主人公は結城真知子という女子高生(高2)。父の正造の仕事の都合で、大阪のM学園から東京の手塚学園に転校してきた。
彼女が大阪のM学園にいるときに、同級生の山崎由子が学校で自殺するのを目撃した。校舎の4階の、僅か数センチのベランダの手すりの上を歩いていて落ちたのである。いったなぜ彼女はそんな真似をしたのか。
そして転校先の手塚学園でも事件が起きる。3人の仲良し女子高生のグループが次々に死んでいくのだ。
地理的に離れている大阪と東京の事件。果たして関連性はあるのか。そして事件の裏にある驚くような秘密。
「死者の学園祭」とは真知子の恋人である神山英人が文化祭で脚本を書いた劇のタイトルだが、果たして事件にどう絡んでくるのか。
真知子は事件の謎を追い始めるのだが、周りの人たちの動きがどうもおかしい。おかしいということは分かったが、まさかこんな結末が待っているとは。この事件は、真知子にとっては辛いものだったのだろう。ただ辛いものではあったが、ひとつだけ救いがあった。まるでギリシア神話に出てくるパンドラの箱にただひとつ「希望」が残ったように。赤川作品は時折読んでいるのだが、この作品も面白く読むことができた。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。