「大丈夫」という言葉で思い出した。大昔、研修医時代の話である。入院中の患者さんが急変したので家族を呼んだ。家族を呼んで病状を説明し生命の危険があることを告げたら、「でも、入院するときに○〇先生からは『大丈夫ですよ』と言われたのに話が違う」とクレームをつけられた。おそらくその時、○○先生はご家族を励ますために「大丈夫ですよ」と言ったのであろう。ところがご家族にとって『大丈夫』という言葉は、結果や未来を保証する言葉にほかならなかったのである。この時からこれはむやみに使ってはいけない言葉なのだなと感ずるようになった。わずか3文字の言葉の重みを痛感したのである。