クリニックに歩いてくる患者さんはその98%以上(いやもっと高い確率かもしれないが)、状態の安定した軽症患者である。もちろんそれでいいのだ。しかしその安定した患者さんの中に、見逃して家に帰したら急激に状態が悪化し危険な状態に陥る患者さんもいる。砂浜で米粒を探すようなものなので、ボヤ~っとして診療していたら大変なことになる。実はこの間の話である。もうすぐ夏休みに入る直前のことであった。自分の頭はバカンスのことで8割がた占められており、そんな「頭中夏季休暇状態」で診療していた。そんなところにある頭痛の患者さんが来た。頭痛を訴えて来院する患者さんなどゴマンといる。偏頭痛もあるが頸部の筋肉痛やら虫歯やら眼鏡があわないことなどを原因とする場合も多い。他には緑内障の発作やら三叉神経痛などでは強度の頭痛を訴えるが、その数は少ない。例数は少ないであろうが中にはてんかん(初発)やら脳腫瘍などもあるであろう。まあ大体は「あ 頭痛薬出しときますね~」で終わることが多い。しかし何か臭ったのである。