樹木希林、黒木華、それぞれ味があって好きな女優さんである。
でもって映画、『日々是好日』(大森立嗣:監督)を観に行った。
面白かった。まずは映像がいい。
ほとんどが茶室という限られた空間で、しかも圧倒的に女性が多い。
そのなかで、庭、掛け軸、花、菓子などなどディティールにわたる季節の変動が鮮やかで美しい。
雪や雨の風情も単なる背景ではなく、映画そのもののアクセントとしてきちんと撮し込まれている。
まず形から入って、心や深みは後からついてくるということ、一見、単純な繰り返しのなかにある微妙な差異、したがって、同じことの繰り返しではないという「一期一会」。
日々是好日の「好」は、倫理や論理の「良否、可否」ではなく、それぞれの日がもつ現実の様相そのものであること・・・・。
などと書くと、理屈っぽい私の癖が満開だが、それを季節ごとの、あるいは年々の映像の積み重ねでじゅうぶんに見せてくれる。
樹木のお師匠さんはたぶん原作のイメージとはちがうのだろうがそこを達者にこなしていた。黒木華は、今までTVなどのドラマでは観たことのない役柄をうまく表現していて、やはり巧い女優さんだと思った。
余談だが、それに比べると大河ドラマの西郷の妻役での彼女はほとんど生きてはいない。それは彼女の責任ではなく、演出とキャスティングのせいだとは思うが、あれでは彼女の魅力が閉じ込められたままだ。
ついでのようで申し訳ないが、多部未華子もいままでの優等生タイプとは違った味を出していたように思う。
原作(森下典子)は小説ではなくエッセイで、したがって起承転結は少なく、映画化しにくいだろうともいわれていたが、それなりに山も谷もあり、飽きるところはなかった。
時代劇を除いて、久々に和服姿の女性がわんさか出てくる映画で、着付けや着こなしの良し悪しなどは私にはわからないものの、お師匠さんや主人公の着物の季節ごとの色合いや模様がくっきりしていて、見る人が見たら、もっと味わいが深いはずだと思った。
何よりもまずは観ていて楽しい映画だった。
【おまけ】冒頭近くに出てくるフクサの扱い方は、茶道に暗い私にとってはまるでマジックのようで、眼をまあるくして観ていた。
【もう一つのおまけ】冒頭から、フェデリコ・フェリーニの名作『道』に触れるシーがあり、映画の途中にも出てきて、ひとつの伏線をなしているが、それを観ていなくとも、楽しめると思った。かくいう私は、『道』は過去2回以上観ているのだが、歳のせいもありすっかりその詳しい内容は忘れている。しかし、この映画を観る上での必須ではないと思った。
でもって映画、『日々是好日』(大森立嗣:監督)を観に行った。
面白かった。まずは映像がいい。
ほとんどが茶室という限られた空間で、しかも圧倒的に女性が多い。
そのなかで、庭、掛け軸、花、菓子などなどディティールにわたる季節の変動が鮮やかで美しい。
雪や雨の風情も単なる背景ではなく、映画そのもののアクセントとしてきちんと撮し込まれている。
まず形から入って、心や深みは後からついてくるということ、一見、単純な繰り返しのなかにある微妙な差異、したがって、同じことの繰り返しではないという「一期一会」。
日々是好日の「好」は、倫理や論理の「良否、可否」ではなく、それぞれの日がもつ現実の様相そのものであること・・・・。
などと書くと、理屈っぽい私の癖が満開だが、それを季節ごとの、あるいは年々の映像の積み重ねでじゅうぶんに見せてくれる。
樹木のお師匠さんはたぶん原作のイメージとはちがうのだろうがそこを達者にこなしていた。黒木華は、今までTVなどのドラマでは観たことのない役柄をうまく表現していて、やはり巧い女優さんだと思った。
余談だが、それに比べると大河ドラマの西郷の妻役での彼女はほとんど生きてはいない。それは彼女の責任ではなく、演出とキャスティングのせいだとは思うが、あれでは彼女の魅力が閉じ込められたままだ。
ついでのようで申し訳ないが、多部未華子もいままでの優等生タイプとは違った味を出していたように思う。
原作(森下典子)は小説ではなくエッセイで、したがって起承転結は少なく、映画化しにくいだろうともいわれていたが、それなりに山も谷もあり、飽きるところはなかった。
時代劇を除いて、久々に和服姿の女性がわんさか出てくる映画で、着付けや着こなしの良し悪しなどは私にはわからないものの、お師匠さんや主人公の着物の季節ごとの色合いや模様がくっきりしていて、見る人が見たら、もっと味わいが深いはずだと思った。
何よりもまずは観ていて楽しい映画だった。
【おまけ】冒頭近くに出てくるフクサの扱い方は、茶道に暗い私にとってはまるでマジックのようで、眼をまあるくして観ていた。
【もう一つのおまけ】冒頭から、フェデリコ・フェリーニの名作『道』に触れるシーがあり、映画の途中にも出てきて、ひとつの伏線をなしているが、それを観ていなくとも、楽しめると思った。かくいう私は、『道』は過去2回以上観ているのだが、歳のせいもありすっかりその詳しい内容は忘れている。しかし、この映画を観る上での必須ではないと思った。