
手塩にかけた古漬けもうまいが、夏場はやはり露地物の野菜をさっと漬けるぬか漬けではないでしょうか。農協の野菜売り場に夏野菜が出揃い始めたのに合わせて、ぬか漬けへの挑戦を開始しました。
去年からのぬか床があったのですが、後半雑菌が入ったのか味がおかしくなったので、改めてぬか床を作りなおしました。
やはり農協から精米したばかりの残滓の糠を一キロ五〇円で買ってきました。
それをフライパンで、焦げ目がつかないように弱火で、少し香りが立つまで炒めました。
粗熱を取ってから容器に移し、塩をを加え、昆布と鷹の爪などを入れました。
いきなり野菜を漬けたりはしません。ぬか床が驚いてしまいます。まずはキャベツの外側の葉や、割合ぬか床に鈍感な人参などを入れて、ぬか床を馴染ませ、その使命を自覚させねばなりません。
ここんところは焦らず、自然の変化を気長に見守る態度が必要です。
しばらくして、つけ込んだキャベツの外葉などを味見してみます。塩っ辛いのみでぬか漬け特有の味わいはありません。まだまだ、ぬか床は成熟していません。若いのです。
しかし、野菜の水分を吸収してか、さらさらと粉状であったぬか床が少しずつしっとりしてきました。
一週間ほどして、農協で買ってきたやや大きめで曲がったキュウリや、まだ成熟しきってないナスなどを漬け込みました。しかし、結果はまだまだ固い味です。
三回ほど漬け込みました。次第に味が糠に馴染んできました。
やや塩分が強めでしたので、糠を追加しました。
何とかかなり馴染んだ来たようです。
しかし、ぬか漬けの管理は難しいのです。
ナスとキュウリを一緒に漬けると、キュウリは漬かっていてもナスはまだまだです。
ナスが漬かるまで置くとキュウリは漬かりすぎです。
時間差攻撃です。
ぬか床の状態や入れる野菜に合わせてAクイック、Bクイックと使い分けねばなりません。
ただし、アグレッシヴなスマッシュは不要で、ひたすらレシーヴが肝要なのです。
私がしつらえたぬか床に、露地物の野菜がどう反応するか、その成果は私の味覚の満足度なのです。
天下国家からすれば些細なことですから、お前は何をしているんだと叱られそうですが、ぬか床を通じて私なりに世界と関わり合っているのです。
*私の知り合いに、息子さんが亡くなる前に遺していった糠床で、ぬか漬けを作り続けている人がいます。