金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

椰月美智子 『十二歳』

2006-08-25 22:53:26 | 06 本の感想
本の感想173:椰月美智子『十二歳』(講談社)
★★★☆☆

講談社児童文学新人賞受賞作品。
十二歳の女の子さえの日常を描いた物語。
教室の風景や人間関係、主人公の揺れ動く気持ちが
繊細に描かれていて、ああ、確かにあの頃
こういうことってあったなあ~となつかしく思い出した。
十二歳の女の子の視点で世界が切り取られているかと
思いきや、作者の視点が混じってしまっている感じ。
中学生でも使わないであろう言葉で書かれていたりして
そこにやや違和感。
「恋をしている人って、はたから見るとまったくおろかだ」
なんて小学生は表現しないと思うんだよね。
「バカみたい」「へんなの」とか言うね、きっと。

さえちゃんが言ってるとおり、西田くんは中学生になったら
モテると思うよ!

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笹生陽子 『楽園のつくりかた』

2006-08-25 13:05:20 | 06 本の感想
本の感想172:笹生陽子『楽園のつくりかた』(講談社)
★★★☆☆

昨日読了。
キャラクターもいい味出していて、テンポもよく、
おもしろく読めたんだけど気になる点がいくつか。
まず最大のオチであるお父さんの件。
確かにびっくりさせられたんだけど、
「いったい何のために?」
っていうのが全然わからなかった。
読みが足りなかったのかもしれないのだけど、
「読者を驚かせるため」以外の必要性がまるでわからず。
二つめ、ラストの主人公の変化にがっくり。
結局は田舎がいいとか、偏差値志向がダメとか、
なんか陳腐に感じてしまった。
いいじゃん、ガリ勉すれば~!
初志貫徹、東大に入って莫大な富を築こうぜ!

宮下のメールの部分、どっかで読んだことがあるのだけど、
これも教材かしら。

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藤田香織 『だらしな日記』

2006-08-24 13:10:15 | 06 本の感想
本の感想170:藤田香織『だらしな日記―食事と体脂肪と読書の因果関係について考察する』
(幻冬社)
★★★★★

帯の背表紙のところに書いてある
「体脂肪率40%の書評家の日常」
という文句が以前から非常に気になっていて
借りてきたのだけれど、たいへんおもしろい。
わたしは自分のことをダメ女だと常々思っているが、
この人に対しては「参りました!」と言いたくなる。
シーツを1年取り替えないとか、
ブラジャー代わりにガムテープとか、びっくり!
でも毎回読む人を楽しませる内容になっているあたり、
きっとだらしないだけじゃないんだろうな……
というのが文章の端々から感じられる。
「隣は何をする人ゾーッ!」
のところですんごい笑った。

興味を持った本はリストアップしてみました。
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171:はやみねかおる 『都会のトム&ソーヤ (3) 』

2006-08-24 13:08:20 | 06 本の感想
はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ (3) いつになったら作戦終了?』
(YA! ENTERTAINMENT)
★★★★★

家で読んでるときにはまったく気にしていないけれど、
電車で読んでると何度となく自分がにやつきそうになるのを
感じます。
美晴ちゃんをデートに誘うためのあれこれだったはずなのに
彼女の存在感ほとんどなし。
それにしても毎回思うが、内人の達観した視点ときたら。
「この世代は、大義名分がないと動けないんだな……」
って、中学生の感想じゃないよ!

イラストの綾子ちゃんがかわいくてときめいた。
卓也さんは絵で見るとただの男前だ。

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169:伊藤たかみ 『リセット・ボタン』

2006-08-21 13:48:28 | 06 本の感想
伊藤たかみ『リセット・ボタン』(幻冬社文庫)
★★★★☆

自殺志願者の集まる掲示板で、かつての恋人と同じ名前を
名乗る「ミサ」と出会った「僕」。
遺書を書くという彼女に場所を提供することになった「僕」は
次第に彼女に心惹かれていくが……といった感じのラブストーリー。
ラストにもうひとひねりあると思ったので、やや拍子抜け。
昔のミサと今の「ミサ」、1971の背景やキャラクターが
薄くて物足りない気も。
主人公の「僕」には好感が持てて、おもしろく読めました。
伊藤さんの作品の男の子って、絶対に人にひどいことをしない感じ。
可愛い。

今日本屋に寄ったら、『ミカ×ミカ!』も文庫落ちしてた。

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168:銀色夏生 『つれづれノート』

2006-08-17 13:51:22 | 06 本の感想
銀色夏生『つれづれノート』(角川文庫)
★★★★★

読むものがなくなってしまって再読。
一冊目がやっぱりいちばん好きだ。
初読のときは★3つだったけれど、
今読んだら★5つつけたくなった。
ちょっと気持ちが不安定になっていて、
前回より言葉が響いたのかもしれない。
とくにこの部分。↓

「私たちはみんな、自分自身の道を歩いていて、
 その道にそった願いに対しては望みがかなって、 
 すこしでも違う方向へそれた時は、
 その願いがかなわないのではないか」。 
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小松和彦 『酒呑童子の首』

2006-08-16 22:38:21 | 06 本の感想
本の感想164:小松和彦『酒呑童子の首』(せりか書房)
★★★★☆

酒呑童子、玉藻前、小栗判官などなど、説話を題材に
異類や異界について考察した論文・エッセイを集めたもの。
この筆者の本、わたしは5冊ほどしか読んだことがないのだけど、
民俗学では有名な方なんでしょうか。よく名前を見かけます。
上田秋成『雨月物語』を読み返したくなってきた。
菊池照雄の『「遠野物語」を歩く』が出てきているのも
うれしいところ。
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江國香織 『すきまのおともだちたち』

2006-08-16 22:37:28 | 06 本の感想
本の感想163:江國香織『すきまのおともだちたち』(白泉社)
★★★★☆

雑誌MOEに連載されていた物語。
旅先でふいに現実世界を離れ、帰れなくなってしまった
新聞記者の「私」。
うまれたときからひとりだったという女の子と、
車を運転し、話す「お皿」と出会い、共同生活をするうちに
いろんなことを学び、友情を育んでいく。
会うのも別れるのも突然で時期を選べない、
だけど人生のうちで何度かいっしょに素敵な時間をすごす、
そんな関係が、いいなあと思わせられるお話でした。
これの前に女の子とお皿の出会いを描いた
『おさんぽ』という本があるのですね。

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北村薫 『盤上の敵』

2006-08-16 22:34:18 | 06 本の感想
本の感想167:北村薫『盤上の敵』(講談社)
★★★☆☆

長い間手を出せないでいた一冊。
強盗犯に自宅を占拠され、妻の命と引き換えに
犯人から協力を要請された男。
男の現在と妻の過去語りが交互に描かれる。
前書きにあらかじめ断りがあったように、
爽快な気持ちで読める話ではない。
得体の知れない悪意を体現した女性が恐ろしく、
妻の過去に起こったできごとにも気分が悪くなって
途中で読むのをやめようと思ったくらい。
でも最後のどんでん返しにあっと言わされ、
構成の意味もわかって読後感はやや上向きに。
好みかどうかって言ったら全然好みじゃないので
★三つだけど、おもしろかった。

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江國香織 『赤い長靴』

2006-08-16 13:53:59 | 06 本の感想
本の感想166:江國香織『赤い長靴』(文藝春秋)
★★★★☆

言葉が伝わらない、だけどどうすることもできない淋しさ、
それでも続いていく夫婦の関係。
夫婦の日常を切り取った連作短編集。
明確なテーマやはっきりした起承転結がないので
つまらないという人も多いようだけれど、
個人的にはおもしろく読めた。
関係の改善とか破綻とか、そういうものが書きたくて
書かれた話じゃないんだと思う。たぶん。
主人公である妻が、
「夫がいないときのほうが夫のことを好きだ」
と気づいて衝撃を受けるエピソードがあるのだけど、
……えっ? それってみんなそうなんじゃないの??
わたしは別の意味で衝撃でした

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