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愛知県大府市で2007年、認知症で徘徊中の男性(当時91)が線路にみだりに侵入し列車にはねられて死亡した事故をめぐり、列車往来を妨害したとしてJR東海がこの男性の家族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟があった。この上告審判決で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は2016年3月1日、介護する家族に賠償責任があるかは生活状況などを総合的に考慮して決めるべきだとする初めての判断を示した。
そのうえで今回は、妻(93)と長男(65)は監督義務者にあたらず賠償責任はないと結論づけ、JR東海の敗訴が確定した。
民法714条は、重い認知症の人のように責任能力がない人の賠償責任を「監督義務者」が負うと定めており、家族が義務者に当たるのかが争われた。JR東海は、男性と同居して介護を担っていた妻と、当時横浜市に住みながら男性の介護に関わってきた長男に賠償を求めていた。
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認知症の方の監督責任は、個々の事例により異なるが、この判例ではご家族にはまったく責任がないとの判決である。もしこの列車事故で列車車内乗客にけが人が出ていたならだれの責任になるのか? これもすべてJR側の責任になるのであろうか?