うちのクリニックは「在宅支援診療所」という資格をとっているが、これを目当てに最近いろいろとアンケート協力の依頼がある。みるとそれらは在宅診療システムの問題点を調査し、その改善を目的とする、行政から予算をもらった調査研究なのである。裏事情を知っているが、この研究結果は論文形式の報告書にして年度末に小冊子に製本し何百冊かを当該省庁や関連部局に配布するのである。それで結局はその冊子はあまり人の目に触れることはなく過ぎ去っていくのである。特にその内容が吟味されて、すぐ明日のシステム改善につながることはほとんどない。つまり研究内容があまりリアルタイムに活用されるとはいえないのである。現行システムや省令などを変えるために急ぐものについては省庁が有識者をピックアップし省庁の中で研究班が立ち上げられそこで研究がなされ、その結果、システムが改編されるのである。個人の研究が生かされて世の中のシステムが変わったという話は少なくとも自分の身の回りでは聞いていない。