虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

遊びが育むやる気と 問題を乗り越える力 2

2010-05-06 20:38:19 | 教育論 読者の方からのQ&A
子どもって、親が選ぶ「良いこと」だけでは育たないな~

と子どもが大きくなるにつれて感じます。

子どもの気持ちを前向きでチャレンジャーにしてくれるのは、
失敗したってどうってことない、飽きたら次を考えれば済む~という
環境のゆるさだったりします。

「新しくこんなことしてみたい、自分の全力をこれに傾けてみたい」
と閃いたとき、一瞬の迷いも、大人への遠慮も、罪悪感もなく、
自分をその中にどっぷり投入できる……

それが子供だけでする自由な遊びのよさですよね。

思い通りにいかないことが多いこと、
頭をしっかり使わないとすぐ退屈すること、
きょうだいも、友だちも、
自分から働きかけて、一生懸命、説得するなり、ぶつかりあうなりしないと、
親や大人たちのように、簡単に折れてくれないこと……

とにかくジレンマを感じる場面に何度もぶつかるし、
考えてもみなかった事態に遭遇することもよくあります。

でも、それが、「どうしてもこれがやりたい!」という気持ちに駆り立ててくれるし、退屈ついでの言い争いが、多少のことにくじけず、
あきらめず、どうすればいいのか考え続ける
挑戦し続ける姿勢を作ってくれるのです。

私は毎日の子どもの生活に、退屈や無駄やけんかや、
大人から見ると「無意味で非効率的」なことがたくさんあるといいな~
と感じています。
また、親の私が正しいと思う考えとは対極にあるものも
チラホラあるのがいいな~とも。

実際、子どもたちがかなり大きくなってみると、
私が価値をおいていなかったものが、子どもたちを鍛え成長させてくれていたことがよくわかります。

ふるまりさんの記事にもうひとつリンクさせていただいて↓
★「輪ゴムをひっかけてあそぼう」オモチャ

タロウくんが地団駄を踏んで、「これがしたいんだ~」「これじゃなきゃダメなんだ~」と訴えて、その熱意におされて、しぶしぶ
工作準備に手を貸す様子が描かれています。

これを読んで、そうそう~もし、最初から、
「お母さんはいつでもあなたの工作に手を貸しますよ、スタンバイしてますよ」
だったり、
「子どもに工作をしてほしいのは、本人よりお母さんかもしれない」って
状況だったり、
「工作教室で、きちっと材料が整っていて、今工作の時間ですよ」
だったりしたら、
それほど工作に熱が入るのか……
工作以外のことまで、貪欲にやりたいがんばりたいという気持ちが起こるのか、
疑問だな……と感じました。

こうしたところに、子どもをやる気にさせる、主体的にさせる
原動力が生まれる瞬間が潜んでいて、
それは大人が「がんばって」作ろうとするとすごく難しいことだな
と感じるのです。

まず、本気で交渉すれば相手が動くという経験なり信頼感がベースにあって、

それでいて、まあまあ手ごわかったり、
思い通りいかなかったりして、
軽いジレンマや、

必死に、あの手この手でぶつかる時間があって……

つまり、時間に追われていないことが大事で、
その後、人と人との間で自分の思いが達成できたという満足感が残るという経験


そうした繰り返しのなかでこそ、
自分の知力や、技術力や、体力や、精神力の限界が把握できるし、
自分が何がやりたいのか、
内面から湧き上がってくるものを実感できるのですよね。

2歳くらいの子でも、
新しいおもちゃを渡しても見向きもしなかったりするのに、
お友だちが持っていると欲しくなる、
取り合うとさらに欲しくなって、
ものすごくやってみたくなる、
いつもならすぐに飽きてポイなのに、渡したくないからおもちゃに熱中するという瞬間がありますよね。

そうやって人と人との間でジレンマを抱きながら、自分の気持ちがワーっと湧いてくるから、
いろんなことに夢中になれるようになるのですよね。

もちろん勉強だって、

大人の期待に応える形ではなく、
また級とか賞とか、プレゼントとか関係ないところで

「自分自身の心が強く強く何かを欲した経験」がベースになって、
がんばれるようになるのだと感じます。

うちの子たちの小学生時代のことを思い返すと、
何が良かったのかって、
大人の価値観に真っ向から反抗して、好きなように無駄をやりつくして、
ひとつも「大人のため」が入っていない世界で
自分のしたいことをした~
やりたいことのエネルギーがいくらでも湧いてきたという
経験なのでしょうね。

そこで、すっきりとゼロの自分になって、

自分の人生にどんな計画を思い描こう、
この人生に自分の知力、技術、体力、精神力の全てを投入して
何をやってやろう!

って力が湧いてきたのでしょう。
そして、今度は、一歩、現実の世界にも
足を踏み入れて、その力を勉強なり、人との関係の構築なりに
使い出すのだと思います。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ぶつかる時間があっていいんですね! (ぽんみかん)
2013-03-10 14:41:28
前回のお教室のすぐ後で、たいへんタイムリーな記事でした。

息子のぽんすけはものづくりに目覚めたのはいいけれど、
作りたいけどうまく作れない→癇癪!!
思いついたらすぐ作りたい!!でも今は駄目→癇癪!!
エネルギーが日に日に増大して、これからこれをどうしていくかと思っていた矢先でした。

もし、「お母さんはいつでもあなたの工作に手を貸しますよ、スタンバイしてますよ」「工作教室で、きちっと材料が整っていて、今工作の時間ですよ」
と言う状態だったら・・・・・という言葉を読んで、
また、ふるまりさんの記事を読んで、はっとしました。
・・じっくりぽんを見つめて、とことん付き合って、まずは何でもつくれるよ!ということをメインに考えていた第一ステージは終わったなと感じました。

朝晩の家事等で「今すぐはできないよ~」と言われ、泣いてわめいて、嫌っていうほど我慢した後は、待ってましたとばかり「ママ、終わった!?つくろ~!!」と目を輝かせ、
今までまったく旨くいかず、どうアプローチしていいかいまいち分からなかった、「お手本を見る」「説明をきく」が少しずつできるようになってきました。

まだまだ治まる気配の無い反抗期やあまのじゃくぶりに、ちょうど、こちらで紹介されていた保育士おとーちゃんさんの叱り方の記事を拝見し、奈緒美先生のおっしゃっていた「わがままに対する積極的な対応」の意味と自分の対応がどうかを繰返し考えていた時期でもありました。

なんでもかんでもお膳立てせず、ぽんに振り回されず
『「新しくこんなことしてみたい、自分の全力をこれに傾けてみたい」
と閃いたとき、一瞬の迷いも、大人への遠慮も、罪悪感もなく、
自分をその中にどっぷり投入できる……』
そんな体験をいっぱいさせてあげられるようにしたいです。
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