前回の続きは数日以内に書きますね。
『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』水島広子 紀伊国屋書店
(この著書でクロニンジャーの「七因子モデル」を知りました。)
という著書の中で、「あれっ?」と感じる興味深い話を目にしました。
思春期の子を持つ親御さん向けの本ですが、幼児を育てている方にとっても
とても大切な話だと感じたので、簡単に要約して紹介しますね。
思春期の心の病である拒食症の治療の中心は、
対人関係療法で言うところの「役割の変化」になるそうです。
思春期の課題を消化して、「子どものやり方」から、
「大人のやり方」に変化を遂げることが
病の治癒につながるそうです。
「子どものやり方」というのは、「何でも自分の努力で解決する」というものです。
一方、「大人のやり方」は、「必要であれば他人の力を借りよう」と
考えられることです。
成績が上位になれない、という場合も、一人でさらに努力して自分を追い込んでいくのではなく、いろいろな人生があることを知って、
自分の存在を社会の中で相対化できるようになることです。
「何でも自分の努力で解決する、のが『子どものやり方』だなんておかしい……大人になっていくということは、
他人に頼らず、自分で責任を持っていろんなことをこなせるようになることではないの?」
と感じた方がいらっしゃるかもしれません。
世の中は、矛盾だらけで無秩序なところです。
「がんばったから、幸せになる」とか「努力に比例して成功する」という
単純なルールで成り立っているわけではないですよね。
すべての課題を自分の責任でこなそうとする人は、「秩序」によって安定するタイプが多いので、
「努力すれば成績が得られる」「親切にすればすかれる」というようなルール
で世の中が動いていないと不安になります。
そうしたタイプの人が、自分の秩序を乱す出来事に直面すると、パニックを起します。そのパニックへの対処のひとつの形が
拒食症という病なのだそうです。
「体重」は、食べなければやせるという体重計の数字にきちんと表れるので、
達成感と安心感が得られます。
思春期には、「自分の限界を知るということ」という
重要な課題があります。
努力すれば何でもできるようになるわけではない。がんばればみんながほめてくれるわけではない。運命や環境をすべて自分の力でコントロールできるわけではないと認めること。
その上で、自分にできる範囲で全力をつくせるようになることが、
大人になるための思春期の課題です。
「人間は努力すれば何でもできるし、そもそも人間は学力だけで評価される」
という狭い考え方は「子ども」としての役割から生じるものです。
大人になるということは、
「人間にはいろいろな限界があり、その中で支えあっていくことが人生」と
いう大人としての役割で考えることができるようになること
なのですね。
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『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』で、
拒食症をはじめとする思春期の心の病についての話を目にするうち、
ちょっと怖くなったことがありました。
子育て中の親の中には、思春期の課題を超えそびれて、
まだ「長い思春期」の最中にいる方も多いです。
機能不全の家庭に育った私も、
ひとりめの娘の子育てでは、大人になれていない心のまま
良かれと思って子どもの自尊心を蝕むようなことを
平気でしていました。
「子ども」の心のままで、
心の病を引き起こすような世界観のもとで子育てをしていると、
目に見える安心感や数値上の上昇を確認することを求めます。
「努力すれば成績が得られる」「親切にすればすかれる」というような
安心できる秩序が守られている世界を
お金を払ってでも得ようとします。
それが教育産業が作り上げた
人工的な架空の世界であったとしても、
それを全世界のように錯覚した状態で子育てをしたいと願います。
子育ては、「すべてを自分の力でコントロールしたいという」
現実にはありえない考え方が
はびこりやすい場です。
なぜなら、「自分で努力はしたくないけれど、
コントロールして数値の確認をする作業だけをしていたい」と
いう本当は現実の世界で叶えられてはいけない
病特有の執拗な願いを
簡単に実現してしまうからです。
おまけに、教育産業の多くが、そうした親の考えを
正当化して、
さらに煽りがちです。
教育産業が、儲かることを最優先に考えるのは、
ビジネスだからしょうがない部分もあります。
利用する側が、親にとっての最優先課題はビジネスのそれと
重ならない場合が多いことを自覚することが
大切だと思います。
子どもの幸不幸は、
どんな能力の親のもとに生まれたかよりも、
ちゃんと思春期の自分の課題を済ませて、「大人」になっている
親に育てられているかどうかで決まるように感じています。
子どもの未来も、「大人」に育てられているかどうかで、
大きく変わってくるのではないでしょうか?
「叱らない育児」をするようにうながされたのに
療育本やネットでの情報で少しでも普通に近づけたい気持ちが強く
まったく思い通りの反応にならず
結果、気づけば怒鳴ってばかりで。。。
前回の遺伝子の記事と同様
親の器で伸びるかどうかなのに
ついつい3歳の子供に多くの要求を突きつけてました
大人になるって難しいですね。。。年齢は中年ですが^^;
私も機能不全の家庭で育ち、その課題は思春期から自律期に向きあって乗り越えてきたものだと思っていました。でも、子育てをする中で、まだ私が越えられずにいる課題が出てきて、そんな時は子育てが、自分の課題に向き合わなければいけないことがくしんどく感じます。数値で管理・・・とはちょっと違いますが、子どもの頃、自分に許されなかった事を無意識のうちに娘にも許すことができずにいました。
自分を育て直しつつの子育てです。いつも先生のブログのおかげで自分の心を見つめなおすことができます。ありがとうございます。
聡ちゃんの毎日の成長をもっと楽しんで子育てしたいと思いました。