健常の子にしても、自閉っ子にしても、
成長の一過程で、それまでの自分の生き方や考え方を全て帳消しにして、
生まれ変わって新しい自分を創りだしていこうとするような時期があります。
たいていそれは攻撃的で破壊的な衝動から始まって、
それが物に向かえば、何から何まで徹底して破壊しつくさないと気がすまないような行動になるし、
人に向かえば、親や先生への口答えや無視や友だちへの執拗な攻撃となります。
そうした破壊への衝動は、
同時に新しく生まれ変わり、自分や生き方を再創造することとセットになってもいます。
新しいより良い自分となり、より精神的に成長した状態で人との関係を作りなおし、
自分の人生を自分の手で創造しなおそうというテーマを帯びた
めちゃくちゃさでもあるのです。
さまざまな子どもたちと接していると、また自分の子を大きくなるまで育ててみると、
どんなに素直で物分かりのいい子にも、表現の仕方こそいろいろあれ、
必ずそうした破壊の衝動が強くなる時期があるな、と感じています。
思春期のそれは、誰もが承知しているでしょうが、
それ以外の時期にも、子どもは何度もプチ思春期みたいな時期を通って成長していくことは、
さまざまな年齢の子に関わっている方や
成人するくらいの年齢まで子育て経験がある方なら、「あるある~」とうなずくことのひとつ
ではないでしょうか。
以前、親しくしていた児童館の館長さんは、「この頃の小学生は、おもちゃで遊ぶのでなく、
おもちゃを壊したり、めちゃくちゃにするような遊び方にしか興味がない。
遊んでいて壊れるのではなく、どの子もどの子も
遊びの目的が破壊することにしかないのはどうしたものか……」と嘆いておられました。
最近では幼稚園のように幼児の過ごす場で、
そうした衝動を、疲れきるまでめちゃくちゃに遊ぶとか、一日中どろんこ遊びをするとか、
友だちと衝突したりすることで、
小出しにして解消することができなくなっています。
どこの幼稚園もカリキュラム満載で、そうした自然な衝動を、ごまかしたり、抑え込んだり、
動物でも調教するように大人の指示で動かし続けたりしています。
とにかく幼児の集うところは、大人受けのいい場になっているのです。
その影響か、一昔前なら幼児期のめちゃくちゃさが一段落してくるはずの就学時期に
この「とことんまでめちゃくちゃにしたい」という衝動が高まり始める(それまでの)おりこうさんたちが
多くなってきているな~と感じています。
また、魔の2歳児と呼ばれる時期に大人の言葉での説得を素直に受け入れ過ぎてきた子が、
4,5歳で、自分を成長させてくれるような場や人と関わるようになると、
そうした衝動が急に激しくなるのもよく見聞きすることです。
この「めちゃくちゃにしてしまいたい」という衝動は、
物を壊すような目に見える破壊行為だけではなく、
ひとりの子をターゲットにして無視したり、陰口を叩いていじめるような、
外からは見えにくい形で表現されることもあります。
子どもと関わる仕事についている方々や長年子どもと関わるボランティアを続けている方々と
話しをしていると、
破壊衝動を持つ時期があること自体は、昔も今も変わらなくても、
その時期のこじれ方と、その後の精神的な成長を諦めてしまう姿には大きな違いを感じます。
これから新学期ですよね。
子どもたちにそうした破壊的な衝動の高まりが見られた場合、
それをどのように成長と創造につなげていくか、
大人の姿が問われるのではないでしょうか。
破壊的な行動を(前回の記事とも重なるのですが)ファンタジーの世界で表現し続ける子ども達を、今、まさにどう対応しようか…成長につなげていけるか…と考えていた事です。続きの記事楽しみにしています。