が面白く
 ナスのトマト味炒めに卵を落とした料理は旦那さんのお母さんの得意料理とか。
 シラーズ・サラダには乾燥ミントとオレガノが入り
 きゅうりのヨーグルトサラダにも乾燥ミントを使うが、さらにカレントが入るのが面白い。

台所には炊飯器もあるが、これを使わずお鍋でご飯を炊くのは旦那さんの担当。
 
それというのもおこげが大好きだからだそうで、なるほど見事な炊き上がり。上には軽く炒めたゼレシュクをガイドさんがかわいく盛りつけた。

そしてすべて揃った食卓がこちら。
 
野菜が豊富で優しい味付けのお料理ばかり。
「時間がないので煮込み料理が作れなかった」とガイドさんは残念がっていたが、短時間でこれだけ用意していただいただけでも大変。我々「レストランの代表的なメニューはほぼ食べた」そうだが、やはり噂通りイランのおいしいものは家庭にあるらしいと実感できた。

美味しい食事をいただいてまるで友達の家に来たようにすっかりくつろいでしまったが、そろそろ空港に向かわなければならないということで、片づけも手伝わずに食い逃げ。

 夕焼けのきれいなイマーム・ホメイニ国際空港でお世話になったガイドさん、運転手さんといよいよお別れ。
運転手さんには別れ際、「3人で食べて」と大きなクッキーの箱までいただいてしまって、イラン人のホスピタリティーには最後まで感動させられた。

テヘランを定刻の23時30分に出発、ドーハ乗り継ぎで5月6日、定刻より30分遅れの18時20分に成田到着。


今回も長い旅行記になってしまったが、それだけ中身の濃い初イランだった。


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イランの旅 25 再びテヘラン

2014-08-06 10:52:37 | 中近東/北アフリカ
5月5日

イラン最後の夜、テヘランでの宿泊はフェルドーシ・グランドホテル。
 ガイドブックにも必ず載っている大きなホテルだが、
   
通された6階は廊下からちょっと変わったインテリア。部屋の椅子はハイヒール型でおもしろ~い、けど部屋は狭い。

翌朝はいよいよ最後の観光。
 
雪山を見ながら市内を走れば、有名な "Down with the USA" のビルはいまだにあるのね。

今日はまず初日に見なかった絨毯博物館に行きたい、と車を停め、博物館のある公園の中に入ると、なんと本日休館日。
考えてみれば今日は月曜日、わかっていたはずなのだが、ガイドさん、またしてもチェックが甘い。

しかたがないので車に戻ると、運転手氏は朝食のレストランに入ったばかりだと言う。
それが車を停めた時から気になっていた羊の看板の店だと言うので早速侵入。
  
 
羊のあらゆる部位を食べさせる店だそうで、鍋の中を覗くとスープの中には脳みそが浮かんでいる。
運転手氏はスープとお肉を食べていたが、これをちょっと味見させてもらうととろとろと柔らかくておいし~。
スタミナ朝食として男性に人気なのだそうだが、次回はこれをガッツリ食べたい。

さて、予定が狂ってしまったのでどうしよう、と考えていると、「私が普段買い物に行くあたりに行きませんか」とガイドさんの提案があったのでそれに乗り、テヘラン市の北部へ向かう。
 
市の中心部を出るとまわりには高層マンションや大型ショッピングセンターが出現し、新しい建物もガンガン建設中。
街路には大きな木が植えられ、その合間に見える店はきれいでしゃれたカフェやらギャラリーやら。

 やがて到着したここはなんと言う場所かさっぱりわからないが、山が近づき、買い物客でにぎわうバザールがある。

外側には八百屋さんが多くて
 
皮を剥いた大量のそら豆やら行者にんにく、イチゴにうどのような野菜
  
若いアーモンド(このまま食べるらしい)やブドウの葉、と季節感がいっぱい。

 
中に入ると乾物や雑貨の店が並び
 
中央にはまた八百屋さんがあって大人気。
 
ここのお惣菜屋さんで初日に気に入ったザクロ・くるみペーストのオリーブを購入。まるでみそ樽のような大きな容器に山盛り入っていると言うことは、やっぱり人気があるんだろう。

バザールの外には洋服の店が多く並び、ガイドさんと一緒に今時のイラン・ファッションをチェック。
ここいらへんは中流の買い物エリアだろうが、テヘランの普段の姿が垣間見えて、ガイドさん、怪我の功名。

やがてお昼が近づいてきたので、またテヘラン中心部へ。
 下町はやっぱりごちゃごちゃと、車も多い。

 
案内されたのは絨毯バザールにほど近いオリジナル・カイヤーム・レストラン。
店内は古いモスクの一部を改装したとかで、半地下になった部分など、表からは想像もつかないほど天井が高い。

ここはガイドさんによればイラン名物、アブグーシュト(またの名ディズィ)の名店だと言うので早速それを注文。
 これが壺焼きシチューのアブグーシュト。
 
まずはスープだけをボールに移し、ここにパンをちぎって入れて食べる。
トマト味のスープは具材のだしがよく出ていて、浸したパンはお粥のようになって食べやすい。
  
壺の中には羊肉、ジャガイモ、ひよこ豆、トマトの具材が残っているが、これは小さなすりこ木のようなものですりつぶし、ペースト状になったらパンにのせて食べる。
店のお兄さんが念入りにつぶしてくれたが、う~ん、以前に食べたことのある友人が「あまり好きじゃない」と言ったわけがよくわかった。

まずは匂いがきつい。自分は羊肉が大好きだが、それでもこれはきついと思うのは脂肪の塊がたっぷり入っているから。
となればペーストも脂っぽくて、ちょっと食べたらもういやになってしまう。
スープの味はいいので、具をつぶさなければ美味しく食べられるように思う。
しかしイラン人はつぶして食べるのが好きらしく、どこのレストランでもこの料理を注文して一生懸命つぶしている姿をよく見かけた。
好みはともかく、名物をやっと食べることができて満足。

食事の後はまだ忙しい。
次はテヘラン観光の定番、宝石博物館のある中央銀行へ。
 全くそっけない外観の銀行だが、土曜から火曜までの週4日、午後2時から4時半のみ開館ということで、時間が近づくと観光客がどっと押し寄せる。

館内はカメラはもちろん、バッグ類なども一切持ち込み禁止。待合室で荷物を預け、セキュリティーゲートをくぐって宝物庫に入ると
 まずは19世紀初めに作られたと言う宝石だらけの「孔雀の玉座」がお出迎え。
さらに進むと、暗い館内にショーケースがたくさん並び、その中はどれも宝石だらけ。
ダイヤ尽くしだったり、エメラルド尽くし、ルビー尽くしと、サファビー朝以来集められたと言う宝石はどれだけあるのか。
 中でも一番有名なのはダリア・イ・ヌールという世界最大のピンクダイヤ。
確かにでかいが、思ったほどピンクではない。
  こちらは最後のパーレビ国王とファラー王妃の王冠。
2キロもあるものを頭に乗せるのは大変だろうね。

とこれらの写真は待合室で売っていたこちらの写真集から。
 英語の説明付きのこのカタログ、ページ数は多くないが主な収蔵品は網羅していてなかなか便利。そしてこれがなんとたったの25,000リアル(約75円)というのには一桁ちがうんじゃないかと耳を疑った。

誰かがショーケースに触れるたびに警報が鳴り響くにぎやかな宝物庫を後にし、
 ペルシャ建国2500年記念に建てられたと言うアザーディー・タワーをぐるっと回って、本日最後の目的地へ向かった。


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イランの旅 24 カシャーン

2014-08-01 18:49:50 | 中近東/北アフリカ
5月4日 続き

午後1時もだいぶ過ぎて、カシャーンの町に到着。
ツアーだと世界遺産のフィーン庭園に連れて行かれるらしいが、お庭にはさほど興味がないので旧市街へ行くようお願いする。

そんなわけで最初に立ち寄ったのは19世紀に作られたマスジェデ・アガー・ボゾルグ。
  
立派な門の正面に一段低くなった中庭を挟んでミナレットとドーム。
 中庭の周りは今も現役の神学校だそうだが、柵も手すりもないのでぼーっとしていたら落っこちそう。

モスクの方は今はもう現役ではないそうだが
  
  
 
これまで見てきたモスクよりもずっと時代が新しいので、装飾がモダンに見えて面白い。

もうかなり時間が遅くなったが、ここでようやく昼食。
 
目立たない入口だが、ここはアッバーシアンという19世紀のガラス商の邸宅。入ってすぐの階段を下に降りると
 噴水の周りがレストランになっている。
 サラダをつまみつつ
 もうすっかりおなじみになったナスの料理。
ここのはこってりしたチーズがかかっておいしい。
 こちらは珍しいラクダ肉の煮込み。
ラクダはくせもなく、柔らかく煮込まれて美味。

栄養補給をしたところでお屋敷の見学。
  
  
家は2つの中庭を巡って建物が取り囲み、いくつ部屋があるのか、迷子になりそうなほど。

 
ガラス商の家らしくステンドグラスがあちこちに使われ
  
  
壁や天井の装飾も繊細だ。

 屋根の上にはバードギールがあって
  風が各部屋や地下の食料庫までまわるようになっている。
この家が家具や使用人でいっぱいだったころはどんなだったろうか、と想像するのも楽しい。

広い家をうろついていたら疲れてしまったので、出発する前にレストランの2階へ。
 
ここは売店になっていて、何種類あるのか、すごい数のハーブドリンクやらお菓子やらを売っているが、いただいたアイスクリームももうなじみになったサフランやファルーデが入っておいしかった。

時間があれば他のお屋敷やバザールを歩いてみたかったカシャーンに後ろ髪引かれつつ、車は高速をテヘランに向かって飛ばす。
 途中、スイカを盛大にぶちまけた事故車を見て「あ~あ」なんて言っていたら、我々の車がなんとネズミ取りに引っかかってしまった。そんなにスピードを出していたわけじゃないのに。
その後は気を付けて見てみるとあちらこちらにパトカーがいて、ここは罰金徴収ロードか。

 途中には大きな休憩所もあって
  
お菓子の実演販売まである充実ぶり。

大都会が近いことを実感しつつ
 飛行機からも見えた塩湖を過ぎて、夜の8時にテヘランに到着した。


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