金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

236:河村恵利 『時代ロマンシリーズ 8 かりそめ夜叉-伊豆の乱-』

2020-11-17 21:36:56 | 20 本の感想
河村恵利 『時代ロマンシリーズ 8 かりそめ夜叉-伊豆の乱-
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

室町時代末期、足利将軍家の血を引く伊豆の茶々丸に黒い影が忍びよる。
ドラマチック歴史ラブロマン!!

*************************

積読解消月間その3。
室町時代についてはよく知らないので、
この巻は個人的な萌え度がやや低め。
知識があればいろいろとアレンジの仕方も楽しめただろうにな……。

【かりそめの夜叉―伊豆の乱ー】堀越公方の子・足利茶々丸
【葉隠れ―将軍・義満の恋―】 足利義満と通陽門院厳子
【刻読み】オリジナル? 昭和初期

堀越公方やら古河公方についての前提知識を持っていなかったので、
表題作はなかなか頭に入ってこず、困った。
しかし、「そんなアホな……」と思っていたヒロインについての設定が、
最後、きちんと活きていてお見事。

通陽門院の話、まったく知らなかったけど、
調べてみたら史実がひどくてびっくり。
後円融天皇、切腹自殺図ってる。

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236:河村恵利 『時代ロマンシリーズ 7 華の宴』

2020-11-17 21:25:30 | 20 本の感想
河村恵利 『時代ロマンシリーズ 7 華の宴
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

戦国という苛烈な時代に呑まれた、二人のかなわぬ想いは天をさまよう!? 
ミステリアス時代ロマン!!

*************************

積読解消月間その2。
この巻は戦国時代が多め。
好感度の高い秀吉なんて、めったにお目にかかれない貴重品!

【華の宴】秀吉とその最初の妻
【石橋】 大野治長と茶々
【時雨ここちの夜】 豊臣秀頼の侍女・阿古御局と秀吉
【夜わたしの橋】 津軽信枚と辰姫
【宵の寝刃】 津山藩の森忠弘と妻・亀鶴姫
【ひなの道参り】オリジナル? 昭和初期

石田三成の娘の話、まったく知らなかった!

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235:河村恵利 『時代ロマンシリーズ 6 衣がえしの君』

2020-11-17 20:53:58 | 20 本の感想
河村恵利 『時代ロマンシリーズ 6 衣がえしの君
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

平安時代末、京の都。
平重盛の家臣・斎藤時頼は長者の下働きの娘・横笛と懇意になる。
側女にでもするつもりかと周囲は冷やかしていた。そんな折……。
遥か遠い昔、時の軒端に咲いては散った儚く切ない悲恋集。
表題作のほか「方塞がりの辻」「布引き」「竹葉」「斧の柄」「花の道行」を収録。

*************************

紙書籍を積んだままにしておくことはめったにないのに、
電子書籍の積読っぷりがすごい。
スペースの問題がないから、どんどん買って読むのが追いつかないのだった。
そんなわけで積読解消月間その1。

河村先生の歴史ロマンシリーズ、すごく好きだったのに、
プレイベートがドタバタしている間に
歴史から離れてしまって読まなくなってしまった。
電子書籍で出ているのを知って購入。
メジャーな人物はもちろんのこと、
マイナーな人物にもスポットライトをあててくれるので、
「ああ、こんなエピソードがあったのか!」と世界を広げてくれるし、
伝わっている逸話をそのまま描くのではなく、
独自のアレンジをしているのがとても素敵。
結末が苦くて切ないものが多いのだけども、
それもまたしみじみした情緒があってよし。

【収録作品】
「衣がえしの君」平家に仕えた斎藤時頼と横笛
「方塞がりの辻」平重衡と千手の前
「布引き」 平通盛とその妻
「竹葉」 平清盛と祇王
「斧の柄」 松平広忠とお大の方
「花の道行」 佐々成政と側室の小百合

もともと知っていたエピソードは、平重衡と清盛のものだけ。
天皇→貴族→昇殿を許された武士→地下の武士……って、
時代が下るごとに権力者の身分が下がっていくっていうの、
言われてみれば確かにそうだな!

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234:村井康彦 『藤原定家 『明月記』の世界』

2020-11-14 16:23:00 | 20 本の感想
村井康彦 『藤原定家 『明月記』の世界』(岩波新書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

『新古今和歌集』や『小倉百人一首』の撰者として知られる稀代の歌人は、
どんな日常を送っていたのか。
生涯にわたって綴られた日記を縦横に読み解くことで、
宮仕えの心労と愉しみ、後鳥羽院との関係、家と家族への思いなど、
等身大の定家を浮かびあがらせ、
「武士の時代」の到来によって変貌をとげる宮延社会を活写する。

*************************

先月に出たばかりの本。
テイストとしては、これまでに読んだ『明月記』関連の本と
大きな違いはないのだけども、
為家の妻(宇都宮頼綱の娘)が北条時政・牧の方の孫娘にあたり、
牧の方が家を訪ねてきていたとか、為家の知行国の話とか、
知らないこともいっぱいあった。

テーマを定めてそれに関する記述をピックアップしているので
どうしても話が前後して、時系列や
それぞれの登場人物が何歳のときの話なのかがわからなくなるので、
平安末期から鎌倉初期の出来事の流れを知っている人向けかもしれない。

塚本邦雄の『火宅玲瓏』と田中阿里子の『秋艶』だと、
後妻と定家の関係がギスギスしているんだけど、
この本では仲のいい夫婦と解釈していたのが印象的。

定家の光家(前妻の産んだ長男)に対する態度はひどいんだけど、
今回出てこなかった光家の同母妹に対するもの言いもかなりひどいよね。

冷泉家時雨亭文庫がYouTubeでこの本の出版記念講演を配信しているんだけど、
「冷泉家」と「YouTube」の組み合わせが面白い。
https://www.youtube.com/channel/UCTFIgFZaJ190NM27X6wWWRw

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232:大橋崇行 『遥かに届くきみの聲』

2020-11-14 15:46:47 | 20 本の感想
大橋崇行 『遥かに届くきみの聲』(双葉文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

かつて天才子役と呼ばれた小宮透は、
子役だった過去を隠して高校生活を送ろうとしていた。
しかし、偶然にも同級生となったのは、
中学の時に観た朗読コンクールで異彩を放っていた
沢本遥という少女だった。
彼女は子役時代の透が朗読に励んでいたことを知っており、
自分が所属する“朗読部”へ入るようしつこく勧誘してくる。
だが、透はそれを頑なに拒む。
なぜなら、今の透には決して人前で声を出せない理由があった―。
かつてない感動があなたを待ち受ける、新時代の青春小説!

*************************

先輩に借りたもの。
「朗読にもコンクールがあるんだ!」とか
「こうやって審査するんだ!」とか、
知らなかった世界に触れる楽しさはあったし、
扱われている作品を読んでみたいという気にもさせられる。
そういう点ではワクワク感があったのだけども、
「せつない感動」はまったくわきおこらなかった……すまん……。
いなくてもいい「名有り」の登場人物がやけに多かったのは
続編の予定があるからなのかしら。


※以下、ネタバレ含む



主人公の声が出なくなった原因だけども、
どうしてバッシングやいじめにつながるのかが謎。
天狗になっていたとか、もともと反感買うところが多かったのなら
わからないでもないのだけども、あまりにも唐突。
ヒロインの重すぎる過去に必然性が感じられなかったのも
感情移入を妨げた。
そして、主人公のモテっぷり。魅力がわからん……。
しかしそれらの難と感じた部分も、結局は、
「好きな登場人物がいない」という好みの問題から
来ていたのかも。

ただ、「朗読」という題材のおもしろさは確かなので、
本が好きな人は楽しめるのではないかな。

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231:佐藤雫『言の葉は、残りて』

2020-11-08 20:37:53 | 20 本の感想
佐藤雫 『言の葉は、残りて
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

海沿いの地にある鎌倉幕府。
美しい景色とうらはらに、そこには陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻いていた。
そんな中、若き三代将軍・源実朝のもとに、
摂関家の姫・信子が嫁いでくる。
突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子だったが、
実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、
次第に心をゆるしていく。
一方の実朝も、信子が教えてくれた和歌の魅力に触れ、
武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。
しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、
ふたりを否応なく悲しみの渦に巻き込んでいく―。
第32回小説すばる新人賞受賞作。

*************************

うわァァー!! 少女小説テイストが恥ずかしいよォォー!!

とゴロゴロ転げまわりたくなったが、
ほぼ史実通りに展開して意外性がないのに
最後まで退屈せずに一気読みしてしまった。
この作者さん、筆力が高いね。

視点人物の切り替えが頻繁で、
それぞれのドラマを描こうとしているから、
印象が散漫になってしまっているのは惜しいところ。
タイトルにも関連した「言葉」が、
和歌にとどまらず、御成敗式目につながっていくのは
いちばん、いいなあと思った点なのだけど、これもぼやけてしまった。
でも、いろんな人物にスポットをあてたくなる気持ちはわかる。
この時代の鎌倉、おもしろいもん。

阿波局は永井路子の『炎環』を思わせる。
もう後戻りできないところへ来てしまった、という
北条の兄弟姉妹四人の闇落ちっぷり、
泰時の切なさが印象的。

気になったところが一点。
坊門家は関白の子孫ではあるけれど、
「摂関家」ではないのでは?

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映画:『薬の神じゃない!』

2020-11-08 20:04:54 | 20 本の感想
2020年の映画⑮:『薬の神じゃない!』(ウェン・ムーイエ 監督)
★★★★★

【シネマトゥデイの内容紹介】

上海にある男性用の回春薬を販売する店の店主
チョン・ヨン(シュー・ジェン)は、
店の賃料が払えず妻にもあきれられていた。
何の喜びもない人生を送っていた彼のもとに、
ある日、慢性骨髄性白血病患者のリュ・ショウイーがやって来る。
彼は国内で認可された高額な薬の代わりに、
インドのジェネリック薬を仕入れてほしいとチョンに頼む。
チョンは断るが、大金に目がくらみ、密輸と販売を行うようになる。

*****************************

おそらく今年の個人的ベスト。
実際にあったジェネリック薬に関わる事件をもとにしているそうだけど、
この映画が中国で作られたってことがすごいね。
政府批判と受け取られて公開禁止になりそうだもの。

ストーリーは、ベッタベタのベタ!
チームものにつきものの衝突と絆に、わくわく感、
親子愛、ユーモア。
何より主人公のキャラ立てがいいね。
粗暴ではあるものの、もともと金儲けも父の手術代のためだし、
子どもに弱くて、幼い子が出てくるといい人になっちゃう。
チームメンバーの死を経て、患者たちのために
採算度外視で密輸を再開。
いちばん反発していたチームの若い男の子が、
主人公をかばって罪をかぶとうとしたのに涙。
もちろん、主人公がいなくなれば、
薬が手に入らなくなるという事情もあるが、
息子を手放さなくてはならなくなった父親と、
親元を離れざるを得なかった息子……という背景が
きちんと描かれているから、
損得だけの関係でないことがわかるようになっているのも見事。
敵役として出てきた義弟もいいやつなんだ。

ベタながら、患者たちの見送りで泣いてしまったわ。
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230:井上靖『後白河院』

2020-11-06 00:59:07 | 20 本の感想
井上靖 『後白河院』 (新潮文庫)
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

激動の平安末期に跋扈した怪人物の真の姿。
井上歴史文学の傑作、今甦る。

朝廷・公卿・武門が入り乱れる覇権争いが苛烈を極めた、激動の平安末期。
千変万化の政治において、常に老獪に立ち回ったのが、
源頼朝に「日本国第一の大天狗」と評された後白河院であった。
保元・平治の乱、鹿ヶ谷事件、平家の滅亡……。
その時、院は何を思いどう行動したのか。
側近たちの証言によって不気味に浮かび上がる、
謎多き後白河院の肖像。
明晰な史観に基づく異色の歴史小説。
用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。

【目次】
第一部(語り手・平信範〔のぶのり〕)
第二部(語り手・建春門院中納言)
第三分(語り手・吉田経房〔つねふさ〕)
第四部(語り手・九条兼実〔かねざね〕)

*************************

第二部の「建春門院中納言」は、「たまきはる」の作者で
藤原定家の姉。
この第二部と兼実の第四部を目当てに購入。

人名や女房名を羅列しているのに読みやすい……と思ったが、
それはわたしが関連本を読んでいたからそう思うだけで、
まったくこの時代に詳しくない人にとっては
何が何やらわからないかもしれない。
後ろに注釈がついている点から見ても、
本編はかなり不親切な作りなのかも。

兼実もそうだけど、出仕しなかったり出奔したりしても、
何食わぬ顔で政界に復帰して出世する人、
結構いるんだよね……。
右大臣なのに職場に出てこないってすごくない??
よく罷免されなかったな。
もちろん作中でも経房が文句言ってるんだけど、
面の皮厚すぎる。


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229:渡邊大門 『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち』

2020-11-03 18:48:08 | 20 本の感想
渡邊大門 『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

命が大事か、家か、それとも金のためか?
天皇を京都に残して、地方へ脱出。
朝廷の仕事もサボタージュ。
乱世を生き抜く非武装の男たち。

*************************

守護・地頭の設置以来、所領を守れなくて
公家が経済難に陥っていたのも、
「教養」を売って糊口をしのいでいたのも
知っていたけれど、
下冷泉家の当主が所領を守るために戦国武将と戦って
死んでいたのは知らなかった。
これだけ困窮して、朝廷が機能不全に陥っても、
ここに取り上げられた家々がずっと断絶せずに続いたの、
すごいね。

しかし、為相と為教は定家の子ではなく為家の子(定家の孫)なので、
為家・為教・為相を兄弟としている本文と系図は、ともに間違っている。
わたしが詳しくないから気づかないだけで、
同じように間違っているところが本の中にいくつもあるんだろうな~と
思ってしまった。


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226-228:泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』1~3巻

2020-11-01 23:46:33 | 20 本の感想
泰三子 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~(1) (モーニングコミックス)
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

「もう辞めてやる!」
辞表を握りしめた新米女性警察官・川合の交番に、
なぜか刑事課から超美人の藤部長が配属されてきた。
岡島県警(の男性陣)を絶望におとしいれるコンビの誕生である。
某県警に勤めること10年、隠そうとしても漏れ出てくる作者の本音がヤバい! 
理不尽のち愚痴、時々がんばる、誰も見たことのない警察漫画。
※労働基準法は警察官に「一部」適用外です。

*************************

3巻まで無料公開中。
いまあらすじ貼って気づいたけど、作者さん、警察官だったのか。
コメディなんだけど、性犯罪の被害者に寄りそうような流れがきちんとあり、
このバランスがうまいな~と思っていたのだけど、納得。
最初の1~2話は、ギャグの呼吸みたいなのがよくわからず
(ギャグとして描いているのかそうでないのか、すぐにわからない)、
戸惑うところもあったのだけど、そこはすぐに改善されていたし、
警察官の仕事のあれこれについても垣間見られて面白かった。
わたしが読んだのはbookwalkerでだけど、
Kindleでも無料公開しているよ。

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