世の中には相続で争うことが多いらしい。これが、なさぬ仲とかなら分からないこともないが、本書を読むときょうだいや親とかも争うことがあるらしい。
巨額の遺産があるのかと思えば、本書によれば、一番多いのが5000万円以下の相続争いだという。75.5%がそうらしい(p35)。相続人が何人いるのかは知らないが、多い場合は一人当たりの取り分が少なくなるので、争う必要性がよく分からない。
よくあるのが、特別利益をどうするかとか寄与分をどうするかと言ったもののようである。もし同居して、親の面倒を見ているのなら、その人が全部取ればいいと思うのだが、今の法律ではなかなか難しいようだ。親の世話は長男の嫁に放り投げているのに、いざ相続となると普段寄り付きもしないきょうだいが口を出してくるというのも良く聞く話だ。
一番あきれたのは、被相続人の死後10年も経って、怪しさ満点の遺言書が出てきたという例(pp120-122)。本書によれば、この場合でも、その遺言書を無効にするのは難しいということだ。数年で時効にするなど、今後の法的整備が望まれると思う。
実は私も父と母の財産を相続した経験がある。特にトラブルはなかったのだが、とにかく面倒臭いことが多いというのは実感した。
生涯でしょっちゅうやるというものでもないため、弁護士などの専門家に任せた方が落ちが無いし、手間も少なくなる。私も手続きの多くを弁護士に任せたが、それでも面倒くさいものが多かった。もっと手続きが簡単にならないものかと思う。
ともあれ、「転ばぬ先の杖」という諺もあるように、本書を一読して、遺留分や寄与分など、色々と知識をつけておけば、いざというときに役立つものと思う。
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