患者が小さな子供の場合は検査や処置がいろいろ面倒である。おとなしい子ならよいが、インフルエンザの鼻腔内の綿棒検査や、あるいは創の縫合などでは暴れられて困ることがよくある。とくに綿棒が鼻に入っている時に子供の手が伸びてきて綿棒にぶつかると鼻腔内損傷の原因になるし、縫合中、術野に子供の手が入ると縫合中の傷が汚染されたり損傷がひどくもなったりもする。そこで暴れる子供は抑えなければならないのだが、手が足りない時は付き添いの母親に「手が出ないように手を押さえていて下さいね」とお願いするのである。しかし多くの場合、手を押さえきれず子供の手が母親の抑制からすり抜けて術野や検査野に飛び出してくるのである。やはり母親は「大岡裁き」のように自分の子供の手を強くは押さえつけられないのかもしれない。スタッフがやればきっちりできるのであるが人手がないときは親御さんにお手伝いいただくこともある。不安げな表情のお母さんと泣いて暴れるお子さんの2人相手はこちらもなかなかしんどいのである。基本的にお母さんは医療側のお手伝いにはならないのである。「あ~○○ちゃん、可哀そうね~」と処置中にお母さんにいわれるとこちらも後ろめたくなってしまうのであるが・・・。<o:p></o:p>