の続きです。
異年齢の子の集団を作ると、「年上の子たちと過ごさせたい」とおっしゃる
方々は多いです。
きびきびと行動できる子、しっかりしたお兄ちゃんお姉ちゃんと過ごさせて、
「あんな風になりたいな」というあこがれを
子どものなかに生じさせてて、がんばる意欲につなげたい、と考える方がいるのです。
でも子どもの性質と、普段の親御さんの考え方や、子どもの置かれた環境によって、
そうして年上の子らやその子よりしっかりした子たちと過ごさせることが
逆効果となることもあるので注意が必要です。
つまり自分より何かができる子に囲まれたとたん、
自虐的で無気力な状態がひどくなるということです。
次のようなケースです。
①普段から親御さんが「もっとしっかりしてほしい」「もっと成長してほしい」という
無言のプレッシャーを子どもに与えている場合。
自分よりできる子がたくさんいる場面では、普段、肌で感じているプレッシャーが
さらにリアルに自分に迫ってくるので、
めげてしまって、ダラダラとやる気のない態度に終始する可能性があります。
②不安的な状態を脱して、ようやく「しっかりしてきた」という状態で、
すぐにさらなる高い目標を子どもに与えたいと思ってしまう親御さんの場合。
不安的な状態を脱して、ようやく「しっかりしてきた」という状態は、
親御さんにとって「子どもとしてあたり前」の姿のように思えても、
いつもとのダラダラした困ったちゃんにもどるかもしれない……という
危うい状態です。
「いい」状態の時に、その状態に満足し、子どもの心を存分に満たす必要があります。
③子どもにとって新しいチャレンジする環境を次々与えるのに熱心だけれど、
「テレビ」や「お菓子」など
その子が楽しみにしているものは、
親の気持ちで簡単に取り上げてしまう場合。
こうした環境は、自発性や意欲のもととなる
子どもの核となるものが育っていないことがよくあります。
④神経質で情緒的で他の子の出来不出来が気になる子の場合。
こうしたタイプの子は、自分より苦手が多い子や年下の子らと過ごすと
実力を発揮して、
自発的に何でも取り組むのに、
自分より何かが得意な子が近くにいると
たちまち落ち込んで頭で何も考えられなくなることがあります。
------------------------------------
親御さんの気持ちや願望や思いや評価が
常に子どもの生活環境や感情のあり方に
影響を与えているような場合、
親御さんがよかれと思って選ぶものが
子どもの自発性やがんばる気持ちを奪ってしまうこともあります。
また、子どもの環境を親御さんが先回りして
選びすぎることも、
子どもの発達にゆがみを与えがちだと思います。
自然に出会うものは、
つまらない雨の日も、
ちょっともやもやといやな気分で終わる出来事も
子どもの心を感受性豊かに、たくましく成長させていきます。
子どもにはいろんな日々、いろんな体験、
退屈、無駄などもあまるほどあってちょうどいいと思っています。
、
昨日、年下の子がひとり参加することになったグループで
年上の子のひとり、○くんにこんな変化がありました。
下の子にいいところを見せたい、できるところを見せたい、自分のが年が上だから……
という気持ちで、物つくりでも学習タイムにも
責任感を持って、きびきびとした意欲的な態度で取り組んでいたのです。
○くんのお母さんは先に挙げたケースに当てはまる方ではありませんが、
○くんはちょっと甘えん坊の性質で、昨年まで自分よりできることが多い同年代の子と学んでいたときは、
「え~、できない」「え~難しい、やりたくない」とだらだらした態度をしめすことも
よくあったのです。
○くんは情緒的で感情が繊細な子なので、自分よりしっかりした子らといっしょにいると
あこがれるよりも、心が負けてしまうのです。
子どもにどんな体験や環境が必要かは、
あまり選びすぎず、自然に任せて、そのときそのときに
しっかり関わることが大事だと感じています。
うちの子にしても、当時はどうしたものかと悩んでいた「ダラダラした」無駄時間が
どんな体験より成長をもたらしてくれたと感じることが多々あります。
息子が小学3年生くらいの頃、とにかくテレビゲームが好きで、あまりに執着するもので、
一日何時間までならOKかと取り決めていた時期があります。
紙で何かを作ったり、友だちと遊んだりもよくしていたのですが、
とにかく怖いほどにゲームに執着するので、頭を抱えていました。
ゲーム時間を取り決めていても、何度もルールを破ったり、
ゲームをしない間はごろごろしてゲームの攻略本ばかり読んでいたりしましたが、
親子で何度もルールについて話し合ったり、
子ども側の言い分をしっかり聞くのもいいだろう……とも思って
そのまま数ヶ月が過ぎた頃、こんなことがありました。
「RPGつくーる」というRPGを自分で製作するゲームをおこづかいで買っていたものの
家族の誰も遊び方はわからないし、本人も攻略本に載っている数値の意味が
さっぱりわかっていなかったようなのですが、
あるとき、攻略本をのぞきこんでいた息子が「わかったよ。このゲームの仕方」と言い出したのです。
そこで息子の説明に耳を傾けることにすると、数字の羅列から
関数のような計算方法を編み出して、
このゲームを扱えるようになっていたのです。
それからその計算を使って
家族を登場させるゲームなどを作っていました。
このとき、ごろごろとわけがわからない攻略本を見続けていた時間が、
その後、深く考えを練ることで手がつけられないような問題の解法を探り出していく
力の土台となってくれたと感じています。
こうした力はなかなか習い事では身につかないものですよね。
当時のわたしはテレビゲームに好感を持っていたわけではありませんが、
息子が「好き」と思う気持ちは大事にしてあげたいと感じていました。
こうした出来事を振り返っても、子どもにどのような時間の過ごし方や
環境を与えるのベストかなんて
親にはわからないのですから、肝心のところはしっかり押さえていても
つねに余白と無駄を残しておくことが大切だと
感じています。
なんとなく、一人っ子の次へのステップは年上のお兄ちゃんと遊ばせることだと思っていたのですが、、、
確かに年下の子と遊ばせてプライドを刺激してあげる時間も必要かなという気がしてきました。
どちらか、ではなく、
年上年下同学年、どの子とも満遍なく過ごさせてあげるのが程良いですね。
食べ物も育児もバランスが大事だと最終的には思うのですが、
時々親の願望等によって偏ってしまいます^^;
今回の場合だと、年上の子と遊んで我儘っぽいところを直せないかな、という願望です。
今日の記事もまさに今の時期に知りたかったことだったので、とても助けになりました。
息子さんについて、奈緒美先生でもあれこれ悩んだり、ヤキモキされたんだなと思うとちょっとホッとします。あれがいい、これがダメと言われがちな時代ですが、余白を残すという気持ちのゆとりを常にもっておこうと思いました。ありがとうございました。