虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どものわがまま過ぎる要求にどうこたえたらいいですか?

2011-02-28 13:41:30 | 幼児教育の基本

3、4歳の子のわがまますぎる要求にどう対応したらよいのか、
困っている親御さんによくお会いします。

さまざまなおもちゃがあるのに、
わざわざそこにないおもちゃを欲しがって泣き喚く、
お友だちのもおもちゃを全て独占してしまう、
椅子をたおす、おもちゃを投げるといった、乱暴な行為が目立つ、
弟や妹をたたいていじめるなど……

こうした目に余るわがままな姿を見ると、
子どもを厳しく叱ったり、にらみつけたり、子どもがかわいく思えなくなったりして、子育てにさまざまな迷いが生じてくることと思います。

わがままな子には、厳しく叱れば良い。

何でも受け入れてあげれば良い。叱らずしつけると良い。

飴と鞭でしつけていくと良い。

こういうときには、こういう対応。こんな場合は、こうすれば良い。

など~さまざまな意見がありますよね。

そうした意見は意見でどれも一理ありますが、
やはり子どもはそれぞれ個性的ですし、置かれている環境も違いますから、
「こうした場合は、こう対応」というマニュアル通りにてうまくいくようには思えません。

私自身は、子どもの問題行動が気にかかるときは、
それを子どもからの「ひとつのサイン」として受け取って、

その問題に対する
「叱る、注意する」といったその場限りの対応を超えた

もう少し「積極的な対応」をするように親御さんに勧めています。

たとえば、赤ちゃんの妹や弟をたたく子には、
「たたいちゃダメ」と叱るというレベルの対応ではなく、

上の子の寂しさや嫉妬心を感じ取って、
毎日、上の子だけを、ひとりだけでかわいがってあげる時間を取ったり、
家に上の子の友だちをできるだけ呼んであげて楽しい時間を増やしてあげたり、
言葉で上の子をかわいく感じていることを伝えたりするという

「積極的な対応」です。

もちろん、悪いことをすれば、善悪を教えるために、叱ることは大事なのです。

でも、叱ることは、親の気持ちを不安定にし、子どもとの関係が悪化していく引き金にもなりがちです。

悪いと思われることを繰り返さずにはいられない行動のもとを
できるだけ正確に察して
「積極的に対応」すると、親子ともに気持ち良く、物事が改善していくことは多いです。

3歳児のグループレッスン(前回の子たちとは別のグループです)
中、こんなことがありました。
☆ちゃんだけがいつも他の子の欲しがるおもちゃを独占して、
次々遊びを変え、
ここにないものを欲しがって大騒ぎしていました。

3歳児さんのグループですから、
ひとり甘えて私のひざに乗ってくる子がいると、他の子も負けじとひざに座ってきて
「先生~先生~」と自分の要求を次々口にします。
それでも、そうして甘えてくる子たちは無茶は言いません。かなえてもらえそうな要求を口にしているのです。すぐに対応してもらえなくても、いずれ自分の望みは聞いてもらえると感じているので、のんびりしています。

それが☆ちゃんだけは、イライラしはじめると、
大人に肩や髪の毛を触れられただけでも過敏になって暴れだし、
かなえることができないような要求ばかり出して
まるで大人の怒りを引き出すことだけを目的に、
ごねているように見えるのです。

こうしたとき、現状だけの判断で、この場合は叱る、この場合はこういう罰という対応をすると、根本的な解決法を逃してしまうように感じます。

☆ちゃんを見ていると、疲れた~お友だちのできることができない~といった
思い通りにいかない場面にぶつかって
負の感情が湧いてくるとき、

他の子のように大人を頼って、甘えて、
イライラや悲しみを解消したり
自分の感情を癒したりする術が絶たれているのです。

また、無茶な要求の裏に見え隠れするのは、
小さな要求を十分にかなえてもらったという体験の少なさです。
といって、☆ちゃんの親御さんが、子どもの要求を聞いてあげていないというわけではないのです。

とにかく子どもは個性的です。
要求が多い子もいれば、要求をうまく出せない子もいます。
また親御さんだって個性がありますから、気づきやすいこと、気づきにくいことがあって、
大きな要求をかなえることに悩んで、
小さな要求に気づいていない場合もあります。

ささいな要求が大人の都合で通らないことが多いと、
どれくらいの要求なら大人は快く聞いてくれて
どれはだめなのか
把握できません。
ストレスがたまって、自分でもコントロールできないような
爆発にむすびつきます。

ですから、こうした子どもが無理難題を突きつけてくる、
無茶な要求が多いという場合、

叱る、無視する、といったその場限りの対応でなく

「積極的な対応」をして、
子どもの気持ちを満たす「小さな要求」には、
毎回きちんと応えてあげるように
つとめると、わがままがどんどん減っていくことがよくあります。

また、感覚過敏と見える態度が
発達障害に寄るものか、
上手に甘えが表現できない親子関係に寄るものか見極めて、

どっちにしろ、フォーカスする部分を
子どもの問題行動から、
大人を信頼して甘えることができているかどうかに移すようにすると、
問題は劇的に解決しはじめます。

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子どもが無理難題を突きつけてくる、
無茶な要求が多いという場合、

叱る、無視する、といったその場限りの対応でなく

「積極的な対応」をして、
子どもの気持ちを満たす「小さな要求」には、
毎回きちんと応えてあげるように
つとめると、わがままがどんどん減っていくことがよくあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と書いた部分に、

「小さな要求」をかなえるって、具体的にはどのようなことをすればいいのですか。

という質問をいただきました。
大人、子ども関わらず、いつも自分の気持ちや要求がないがしろにされていると、あるとき我慢の限界が来て、
常にイライラした態度になったり、激しく攻撃的な態度になったりしますよね。
日ごろ、気持ちが満たされている子は、
気持ちが急変したり、無理な要求を通そうとして泣き喚くことは少ないです。
(反抗期、真っ最中の子と、発達障害によって何かの原因がある場合は別です)

「小さな要求」というのは、「お菓子ちょうだい」と言われて、おやつ以外の時間にあげるとか、
金額の安いものなら「あれ買って」と言われたら買ってあげるというたぐいのものではありません。

たとえば、子どもが大人からすると間違ったことを言ってごねているとき、
「それはちがう」とか「こうよ」とか言って
すぐにダメ出しをするのではなくて、
子どもの発言を言葉のままきちんと受け止めてあげるといったことです。

子どもは自分がいつも間違ってばかりいる悪い子になりたいのではなくて、
(親に指摘されると、そう信じ込んで、悪い自分しか表現できなくなるので)

今も良い子で、
これからもっと良い子になるために大人の意見も受け入れる
という形で、感情の嵐をおさめたいのです。

負の感情がたまっているときは、それに呑まれて
不安定になっていますから、大人に認められて、感情がおさまるのを待ってもらって、抱っこして安心させてもらいたいのです。

そうした子どもにとって正等で「小さな要求」をきちんとかなえてあげていると、
わがままを言い続けなくても、
安心して自分自身とつきあっていけると感じて
反抗期を終えて、成長するにつれて、
笑顔が多くなり、素直で優しい態度が育ってくるのです。

ただ何度も書いていますが、子どもは個性的です。
マニュアル通り
ああすれば、こうすればうまくいく~という具合にはいきませんよね。
「小さな要求」って言葉が微妙にわかりずらいですよね。

子どもがあれこれ言ってくるとき、親にすれば、「今はダメ」
「それは今度にして」「まだ無理」と否定的な言葉で返してしまうのですが、
「~~がしたいんだね」と要求が何であれ
とりあえずきちんと聞いてもらうだけで、
半分くらいは要求がかなったのと同じ気持ちになって
落ち着くときがあります。

抱っこしたり、褒めたり、喜び合ったりすることも、
子どもの心を満たしますよね。
できそうもないことをやりたがるとき、少しだけやらせてあげるか、
きちっと見本を見せてあげるのも、
子どもは自分の要求が満たされたと感じます。

セロテープを使う、えんぴつをけずる
といったことを子どもはやりたがってぐずぐず言うときには、
「あぶない」「できないよ」と決め付けず、

「テープ台をしっかりおさえて~
ここが危ない所だから、よーく見て、
テープを引っ張って、少しななめにしてピッと取る」

「えんぴつけずりの背中のところをしっかり手でおさえてね。
ここの間に手を挟むとあぶないよ。
気をつけて、ハンドルをぐるぐるまわす」

といった具合に、ひとつひとつの動作のポイントと、
危ない部分を説明しておくと、
子どもは真剣な表情で取り組むし、
気持ちが満たされてきます。

生活のさまざまな場面で、十分気持ちを満たしてあげると、
無理な要求はだんだん減ってきます。
子どもの要求って基本的にはかわいいもので、
その都度、気持ちが満たされるように対応したとしても、それほど時間も手間も取られないものです。
とてもエネルギーがある子の場合でも、一時期振り回されたとしても、それにどっぷりつきあっていれば、
いつの間にか、自発的で、がんばりやで意欲的な子に変身していることも多いです。

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5 コメント

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おおらかな気持ちで対応したいものです・・・ (ひなママ(ペロ嫁))
2011-02-28 14:31:02
「積極的な対応」をして、子どもの気持ちを満たす「小さな要求」には、毎回きちんと応えてあげるようにつとめると、わがままがどんどん減っていくことがよくあります

↑この部分を読んで、
毎回色々な要求をしてくる子供たちに対し、
「○○ちゃ~ん、これならどぉ~?」
「○○く~ん、これ面白いよぉ^^」
「★★ちゃ~ん、××作ってみよっか~?」
と、優しい言葉を発して対応していた奈緒美先生の姿が思い浮かびました^^

子供の要求を全てそのまま叶えてあげることは無理でしょうが、代替案みたいなもので対応してあげられる・・・・そんなおおらかな気持ちを持って子供に接したいものです^^ 

我が家ではなかなかそうはいかないものですが・・・^^;
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Unknown (ikko)
2011-02-28 15:02:36
今、私がとっても大事だなと感じていたことが、とてもわかりやすく書かれていました。
娘は2歳半。なかなかやりにくい時期に突入してきましたが、実は、あまりわがままに困るってことはないんです。
泣き叫んで駄々をこねるってことも少ない。
って、書くと大人しい子に思われそうですが、活発で動きは激しい子です。
泣き叫ぶってことがあまりないので、
切り替えが早く、諦めが早いの子なのかな?と、それはそれで心配だったりしましたが、この記事を読んで、
ある程度ちいさな要求を聞くようにしてるので、大きなパニックになりにくいのかな?と思いました。
先日、お友達と一緒に公園に遊びに行ったときに、そろそろ帰ろうと準備をしだしたら、お友達のひとりが帰りたくないと泣き始めました。
始めは、『帰ってお昼ご飯にしようね、お腹すいたね』と色々声かけをしていたのですが、全然泣きやまず、その子のお母さんは『もう、帰る時間!みんな帰るよ!遊びたかったらひとりで遊び!』と叱って、先に自転車へ移動。
お母さんは『絶対負けたくないから!甘やかさないねん!』と厳しく言われてました。
そうするとドンドン泣くのは激しくなり、帰りの自転車もず~っと泣き続けていました。
最近、こんな風なぐずりが多くて、疲れるとお友達のお母さんは言われていました。
すごい体力だなぁ~と感心してしまったのですが、私ならどうするかな~って考えました。
きっと、まだ帰らないって言う時点で帰ることは諦めて、お友達には先に帰ってもらっても、もうしばらく遊んだだろうなぁと。
お友達に、もう少し一緒に遊ぼうって、言ってあげれたらよかったなぁと反省しました。
子どもが納得するのを待つことは、自分の気持ちが満たされた感があるのかもしれないですね。
その時点で帰らないといけないのは、大人の都合で、子どもには関係ないことだなぁと感じたんです。
言うことを効かない、わがままな子と決めつけず、こどもの心をしっかり満たしてあげることは大事だなと感じました。


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Unknown (コラスカル(koraasukaru))
2011-02-28 21:13:54
娘が三歳になる前の数カ月、イヤイヤの時期でもあったのか何を言っても受け入れてもらえず、私の言うことの反対ばかりを言ったりしたりする時期がありました。
それが積み重なって、私もイライラしてきて、本来怒るべきことではないことで怒ってしまうことが多々ありました。
これはまずいと思い、大人の都合でダメということをできるだけ少なくし、娘の小さな要求にこたえるようにしていました。
その時期は、家のことは結構後回しにしていました。(今でもそうですが・・笑)
できるだけ子どもに付き合い、やりたいことを存分やらせてあげました。
そうするうち、そのペースが私もあたりまえになり、気がつくと、娘のイヤイヤもなくなっていました。
一日中、外で遊びたい娘に付き合うのも、今では当たり前になってます。ママ友には体力あるねーって感心されます。
小さな要求に応えることの大切さを身をもって感じました。
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Unknown (ちびまる子)
2011-03-01 11:52:34
娘が反抗期の3歳ぐらいだった頃,かんしゃくがひどくて,外で暴れて叫びだすと,とにかく恥ずかしくて自分もイライラして,怒りっぽくなることがありました。

子どもが情緒不安定で子育てがうまくいかないので,自分も自信が無く,返ってがんばらねばと厳しく叱ってしました。

でも,よく後で冷静になってみると娘はただ眠かっただけとか,熱の出る体調の悪くなる前にわがままが多かったりしたように思います。

今も,神経質な性格なので,初めての場所や発表会で緊張して疲れたら,心も体も休めるように努めてきました。

6歳になったので大分,かんしゃくは減りましたが,最近気づいたことがります。
それは,体調が悪いと,兄弟げんかをすることです。そうやって,子どもはストレスを発散してるのだなと思いました。

そんなときは,子どもの意見に寄り添ってやりたいと思いました。親の都合は子どもには理解できない部分が多いですから。
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Unknown (ゆいみゆママ)
2011-03-02 13:21:18
わがまますぎる要求とは少し違うのですが、4月から小学1年生のゆいが最近、妹にすぐに「ばか!あほ!デブ!」と捨て台詞のように言うのが気にかかります。

3歳の次女が自我が強くなってきて、自分の思い通りに動かないのが気にくわないと、「ばか!みーなんて大嫌い!」と毎日言ってます。

先生が過去記事で悪い言葉も使いたい時期があるというようなことを書いてらっしゃったような気がしてそれほど気にしていなかったのですが、言い方に刺があるようになってきたので気になります。

ゆいは人の気持ちを読み取るのが少し苦手なようなのです。先日も一緒に見ていた「ちびまる子ちゃん」で友達の図工の作品を割ってしまったことをすぐに謝らずごまかそうとしてさらに事態が悪化したというお話を見ていて、『最初に謝っておけばよかったね』というと『なんで?』と言われびっくりしました。


「言われると悲しくなる言葉」もその都度教えていかなければいけないものなのでしょうか?
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