吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

本音 その2

2012年10月13日 06時55分31秒 | インポート

 実はこのような電話は結構あるのである。他のケースであるが、やはり夜間の電話である。「お宅にかかりつけなんですが、夕方うちの祖母が転んで顔面を打ちました。意識はしっかりしており鼻血も止まっていますが念のため今、診てくれますか?」と。お名前を聞いたらかかりつけとおっしゃるが自分の記憶にない。とりあえず病状は極めて軽そうなので「明日の外来で大丈夫ですので明日いらしてください」と冷罨法の指示をして電話をきった。翌日、昨日伝えられたその方のお名前でカルテを検索したら当院受診は4年前に風邪で1回受診したきりであった。「かかりつけ」といわれたが記憶にないはずである。さて、これもよくあるパターンでその後まったく来られていないのだ。もしかしてその後、家で具合でも悪くなられたのかと思うと不安である・・・。


本音 その1

2012年10月12日 06時47分12秒 | インポート

 以前の出来事である。ある夜、クリニックからの転送電話で自分の携帯が鳴った。「あの~ちょっとうちの年寄りが転んで足の甲の皮が剥けたので今見てもらえませんか?」とのこと。ちょうど医師会の委員会の最中でもあり、話を聞くとまあ緊急性も高くないので「自宅に消毒薬があればそれを使って、傷の上にガーゼを当てて置いて下さい。明日の外来で十分大丈夫だと思います。明日お待ちしてますよ」と療養上の指示と処置法を詳しくお話しして電話をきった。さて翌日のことである。結局待てど暮らせどその患者さんは来なかった。そして翌日も、翌々日もこないのである。結局は一度も外来にその患者さんが訪れることはなく少し心配になった。もしかしてどこかの医院さんで骨折でも見つかって、「やはり吉田のところはヤブだ」とか言われてるかも?と不安状態になった・・・(笑)。


冷汗一斗 その4

2012年10月11日 06時53分54秒 | インポート

 その日の夕方、紹介先の病院のDr.から直接電話があった。「先生、SAH(くも膜下出血)でした。これから検査・手術予定といたします。ご紹介ありがとうございました」と・・・。一気に冷汗がでた。鎮痛剤出して帰宅させなくてよかった。おそらく家に帰って血圧をきちんとコントロールしなかったら再出血してそのときは・・・。あぁ考えただけでも・・・。まあGrade1のSAHなので手術後の予後はいいだろう。それにしても、このような危機一髪の症例は開業後5例経験してきている。ということは1年に1回はこのような事例にぶちあたる確率なのである。日ごろは元気な患者さんがほとんどである。ぼや~っと昼行灯のような診療を続けていたら足元をすくわれるところであった。大学病院の救命センターでは緊急度や重症度の高い患者さんを何年も診療してきた。でも1回も「怖い」と思ったことはなかった。それは多くのスタッフとすぐに施行できる検査機器が充実していたからであろう。まさに護送船団での診療であったが、開業した今では手漕ぎボートで一人大海に出ているようなのである。年に1回は「大波」がくる勘定になるがこれからも果たして乗り切れるかどうか。開業医は辛いよ・・・(笑)。


冷汗一斗 その3

2012年10月10日 06時56分11秒 | インポート

 その頭痛を訴えて来られた患者さんは歩いてきた。ただ頭痛は強いが我慢できないほどではない。夜中オリンピックをみていたら急に痛くなったとのこと。嘔吐もみられている。朝の診察時には神経学的所見や左右差はない。髄膜刺激症状もはっきりしない。頭痛の最強点やら圧痛点もない。意識はクリアでGCSは15点で満点である。特に視力障害やら眼球充血もない。熱もなく症状的には偏頭痛や三叉神経痛といってもおかしくはない。鎮痛剤を内服してもらったらほぼ頭痛は軽減した。CTが必要な場合は近場の検査センターに依頼して結果は数日後まで待たなくてはならない。通常の患者さんの場合は後日検査予約をする流れになるのである。・・・ところが、なんか変なのである。身体所見的な理由はないが患者さんの様子がどこか引っかかるのである。とにかく変な予感がしたので、誤診でもいいやと思いながら、専門病院の脳外科に紹介状をかいて救急車を呼んだのである。むこうの診療で「なんだ、吉田のところから送られてきた患者さんはなんでもないじゃないかぁ~、大げさだなぁ~」と思われるのを覚悟していたが、でもなんか変な予感がしたのである。


冷汗一斗 その2

2012年10月09日 06時58分35秒 | インポート

クリニックに歩いてくる患者さんはその98%以上(いやもっと高い確率かもしれないが)、状態の安定した軽症患者である。もちろんそれでいいのだ。しかしその安定した患者さんの中に、見逃して家に帰したら急激に状態が悪化し危険な状態に陥る患者さんもいる。砂浜で米粒を探すようなものなので、ボヤ~っとして診療していたら大変なことになる。実はこの間の話である。もうすぐ夏休みに入る直前のことであった。自分の頭はバカンスのことで8割がた占められており、そんな「頭中夏季休暇状態」で診療していた。そんなところにある頭痛の患者さんが来た。頭痛を訴えて来院する患者さんなどゴマンといる。偏頭痛もあるが頸部の筋肉痛やら虫歯やら眼鏡があわないことなどを原因とする場合も多い。他には緑内障の発作やら三叉神経痛などでは強度の頭痛を訴えるが、その数は少ない。例数は少ないであろうが中にはてんかん(初発)やら脳腫瘍などもあるであろう。まあ大体は「あ 頭痛薬出しときますね~」で終わることが多い。しかし何か臭ったのである。


冷汗一斗 その1

2012年10月06日 06時18分40秒 | インポート

 早いもので開業して5年である。よくまあ潰れずに続けられてきたもんだと、とりあえずほっとしている。この5年、何とか誤診せず手遅れにならなかった事例もあったので感慨深い。もし見逃していたら生命の危険もあるような疾患だったので冷汗モノだったといえるだろう。甲状腺クリーゼにはじまってヘルペス脳炎、胸部大動脈解離、不安定狭心症、そして最近ではくも膜下出血があった。救命センター時代にはこれら疾患は何度も診たことはあった。しかし大学では緊急に画像診断や血液所見などの検査を潤沢に使える環境にあったので診断は容易であった。開業してからは緊急にできる確定検査機器なぞ何もない。クリニックにて可能なのは心電図と胸部レントゲンくらいである。ほとんどこの「無手勝流」の状態で、よくぞこれらを見逃さなかったと安堵のため息が出る。


開業5年 その2

2012年10月05日 06時30分42秒 | インポート

昨年末には同時期に開業した駅前のクリニックが閉院した。その理由は聞いていないので詳細不明であるがそこの医院は開業4年を経過してからの閉院である。「なんだ、石の上にも3年どころじゃないな」といまだにこちらも身の引き締まる想いである。この5年間、自分はずっと医師アルバイト情報のメールマガジンも配信してもらっている。いざという時のためにずっと開業時から定期的に送ってもらっているのである。幸い今までこのメルマガは利用せずに何とかやっていけているのでありがたいことである。しかしながらまだまだこのメルマガの配信を停止する気にはなれない。それにしてもこの5年、長期休診が必要になるくらいの病気や怪我にならなくて本当によかった。自分が倒れたら収入はその日から途絶え毎月のローンだけが残るわけである。何の保証もない。とにかく健康だけが一番の願いである。


開業5年 その1

2012年10月04日 06時56分21秒 | インポート

 早いものである。開業して5年がたった。本日10月4日は当クリニック開業記念日であり、また初代の吉田外科の開業記念日でもあり、また同時に初代亡父の誕生日でもある。開業当初はすでに開業している同僚や先輩などから「石の上にも3年、3年我慢すれば何とか先が見える」とか「2年以内に米びつ(預金通帳)の底を見る可能性は高い」とか言われた。確かに開業1年目から2年目にかけて、業者への支払いがあるとゴソッと預金通帳の底が見え隠れするようになり、顧問税理士から「そろそろ追加融資も考慮してください」といわれた時期があった。自分が継承、開業前に最近の開業事情はかなり厳しいと聞かされていた。もちろん優雅な生活は期待してはいなかったが、こんなに底をみたのは初めての経験であった。とにかく潰れたら話にならない。早く地元に密着しなければと思ったが、こればっかりは毎日コツコツとやるしかなかった。


さて10月その2

2012年10月03日 06時27分15秒 | インポート

 さてさて本当に開業してから5年になった。よく5年間も潰れずになんとか診療を続けられたものだ。それもすごいが、この5年間(診療日のみではあるが)ブログで日記を毎日更新しているのが我ながらにすごいと感心している。小学校の頃の夏休みの絵日記であるが、毎日書くことなんてないので「今日も変わりなし」と毎日かいたら担任に呆れられた。それなのによく5年も毎日ブログが更新できたものだ。まあブログの題材としては毎日の診療内容は身近である。特に重大な疾患を見落とさず重篤な状態に至らなかった症例などでは、実は自分としては自慢したいという本音もある。しかし患者さんの個人情報もあるのでこれは慎重に扱わなくてはならない。確かに書きにくい部分もあるので、やむなく当たり障りのない日常の題材になりがちである。まあこの5年間で日記というものは代わり映えしない私小説的な日常生活の吐露でいいのであると、何となくわかってきた。さていつまでブログの更新は続くのやら・・・。おそらく経済的にうまくいかなくて潰れる時か、あるいはものすごく繁盛してブログを更新する暇がなくなる時かのどっちかだろう(笑)。


さて10月その1

2012年10月02日 07時01分55秒 | インポート

 10月のインフルエンザ接種開始の時期が来た。昨日は夏日でギンギンに暑かったようですけど、もう冬支度なんですか?という感じである。なんだか暑いのだか涼しいのだか寒いのだかわからない気候である。秋は本当にくるかしらん? さていつも危惧していることは、インフルエンザもそうであるが通常の風邪を患者さんからもらってしまうことである。インフルエンザワクチンは風邪の予防にはならないので最近では年中マスクをして診療している。いつぞやの夏に夏風邪をもらい熱でフラフラしながら診療していたことがあった。また自分がひどい咳をしながらの診療では患者さんに失礼であろう。本当は休んだほうがいいのかもしれないのだが簡単には休診できない。この前の項で自分の自転車事故による怪我の話をかいたが、怪我でも病気でも私コケたらみなコケるのである。う~む患者さんへの「慈愛」よりも「自愛」のほうが大事なのかもしれない。


自転車事故の顛末(創処置) その6

2012年10月01日 06時49分41秒 | インポート

 実は数年前、この閉鎖療法に関する講演会が医師会であった。新進気鋭の中堅どころの医師の講演であった。このぐらいの年代の医師は確かに時代の最先端を担っている。医学的に、また理論的に間違っていることは言っていない(と思う)。それはわかる。しかし最先端の医療がイコール「絶対、今すぐ現場でもやるべきこと」であると勘違いしていることに若さが見られる。医療経済は無尽蔵ではない。今の保険診療の枠組みの中で、医療材料費が余りにも高ければ赤字となるため現場では使いづらいのである。その講演した医師は従来のconventionalな消毒、ガーゼ被覆の治療法を、まるで魔女狩りのように徹底的に糾弾していた。「明治時代から続いている間違ったやり方である。今後ガーゼは撲滅すべきである」とまで過激に言っていた。自分が外来でやっている方法を頭ごなしに「忌み嫌うべき方法」というニュアンスで否定されたらいい気持ちはしない。確かに医学的には正しいのであろうが、そこまで過激に言うならこの高い被覆材料を保険点数請求できるように医療行政までも動かす努力をあなたがしなさいといいたい。そうでないと信用されないと思うのだが・・・。医療はタダじゃないのである。