欧州での学会では、発表後にフロアで某国人から質問された。「餅が危険な食べ物だというなら何故日本人は規制しないのか?」と。まさにその通りである。答えに窮した。英語でのディスカッションであるのでこちらも不利である。言うにこと欠いて、「餅は日本では昔から聖なる食物として位置づけられている」「我々、農耕民族は米の豊作を願ったり、家を建てたりするときに配ったりもする」「いわばcelebratory food だ」と言ってしまった。後になって、もしかしたら日本の文化を誤って伝えたかもしれないという気持ちになった。しかし現代では鏡餅すらなくなり、ほとんど意味のない食べ物になっているようなのだが、それでもかたや餅で死んだらしょうがないという風潮もどこかにあるのではないかと思うのだ。