本書も放送大学のテキストである。扱っているのはタイトルの通り数値解析。数値解析とは、方程式を解析的に解くことが困難なものを、数値より近似的に解く手法である。重要な手法だが、通常膨大な計算を伴うので、大変な作業量だったが、コンピュータの発達によりやりやすくなった。
ただ問題によっては、コンピュータを使っても、計算量が膨大なため、ものすごく時間を要するようなものがある。また昔はメモリそのものの実装量が限られていたし、コンピュータの計算速度も遅かった。そのような中で先人たちは、様々な工夫を行いチャレンジを続けてきたのだ。
しかし、近似値なので、誤差の問題がどうしても付きまとう。特にカオス的なものは、初期値のほんのわずかな差が時間と共に増大してしまうので注意が必要だろう。
さて、本書ではその数値解析で行われていることを、様々なトピックにより説明している。あまり正規の大学通信教育でこのような科目があるのは放送大学くらいだろう。本書は各章末に練習問題がついており、最後の解説付きで解答も掲載されているのでこの方面に興味がある人は読んでみるといいと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。