Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

日本最長バスの旅 5 上湯温泉 「神湯荘」

2016-11-07 19:02:07 | 国内旅行
10月19日 続き

16時を15分ほど回った所で八木からのお客さん一人をピックアップした宿の車がやっと登場。
これに乗って上湯川沿いをさかのぼること10分ほど、龍神温泉へと続く道をはずれ、坂道を上がってようやく今夜の宿に到着。
 
上湯温泉 「神湯荘」

 
玄関を入ると大きなソファが並んでいるが、すぐに部屋に通されて梅のシロップ漬けをいただきながらチェックイン。
 
すでに布団の敷かれた部屋は角部屋の明るい8畳、きれいなウォシュレット付きだが、トイレが妙な位置にあるのは最近になって苦心して付けた証しだろう。
実はこの旅行に当たり司馬遼太郎の「街道を行く 十津川街道編」を読み直してきたのだが、司馬さんが40年前に泊まったのもこの宿、建物はその頃から変わっていないだろうと思われる。
 
窓を開けると山が迫っているが、「空も見えないほど」は作家の誇張だろう。
いい香りがするので何かと思ったら部屋のすぐ下にキンモクセイがいっぱい花をつけていた。

一息入れたところで夕食前にまず一風呂。
この宿のお風呂は内風呂以外はすべて玄関の外に出なければならない。

 
玄関を出て左手の階段を降り、すぐ道の反対側にあるのは貸切風呂への入り口。しかしここは入浴中の札が掛かっていたのでその隣の女性用露天風呂へ。
 
車庫の隣と言う立地はいささか無粋だが
 
石造りの露天風呂は広々。ナトリウム-炭酸水素塩泉と言うお湯は無色透明でにおいもなく飲んでも癖がないが、pH8.3ということで入って肌をこするとツルツルすべすべ。源泉77℃のお湯は42℃ほどにちょうど良く調整されて、結局こちらも貸し切り状態で美肌の湯にたっぷり浸かれた。

お風呂の後は6時から夕食。
 
殺風景な食事処に料理がすでに並んでいたが、天ぷらや子持ち鮎の塩焼きは意外にもまだ十分に温かく
 
アマゴのお刺身に松茸の土瓶蒸し、猪肉のしゃぶしゃぶに
 鹿肉のカルパッチョと土地らしい食材が並んでお味もいい。
 
温泉水で炊かれてちょっと黄色いご飯の後はコーヒーゼリーをいただいて、この食事には非常に満足。

就寝前には玄関から右手のもう一つの貸切露天へ。
 
4人以上は余裕で入れるお風呂は空が開け、ここもお湯の状態が良くて気持ちいい。

内風呂は結局覗くだけで入らずに終わってしまったが
 
入口のこのそっけなさはもうちょっと何とかした方がいいんじゃないだろうか。

いいお布団でゆっくり休ませていただいた翌朝は、昨日入れなかった方の貸切へ。
 
女性用露天と壁を隔てただけなので大きさがちょっと違うだけだが、このやさしいお湯は露天が似合うような気がする。

 朝食は温泉豆腐に温泉粥、温泉卵と温泉づくし。
山の中でなぜイカ刺し、と思ったらこんにゃくだった。

10時の八木行きバスに合わせて9時半に車でまた送ってもらう。
途中、5年前に流されてしまったと言う川べりのお風呂の場所を聞いてみると、そこへ向かう道が崩れてしまって再建のめどは立たないとか。

お湯も食事もとても良く、部屋にも不足はない宿だったが、15000円という料金にしてはいささか物足りないものを感じてしまったのはリーズナブルで気持ちいい東北の温泉にスポイルされているせいか。
サービス面でもうちょっと愛想と工夫があればもっと満足度は上がるのに、と少し残念だった。


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日本最長バスの旅 4 ホテル昴~果無集落

2016-11-01 17:58:15 | 国内旅行
10月19日 続き

バスを降りたのは十津川温泉の一つ手前のホテル昴。
 
ここは十津川村の第三セクターが経営する施設で、手前には温泉プール、奥にホテル棟がある。
 
広々ときれいなロビーに入ると、西村京太郎の十津川警部シリーズがずらり。
この警部の名前、十津川村から採られているのだが、作者が実際にここに来たのはシリーズが有名になってからだとか。

さて、時刻はちょうどお昼、まずは腹ごしらえをしようとロビーから続くレストランへ。
メニューには和食のお膳から定食、麺類と品揃え豊富で、その中から選んだのは
 猪肉カレー。
このカレーが辛くはないがコクがあり、野菜は溶け込んでしまったのか姿が見えないが、たっぷり入った猪肉が味が濃くておいし~。しっかりついた脂身が豚よりもあっさりして、臭みもいやなくどさもない。
店内にはジモティーらしきお客さんも多かったが、人気があるのもうなづける。

このホテルに到着したのは12時だが、新宮方面からのバスはこれが最終。
しかし今夜の宿(このホテルではない)のお迎えは八木方面からの時刻に合わせていて、それが16時。
時間がたっぷりあるので、フロントに荷物を預かってもらって熊野古道の一部を歩くことにする。

本宮の観光案内所でもらった地図を見ながら、
 まずはホテル敷地の隅にあるトンネルをくぐる。
これを出るとすぐに吊り橋があるのでこれを渡るが
 
高さはないものの足元も両脇もスカスカ、長さがあるので真ん中辺では結構揺れてスリリング。
  
川向うの民家の脇を通り、畑の続く中を登って行って、ここいら辺は楽勝。

 やがて小辺路登山口の標識が現れるが、ここからが大変。
  
杉林の中を石畳の道が続くが、勾配が思ったよりもずいぶんきつい。石畳は磨耗しているうえに苔むしていたりもするのですべるのも怖い。脇の土の部分を木の根に気を付けながら歩くが、しかしこれだけの石畳がずっと続いているかと思うと熊野古道ってすごい。

ひたすら上り続けて、ヘロヘロになりながらやっと見晴らしのきくところに出た。
 下に見えるのは熊野川。

ここからはもう一息で、獣除けの門が見えたら果無集落。
  
  
石畳は民家の眼の前を通っていて、この家は住民がいるようだが、これではおちおち雨戸も開けられまい。

この民家を過ぎると周りの展望が開ける。
 
ここに世界遺産の石碑があって、観光ポスターなどで見るとまさに地の果てのようだが
 
実は眼の前を舗装された林道が通っていて、バス停まである。と言っても月曜日の午前中に2便あるだけ、という謎のバスなのだが。

ホテル昴からこの石碑まで50分、しかし距離はたったの1.4キロ、標高差は200メートル。
小辺路はこの先、標高1114メートルの果無峠を越えるそうだが、どれだけきついことか。

自分はもう上りは十分なので、帰路は案内地図に従って舗装された林道を歩く。
 
今度は下る一方だし、車などまったく来ないのでこちらは楽々。
 
途中には小さな滝もあり、渡って来た吊り橋は上から見ると結構長い。

その吊り橋をもう一度わたって、45分でホテルに帰還。
山歩きで汗だくになったので、日帰り入浴料800円をフロントで払って、こちら自慢の星の湯へ。
 
午後も中途半端な時間なので、一人いたお客さんも出てしまって、後はここを貸し切り。
 
カランが多く、アメニティーも揃った内湯は10人以上も入れそうな大きさ。
大きな窓の向こうには露天があって
 
一人用の小さな浴槽ではお湯に浸かりながら肩に打たせ湯ができる。

お湯は笹濁りで42℃ほどの適温。
ナトリウムー炭酸水素塩泉とのことだが、飲泉で汲んでみるとお風呂ではあまり感じない硫黄の匂いがちょっとして、たまご味に塩気も少し。おいしくはないが飲めなくはない。
つるつる感もそこそこあって、なによりまわりを緑に囲まれた露天が気持ちいい。

今日から3日間は温泉三昧だが、まずは一湯目をゆっくり堪能。

ほてった体をさましつつ外で宿のお迎えを待っていると、猟銃を持ったハンターの一団がバスで到着し、続いて熊野古道を本格的に歩いているらしい屈強なヨーロッパ人の一団がやってきた。

さすが日本の秘境、十津川はワイルドだ。


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