虹色教室には 0歳児や1歳児という非常に幼い子たちも通ってきています。
そのため 子どもがどのようにして数を習得していくのかや
数学的なセンスが どのような遊びややりとりを通して身についてくるのか
気づくことが多々あります。
そこでの発見が意外なところで役立って重宝しています。
自閉症や知的障害といったハンディーキャップを持った子たちに
算数を教えるときです。
私は特別な資格を持っているわけではないので、ハンディーを持った子向けの正しい教え方というのはくわしく知りません。
それでも良いのなら……と自閉症や知的障害の子のレッスンもお受けするうち、
ハンディーを持っている子たちの算数の学習を進めていくための自分なりのコツのようなものが見えてきました。
もちろん自分なりのコツなどという前に、まず、本で調べられる限りは情報を集めて、
それぞれのハンディーキャップに適した環境や教具を
準備してあげることは重要です。
しかし、障害名に合わせた教え方の<how to>をマスターし、
教材や教具を用意したら、すんなり学習が進むかというと
なかなかうまくいかないものです。
そんなときに、テストや作業課題で測れるような表面的な『ものさし』ではなくて、
別の尺度のもっと微細な変化を測ることができる『ものさし』があると便利なのです。
私は0、1歳児の時から子どもの内面に潜在している状態で発達していく
数学的なセンスのようなものが
その『ものさし』になるなと感じていて、
ハンディーのある子に教えるときに活用しています。
↑の写真は1歳4ヶ月の子のおままごとの様子です。
手にいっぱいおもちゃのいちごを抱えています。
このくらいの月齢の子は『いっぱい』を体感するような遊びが多いです。
箱に入ったブロックを豪快にひっくり返すとか、
袋にありったけの物を詰めるとか、
手に持ちきれないほど抱えてうろうろするとか。
こぼれるとか あふれるとか、バラバラに散らばるとか、『いっぱい』という
実感を何度も体験したがる一方で、『ひとつ』にだけ狙いを定めて、
必死でそれを取ろうとしたり、1個手にしたものを、「はい、どーぞ」とお母さんにとどけに行ったりします。
また『ゼロ』と『ある』を何度も確認することも好みます。
いろんなものにハンカチをかけて、「ないない」と「ばぁ」をしては、笑います。
2歳近くなると、ひとつの小さなコップにひとつのブドウの粒を入れていくとか、一脚のいすに一人の人形を乗せていくといった
1対1対応に気づく遊びが増えます。
また3歳頃になると、子どもは数の世界にとても敏感になっていき、
さまざまな遊びの世界に数学的な世界観が現われてきます。
何らかのハンディーが原因で、
小学生になって算数につまずいている子たちは、
赤ちゃんの頃からそうした行動をあまりしなかったという場合がよくあります。
そうした内側からの要請でする活動をしないまま
小学生向けの算数を易しくスローステップでできる状態で教えても
いっこうに進まなかったり、丸暗記で答えを書き込めてもさっぱり意味がわかっていないということも起こります。
そこで私は、
小学生であっても、子どもの内側で発達している数学的なものの発達が今どの段階にあって、
どんな課題を抱えているのか見るようにしています。
外から見える『ものさし』と
外からは見えにくい『ものさし』
の両方を見て、それぞれに必要な対応をしていくことが大事だと考えるからです。
次回に続きます。
そのため 子どもがどのようにして数を習得していくのかや
数学的なセンスが どのような遊びややりとりを通して身についてくるのか
気づくことが多々あります。
そこでの発見が意外なところで役立って重宝しています。
自閉症や知的障害といったハンディーキャップを持った子たちに
算数を教えるときです。
私は特別な資格を持っているわけではないので、ハンディーを持った子向けの正しい教え方というのはくわしく知りません。
それでも良いのなら……と自閉症や知的障害の子のレッスンもお受けするうち、
ハンディーを持っている子たちの算数の学習を進めていくための自分なりのコツのようなものが見えてきました。
もちろん自分なりのコツなどという前に、まず、本で調べられる限りは情報を集めて、
それぞれのハンディーキャップに適した環境や教具を
準備してあげることは重要です。
しかし、障害名に合わせた教え方の<how to>をマスターし、
教材や教具を用意したら、すんなり学習が進むかというと
なかなかうまくいかないものです。
そんなときに、テストや作業課題で測れるような表面的な『ものさし』ではなくて、
別の尺度のもっと微細な変化を測ることができる『ものさし』があると便利なのです。
私は0、1歳児の時から子どもの内面に潜在している状態で発達していく
数学的なセンスのようなものが
その『ものさし』になるなと感じていて、
ハンディーのある子に教えるときに活用しています。
↑の写真は1歳4ヶ月の子のおままごとの様子です。
手にいっぱいおもちゃのいちごを抱えています。
このくらいの月齢の子は『いっぱい』を体感するような遊びが多いです。
箱に入ったブロックを豪快にひっくり返すとか、
袋にありったけの物を詰めるとか、
手に持ちきれないほど抱えてうろうろするとか。
こぼれるとか あふれるとか、バラバラに散らばるとか、『いっぱい』という
実感を何度も体験したがる一方で、『ひとつ』にだけ狙いを定めて、
必死でそれを取ろうとしたり、1個手にしたものを、「はい、どーぞ」とお母さんにとどけに行ったりします。
また『ゼロ』と『ある』を何度も確認することも好みます。
いろんなものにハンカチをかけて、「ないない」と「ばぁ」をしては、笑います。
2歳近くなると、ひとつの小さなコップにひとつのブドウの粒を入れていくとか、一脚のいすに一人の人形を乗せていくといった
1対1対応に気づく遊びが増えます。
また3歳頃になると、子どもは数の世界にとても敏感になっていき、
さまざまな遊びの世界に数学的な世界観が現われてきます。
何らかのハンディーが原因で、
小学生になって算数につまずいている子たちは、
赤ちゃんの頃からそうした行動をあまりしなかったという場合がよくあります。
そうした内側からの要請でする活動をしないまま
小学生向けの算数を易しくスローステップでできる状態で教えても
いっこうに進まなかったり、丸暗記で答えを書き込めてもさっぱり意味がわかっていないということも起こります。
そこで私は、
小学生であっても、子どもの内側で発達している数学的なものの発達が今どの段階にあって、
どんな課題を抱えているのか見るようにしています。
外から見える『ものさし』と
外からは見えにくい『ものさし』
の両方を見て、それぞれに必要な対応をしていくことが大事だと考えるからです。
次回に続きます。