金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
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13:菊池照雄/富田文雄 『「遠野物語」を歩く―民話の舞台と背景』

2005-05-18 13:58:45 | 05 本の感想
菊池照雄(文)/富田文雄(写真)
『「遠野物語」を歩く―民話の舞台と背景』(講談社カルチャーブックス)
★★★★★

今まで、これほどの執念を持って手に入れようとうした本はありません。
わたしが柳田國男の『遠野物語』にのめりこむことになったきっかけ。
最初は図書館で発見して、注文しようと思ったらすでに絶版になっていたのです。
ほかにも遠野物語関連の本はたくさん出ているけれど、
これにまさるものはない!と、
執念深くチェックし続けていたら、アマゾンのマーケットプレイスで発見。
即座に注文しました。
美しい写真とともに、『遠野物語』の背景が解説されていて、
見るたびに遠野に行きたくなります。
すでに遠野には二回行っているのだけど、それでもまだ行きたい。
写真がとても神秘的で、ノスタルジーを刺激するのです。
『遠野物語』は文語体と言っても、限りなく口語に近い文語だと思うし、
わたしはまったく抵抗を感じなかったのですが、
慣れない人にはつらいかもしれません。
そういう人にオススメ。
遠野物語の全体像がつかめます。
(現代語訳の本も出ているけど、口語では雰囲気が出ないと思うのです)
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12:富田常雄 『武蔵坊弁慶①~⑩』

2005-05-17 14:06:43 | 05 本の感想
富田常雄『武蔵坊弁慶①~⑩』(講談社)

それまでの自分の世界が揺らぐほどの衝撃を受けた本、
というのが三冊あります。
そのうちのひとつがこれ。
よくよく考えると、わたしが今やっている三つの仕事は、
まったく関係ないように見えても、すべてこの本に端を発しているのです。
受けた影響の大きさにびっくりします。

最初に読んだのは、たしか小学校5年生のとき。
図書館で手に取りました。
漢字がいっぱいだったし、意味のわからない言葉ばかり。
「給え」「御許」等々、読み方さえわかりません。
それでも、十巻読みきるあいだに、何度も何度も泣きました。
絶版になっていて図書館で借りることしかできず、
高校を卒業するまでに何度も繰り返し読みました。
年を重ねるごとに知識が追いついてくるので、
読むたびに新鮮。
最近になって古本屋で文庫版を発見し、即購入。
最終巻だけがまだ見つかりません。

個々の登場人物の書き込みが丁寧で、魅力的。
妻子思いで主君思いの主人公弁慶も男前!なのですが、
当時のわたしは子どもながらに男性の好みがはっきりしていて、
主人公そっちのけで佐藤忠信に胸をときめかせていました。
彼が死ぬところなんて、何回読んだかわかりません。
菩提寺と居城跡にも行きました。
オタクっぷりに自信あり!
大河ドラマ「義経」で人気が出て、うれしいようなさびしいような、
複雑な気分なのです。

同じ作者で、義経を主人公にした子供向けの伝記もありました。
こちらもいい話だったのだけれど、出版社もわからないので
いまだに見つけられずにいます。

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11:島本理生 『生まれる森』

2005-05-17 13:56:54 | 05 本の感想
島本理生『生まれる森』(講談社)
★★★★☆

初めて読む作家さん。
『ナラタージュ』が絶賛されているようなので、
読んでみたいと思ったのだけど、図書館にも予約が殺到中。
代わりにこの本を予約して借りました。
高校生のときにつきあっていた塾講師のことが忘れられず、
心に痛みを抱える主人公。
この本は恋愛というよりは、痛みと、
そこからゆるやかに立ち上がっていくまでの物語。
静かで、繊細な心の揺らぎが綴られています。
友だちのキクちゃんがいいな。

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映画:『Love Letter』

2005-05-15 13:54:53 | 映画の感想
『Love Letter』(岩井俊二監督)
★★★★★

何回見てるのかわからないくらいですが、
掃除のときのBGMがわりにまた見ていました。
岩井作品ではダントツで『スワロウテイル』が好きなのですが、
この『Love Letter』も初めて触れた岩井作品なので
思い入れが深いのです。
中学生時代の淡い恋を思い出し、雪景色の美しさに打たれ、
胸が痛くなるようなきらきらした悲しさを感じる物語です。
小説版もちょっと違うシーンがあって、おすすめ。
それにしても、豊川悦司のかっこよさがいまだに
理解できないわたしです。

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10:大崎善生 『パイロットフィッシュ』

2005-05-14 13:53:40 | 05 本の感想
大崎善生『パイロットフィッシュ』(角川書店)
★★★★★

結構な衝撃を受けました。
なんて言ったらいいのかわからないのだけど、
こういう物語もあるんだ、という驚き。
取り戻せない時間、記憶、人と人との縁についてつづられた、
静かで、透明な悲しみに満ちた物語です。
難を言えば、登場人物が多すぎて、
ひとりひとりの扱いが薄すぎるというところくらいかな。
別に必要ないのでは…という人物が多かった気がします。
それを差し引いても、十分に良かった。
十年後、年を重ねて読み返したら、
またちがった感慨があるのかもしれません。

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9:唯川恵 『サマー・バレンタイン』

2005-05-12 13:51:57 | 05 本の感想
唯川恵『サマー・バレンタイン』(幻冬社文庫)
★★☆☆☆

雑誌『MORE』に連載されている『瑠璃でもなく、玻璃でもなく』が
意外とすんなり受け入れられたので、再・再チャレンジ。
ノルタルジーが基調で、プラネタリウムやメリーゴーランドなど、
好きな要素がいっぱいだったのに、なぜだろう、入り込めない……。
林くんだとか村井くんだとかはいったい何のために出てきたんだろう、
と気にしちゃうし。
セリフで語っちゃうところがだめなのかな。
それとも文章の書き方?
あれこれ言いつつ実は、相手役の男の子がまったく好みじゃない、
というだけの理由なのかもしれない。
広子ちゃんは好きです。前向きで怖いもの知らずで、可愛い。

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8:銀色夏生 『つれづれノート』

2005-05-11 13:50:20 | 05 本の感想
銀色夏生『つれづれノート』(角川文庫)
★★★☆☆

時間つぶしに入ったブックオフで購入。
図書館で⑦~⑫あたりを借りて読んだのだけど、
離婚のあたりから、子どもや旦那さんに対する愚痴ばかりになってきて、
読んでて憂鬱でした。
でも、一冊めのこれは若々しくて明るくて、
恋をしているときの前向きな空気が伝わってきて、好き。
今のポジションにいたるまでのことも書かれていて、
おもしろく読めました。
リルケの『若き詩人への手紙』に対する感想が、
「そうそう、そんな感じ!」とわたしが言葉にできなかったものを
うまく言い表している感じがして、すっきり。
リルケのその本は、手元において何度か読み返したいもののひとつです。

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7:森博嗣 『工学部・水柿助教授の逡巡』

2005-05-10 13:43:58 | 05 本の感想
森博嗣『工学部・水柿助教授の逡巡』(幻冬社)
★★★★☆

シリーズ2作目。
うっかり通勤途中の電車内で読み始めてしまったので、
たいへん苦しい思いをしました。
笑いをこらえてぶるぶる震えていたので、
隣に座っていた人はさぞかし気味悪く思ったことだろう……。
ハリー・ポッターのパロディ「針掘太」の話のところで
笑いを抑えきれなくなり、読むのを中断。
家に帰ってから、思う存分笑いながら読みました。
このセンス、大好き。
著作が大量で、まだまだ読むのが追いつかない! というところも
うれしい。
大学時代、生協の本屋にいつも森氏の本が平積みされていて、
「うちの大学の教官に作家がいるらしい」
とは知っていたのだけど、当時はまるで興味がありませんでした。
在学中に読んでおかなかったことが悔やまれます。
講演会も行きたかったな。

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6:林真理子 『マリコ・ジャーナル』

2005-05-09 13:41:43 | 05 本の感想
林真理子『マリコ・ジャーナル』(角川文庫)
★★★★☆

初版が平成3年なので、ディスコだとかボディコンだとか、
時代を感じさせる言葉がちらほら。
でも全然古くさくなくて、読んでいてとても楽しい。
林さんのエッセイは、長風呂のお供。
ライトで、一話一話が短くて、きりのいいところで止められるので
お風呂タイムにはもってこいなのです。
小説の方は『ミカドの淑女』はじめ3冊しか読んだことがないのですが、
この人ってものすごくキュートな女の人なんじゃないかなと思います。
エッセイだけでも、読みきれないほどたくさんの著作があるのがうれしい。

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5:千足伸行監修 『すぐわかる画家別幻想美術の見かた』

2005-05-08 13:39:54 | 05 本の感想
千足伸行監修『すぐわかる画家別幻想美術の見かた』(東京美術)
★★★☆☆

美術の入門書やガイドブックが好きです。
薄くてコンパクトにまとめられた、カラーのもの。
美術に興味はありますが、きちんと勉強したわけでもなく、
大学の講義でもスライドのために部屋を暗くされるとすぐに
眠ってしまっていたので、ほとんど知識はありません。
こういうガイドブックがあると、手軽に好きな画家や絵を発見できるし、
そのあとでその画家や絵についての本をさがせばいいので、うれしい。
好きな感じの絵をまた3点発見しました。
コラムや絵の解説のところに、題材となった物語の紹介や
象徴についての説明があって、楽しんで読めました。

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