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桃栗三年、柿八年。景気は飲酒を促進するのか? 桃山学院大学の紀要がスゴイ!

2017-02-02 15:17:44 | 附属酒類経済研究所
                           
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桃川


ではなくて、桃山です。

ちょっと調べ物をしていて、こんな論文?を目にしました。





吉田 恵子(2013):景気は飲酒を促進するか?─都道府県別アルコール消費量を被説明変数とした実証分析─、桃山学院大学総合研究所紀要 39(1), 1-9.


面白いタイトル(というかテーマ)ですね。早速読んでみました。


こ、、、これは。。。。。。。


一言で言うと、タイトルにもありますが、都道府県別のアルコールの消費量と県民所得や失業率とを統計的に分析して関係を見出すというもの。

数式もたくさん出ていますが、既存の数式を切り貼りしているようです。また、分析もパッケージを利用していると思われます。
(それにしては使っているソフトウェアの記載がないですね。実はパッケージによって結果が微妙に違うので、再現性の意味で書く場合もある。)

全体として大学生のレポートのようなイメージです。

最初に出てくる図もちょっとスゴイ。



何かのスペクトル解析かと思ったのですが、北海道から鹿児島まで横に並べた、一人当たりのアルコール消費量(何枚もあるのは、年次別)。

折れ線にしているところが、高校生的ですし、その解釈がすごい

都道府県ごとに飲酒量のパターンが存在することがわかる。

「都道府県毎の多い/少ないという特徴は、年に係わらず同じ」ということなのでしょうが、わざわざ言うことでしょうか?

さらに、このグラフから、「また、都市を経るごとに全体的に消費量が減少しているように見える」とあります。

この9枚をじっと見比べてそんな傾向を見出すより、都道府県ごと、年次別の折れ線グラフにすればよいのに。

推定やその結果の解釈も、例えば説明変数として突然「失業率」と「県民所得」の二つのみで議論を始めたり、両者の関係等も整理していないし、思い付き、的ですね。

例えば、都道府県別の分析を考える際、農林漁業や建設業、製造業への特化度が高い地域ほど失業率は低いことが知られていますし、同じく、人口構成(若年割合や、高齢化率など)も失業率に影響を及ぼすことが理屈の上でも整理可能でしょう。

これらと県民所得とも中間項を経ての相関関係はあるでしょうし、これでアルコール消費との(因果)関係を議論するのには無理がある。

また、年々右肩下がりの状況で、2001~2009までの時系列において、年次をダミー変数でおいているのも、ちょっと不思議。

加えて、年次ダミーの2008年、2009年の解釈で、飲酒運転の罰則強化を示唆していますが、むしろ業界的にはリーマンショックの影響という印象ですし、本当に罰則強化なら、「その年にどんな強化があったのか」や、地域別に「車への依存率」等を分析するのが大学生の宿題、というものです。



と、ここまでは「言葉足らず」とか「今後の課題として」とエクスキューズは可能かもしれませんが、、、、、、


最も冴えないのは、根幹となっている都道府県別のアルコール消費量のデータが国税庁の販売ベースでの数字であること。

前も話題にしましたが、このデータだと、神奈川千葉埼玉のサラリーマンが東京の飲み屋さんで飲んだアルコールも東京にカウントされてしまいます。


つまり、通勤圏が一つの県を超えるような地域では、中心では過大評価、縁辺部では過小評価になってしまいます。


三大都市圏や福岡佐賀などでは影響があるはずですから、47都道府県のパネルのうち、少なからぬ都府県でバイアスのあるデータとなってしまいます。

少し考えれば通勤圏ではデータをまとめたり、あるいはそもそも消費側の統計を使うとか、対応方法はあるはず。

これでは、結果云々と言っても何を見ているのかわかりませんね。



恐らくこの著者の方、経済とかの専門家ではなく、語学とか日本史の専門家とか、酒造り等の専門家なのでしょうか。

大学の紀要なので、査読はないのでしょうが、編集委員さんなども目を通していないようですね。

それでも、この論文?を出している「桃山学院大学総合研究所」では、自らこう謳っています。

本研究所における出版事業は、本学における研究成果の主な発表の場であり、また、学問的社会評価を問う場でもあります。

問われちゃいましたので、お答えしましょう。

学問的社会評価、今イチと言っても異議なし!、です。


論文?中には「今後の課題」として「2000年以前のデータを加えたダイナミックパネル分析と、飲酒による死亡率を被説明変数とした分析を挙げる」となっていますが、一度立ち止まられた方が良いのでは?

おこがましいようですが、当社研究所にてご協力、致しましょうか?



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