自分は、まさにそのときから「大丈夫ですよ」という言葉を余り用いなくなったのである。たしかに結果を保証してあげることは、患者さんに安心を与えるのでいいことである。しかし実は医療においては患者さんの予後でグレイの部分はかなり大きいのである。100%保証できるものは数がかなり限られる。患者さんの今後の病状や結果がグレイであるならば、あまり安請け合いはしないほうがいい。したがって「大丈夫ですか?」と聞かれると私は「えーっと、人間の身体ですから『100%』ということはありえません。でも9割がたは大丈夫でしょう」と根拠不明、意味不明の数字を持ち出すことになってしまうのである。9割なんて数字はどこの統計なのか、口をついて出た思いつきに過ぎないのである。万が一、状態が変化したときの「安全弁」や「免罪符」のようである。